投稿日 2023.12.19

最終更新日 2023.12.19

MFA導入が実現する「Salesforce Authenticator」とは?注目の背景を解説

MFA導入が実現する「Salesforce Authenticator」とは?注目の背景を解説
DXによる恩恵の一つとして大きいのが、働き方改革の実現です。中でも従業員が自由に商業場所を選ぶことのできるリモートワークの導入は、人材不足の解消や生産性向上などの面で期待されている取り組みと言えます。
 
ただ、リモートワークの導入はセキュリティ上のリスクを高める可能性も忘れてはいけません。この記事では、そんなリモートワーク導入に伴うセキュリティリスク回避に役立つ、Salesforceの「Authenticator」、および同サービスに採用されている多要素認証技術「MFA」について、解説します。

MFAとは

MFAとは

そもそもMFAとは「Multi-Factor Authentication」の略称で、日本語では多要素認証と呼ばれている技術です。何らかのアプリケーションやオンライン上のアカウントなどにアクセスする際、ユーザーに対して2つ以上の認証の提供を求めることにより、セキュリティの強化を実現します。
 
通常であれば、アカウントのログインなどはIDとパスワードを入力するだけで実行できるのが一般的です。しかしこのような認証環境ではこれらの認証情報が流出してしまうだけで、不正利用のリスクが跳ね上がってしまいます。
 
そのようなリスクを回避するために導入されているのが、MFAです。MFAを導入したサービスではIDやパスワードに加えて、一つ以上のさらなる認証をユーザーに求めます。生体認証やメール、SMSを使った認証など、追加で実行される認証の種類は多様です。

なぜMFAが注目されているのか

なぜMFAが注目されているのか

MFAの考え方は以前から存在していましたが、近年注目されるようになった理由としては、

  • DXの普及
  • サイバー攻撃の増加
  • リモートワークの拡大

の3つが挙げられるでしょう。
 
DXによって、企業で利用するデジタルサービスの数は急激に増加し、依存度も高まっています。アカウントやアプリの管理体制を強化し、正しく業務が遂行できるよう促す必要が出てきました。
 
また、業務のデジタル化にしたがって、企業を標的としたサイバー攻撃も増加傾向にあります。IDやパスワードだけでデジタル情報を管理するのには限界があり、致命的な情報流出などによって、企業が甚大な被害を被る可能性も高まってきました。
 
サイバー攻撃のリスクをさらに高める要因となっているのが、リモートワークです。オフィスでは高度にセキュアな環境を確保できていても、自宅や旅行先などではその限りではなく、別途サイバー攻撃を回避するための施策が求められています。
 

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Salesforce Authenticatorの概要

Salesforce Authenticatorの概要

このようなMFAの需要増加に伴い、近年企業で導入されているのがSalesforce Authenticatorです。MFAの導入にあたってはさまざまな方法があり、その一つとして外部アプリを使って認証を実行するというもので、Salesforce Authenticatorはこのサードパーティ型の認証導入に活躍します。
 
Salesforce Authenticatorは、その名の通りSFAの代表サービスであるSalesforce利用にあたってのMFA導入に役立つモバイルデバイス向けのアプリです。
 
同サービスを利用することで、Salesforceへログインした際には自動でスマートフォンなどへ通知が届き、その通知を確認することではじめてサービスを利用できるようセキュリティを強化してくれます。

モバイルとPCを連動させたログイン認証を導入し、セキュリティの飛躍的な向上に役立つでしょう。

Salesforce Authenticatorの主な機能

Salesforce Authenticatorの主な機能

Salesforce Authenticatorの主な役割はSalesforceへのMFA導入ですが、主な機能としては

  • 詳細な権限の管理
  • ログイン状況を踏まえた自動承認
  • 位置情報を限定した承認管理

が挙げられます。それぞれの機能を確認しておきましょう。

詳細な権限の管理

Salesforce Authenticatorは、ログインの権限をユーザーが柔軟に変更することができるため、不用意な第三者によるアクセスを未然に防止することができます。
 
Salesforceの管理者は、多要素認証が必要なユーザー、必要でないユーザーを分類しながらMFAを有効活用可能です。権限設定はテンプレート化することができるので、新しい社員が増えるたびに権限の設定を一からやり直す、という手間はかかりません。

ログイン状況を踏まえた自動承認

Salesforce Authenticatorは、一度ログインが行われた場所やデバイスなどを記憶して、次回以降は承認手続きを行わなくともスマートにログインすることができるサービスでもあります。
 
MFAを導入する際の懸念事項となるのが、ログインが面倒で業務のモチベーションが下がってしまう問題です。Salesforce Authenticatorであれば一度ログインに成功すれば、しばらくの間は特定の条件下で自動ログインが可能になるので、MFAの負担を小さく抑えられます。

位置情報を限定した承認管理

Salesforce Authenticatorでは、ユーザーやデバイスの位置情報と連動して、特定のエリアでアクセスしている時のみアプリの利用を許可するという認証プロセスを導入することができます。
 
例えばオフィスでのSalesforce利用はもちろんのこと、サテライトオフィスに滞在している時のみログインが可能になったり、あらかじめ登録しておいた自宅住所からでのみアクセスができたりするような使い方が可能です。
 
業務とは関係のない場所、あるいは外国などから試みられる不審なアクセスを、まとめて排除することにつながります。

Salesforce Authenticatorのメリット

Salesforce Authenticatorのメリット

Salesforce Authenticatorの導入は、具体的に企業へどのようなメリットをもたらしてくれるのでしょうか。主なポイントとしては、以下の利点が挙げられます。

サイバー攻撃のリスクを回避できる

これまで紹介してきた通り、Salesforce Authenticatorはサイバー攻撃を遠ざける上で強力な効果を発揮します。
 
認証の手続きを従来よりも増やすことにより、例えIDとパスワードが流出した場合でも二段階の認証手続きを踏むことで、社内システムへの侵入を回避することが可能です。

働き方改革推進につながる

サイバー攻撃のリスクを最小限に抑えられることは、働き方改革の推進も後押しします。働き方改革は企業の喫緊の課題ともされていますが、その足かせとなっているのがサイバー攻撃のリスクです。
 
リモートワークにはセキュリティ上の課題が残る一方、Salesforce Authenticatorの導入でそのリスクを小さくすることにより、安心してオフィス外からの業務遂行を促します。

円滑なサービス利用を推進できる

Salesforceは便利なサービスではあるものの、セキュリティ上の課題を解消しながら使用するには何かと不便を被ることもあるでしょう。
 
互換性に優れるSalesforce Authenticatorであれば、ユーザビリティを極限まで高めつつ、同時に高度なセキュリティを実装できるため、サービスの利用率の低下を回避しながらサイバー攻撃対策が実現できます。

Salesforce Authenticatorの導入方法

Salesforce Authenticatorの導入方法

Salesforce Authenticatorは、Salesforceが提供する無料のモバイルデバイス向けアプリです。利用にあたっては、iOSの端末を使用している場合はApp Storeから、Android端末の場合はGoogle Playストアからインストールすることができます。
 
インストール完了後は既存のSalesforceアカウントでログイン・連携手続きを行えば、すぐにMFAを実装することが可能です。
 
注意点として、Salesforce AuthenticatorはSalesforce向けのサービスであるため、それ以外のサービスへのMFA導入には使えないことは理解しておきましょう。

まとめ

この記事では、MFA導入に役立つSalesforce Authenticatorについて解説しました。Salesforceユーザーにとって強力なセキュリティ強化サービスとなるだけでなく、無料での導入が可能であるため、使わない手はありません。
 
インストールや設定もシンプルな手続きで行えるため、積極的に活用しましょう。
 

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この記事の監修者

阿部 雅文

阿部 雅文

コンサルタント

北海道大学法学部卒業。新卒でITベンチャー企業入社し、20代で新規事業の事業部長を経験。その後さらなる事業開発の経験を積むために、戦略コンサルティングファームにてスタートアップ企業からエンタープライズ企業のデジタルマーケティングや事業開発におけるコンサルティング業務に従事する。2021年5月にFabeeeにジョイン。DXコンサルタントとして大手メーカーや総合商社などを担当するほか、数多くのクライアントから指名を受け、各社の事業開発を支援中。多忙を極める中でも、丁寧で迅速な対応が顧客から高い評価を得ている。