DXとは
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、企業がデジタル技術を活用して、ビジネスモデルや業務プロセス、組織文化などを変革することを指します。単なるIT化ではなく、デジタル技術を駆使して顧客体験や従業員体験を向上させ、競争力を高めることが目的です。DXは、業務の効率化やコスト削減だけでなく、新たな価値創造や収益機会の獲得にもつながります。また、DXの推進には、経営層のリーダーシップとビジョン、従業員のマインドセット変革、デジタル人材の確保・育成など、組織全体での取り組みが不可欠です。特に、人材業界では、求職者や企業との接点のデジタル化、マッチングの高度化、業務プロセスの自動化などが重要なDXの取り組み領域といえます。
人材業界のDX推進の企業の成功事例
リクルートホールディングス – “リクナビNEXT”のAI活用による求職者との最適なマッチング
リクルートホールディングスは、同社が運営する転職サービス”リクナビNEXT”において、AIを活用した求職者と企業のマッチング精度向上に取り組んでいます。求職者の閲覧履歴や応募履歴などのビッグデータをAIで分析し、一人ひとりに最適な求人を推薦するレコメンド機能を強化。これにより、求職者の満足度向上と、企業の採用効率化を実現しています。
パーソルホールディングス – RPAによる業務自動化と生産性向上
パーソルホールディングスは、RPAを活用した業務自動化により、グループ全体の生産性向上を図っています。例えば、同社のグループ会社であるパーソルテンプスタッフでは、RPAを用いて求人票の作成や掲載、応募者への連絡など、煩雑な業務を自動化。これにより、従業員は付加価値の高い業務に集中でき、生産性が大幅に向上しました。
マンパワーグループ – “PointMe”アプリによる求職者とのエンゲージメント強化
マンパワーグループは、求職者向けスマートフォンアプリ”PointMe”を開発し、求職者とのエンゲージメント強化に成功しています。”PointMe”では、求人検索や応募、面接日程の管理などがワンストップで行えるほか、AIを活用したキャリアアドバイスの提供や、業界動向などの有益な情報発信も行っています。アプリを通じて求職者との接点を増やすことで、求職者との信頼関係構築と、転職支援サービスの利用促進につなげています。
ジェイック – “カオナビ”を活用した若手人材の育成支援
人材育成コンサルティング会社のジェイックは、若手人材の成長を支援するサービス”カオナビ”を提供しています。”カオナビ”は、社員の強み・弱みを客観的に可視化する診断ツールや、eラーニングコンテンツなどを搭載したプラットフォームです。デジタル技術を活用することで、若手社員の自己理解を深め、スキルアップを支援。企業の人材育成をデータドリブンかつ効果的に進められるようサポートしています。
ランスタッド – ビデオ面接プラットフォーム”HireVue”の導入
総合人材サービス大手のランスタッドは、ビデオ面接プラットフォーム”HireVue”を導入し、採用プロセスのデジタル化を推進しています。”HireVue”は、求職者が自宅などからいつでも面接を受けられるオンデマンド型のビデオ面接システムです。AIによる表情分析などを活用し、求職者の適性や能力を多面的に評価。採用担当者の負荷軽減と、採用の質の向上を両立しています。
ディップ – “バイトル”のUIUX改善によるユーザー体験向上
アルバイト求人情報サイト”バイトル”を運営するディップは、同サイトのUIUX改善に注力し、ユーザー体験の向上を実現しています。例えば、求人検索機能の改善により、求職者が希望条件に合う求人を簡単に見つけられるようになりました。また、応募ボタンの最適配置により、応募率が向上。ユーザー目線に立った継続的なUIUX改善が、”バイトル”の利用者数増加につながっています。
ビズリーチ – ビッグデータ分析による法人営業の効率化
ハイクラス転職サイト”ビズリーチ”を運営するビズリーチは、同サイトの膨大なデータを分析し、法人営業の効率化を図っています。求人企業の属性や課題、過去の応募者傾向などを分析することで、各企業に合った提案やコンサルティングを実施。データに基づくアプローチにより、法人顧客との関係性を強化し、受注率の向上につなげています。
株式会社インテリジェンス – “DODA”のレコメンデーション機能強化
総合人材サービス企業の株式会社インテリジェンスは、同社が運営する転職サイト”DODA”のレコメンデーション機能を強化し、ユーザーの満足度向上に成功しています。求職者の閲覧履歴や検索履歴、プロフィール情報などをAIで分析し、一人ひとりの興味関心に合った求人を自動的に推薦。レコメンドの精度向上により、応募数や採用数の増加につなげています。
株式会社クイック – RPAを活用した求人票の自動作成
人材派遣・紹介サービスを手がける株式会社クイックは、RPAを活用し、求人票の作成業務を自動化しています。従来、営業担当者が手作業で行っていた求人票の作成をRPAに任せることで、大幅な工数削減を実現。営業担当者は、より付加価値の高い業務に注力できるようになりました。また、ミスの削減や求人票の精度向上にもつながっています。
株式会社マイナビ – “マイナビ学生の窓口”のチャットボット導入
学生向け就職情報サイト”マイナビ”を運営する株式会社マイナビは、同サイトの顧客サポートにチャットボットを導入し、学生ユーザーの利便性向上と運営効率化を実現しています。チャットボットは、学生からの様々な質問に24時間365日自動で回答。学生は、いつでも手軽に疑問を解決できるようになりました。また、運営側も、問い合わせ対応の負荷を大幅に軽減できています。
まとめ
いずれの企業も、デジタル技術を活用し、ユーザー体験の向上や業務効率化を実現しています。
人材業界は、求職者と企業をマッチングさせるという、非常にデータドリブンな業界です。求職者や求人企業に関する膨大なデータを、いかに活用し、価値に変えていくかが競争力の源泉となります。
今回取り上げた10社の事例は、データとデジタル技術を武器に、新たな価値創出に挑戦する人材業界のDXの先駆者といえるでしょう。単なる業務のデジタル化にとどまらず、ビジネスモデルそのものの変革を目指す姿勢が重要です。
人材業界のDXは、まだ緒に就いたばかりです。今後、AIやビッグデータ、クラウドなどのデジタル技術のさらなる進化と、それを活用する企業の創意工夫により、人材業界のDXはより一層加速していくでしょう。変化の激しい時代において、DXの推進は人材業界の企業にとって、生き残りをかけた喫緊の課題といえます。
コピペで使える!DX関連資料のグラフ集