企業にとって身近なものとなったデータ分析。さまざまなデータから新たな知見を得ることは、企業を成長させるために欠かせないプロセスの一つとなっています。
数あるデータの中でも、特に重要なのが「売上データ」の存在。今回は、売上データに的を絞ってその分析の必要性やメリットなどについて解説していきます。
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なぜ今売上分析が必要なのか
まずは、なぜ売上分析が必要なのかというところに目を向けてみましょう。
売上分析とは?
売上分析の必要性と目的について触れる前に、「売上分析とは?」という基本的な部分のおさらいをしましょう。売上分析とは、期間や商品など特定の条件から細かく売上を分析すること。
売上データの中にある事実や新たな問題点などが見つかることから、設定を細かくすればするほどあらゆる実態が見えてくるのです。また、他者の売り上げと自社の売り上げの差異に注目する際も、売上分析は有効な手段。売上分析から見えた実態は、企業の現状を把握するためにはもちろん、マーケティングにおいても大きな力となります。
売上分析の目的
企業が目標を立てる上で必要なのは、理想と現実のギャップを正しく認識することです。売上分析の目的は、まさにこの理想と現実のギャップを把握すること。より具体的な目標設定を行うためには、売上分析を行って数値を導き出す必要があるのです。
売上分析はさまざまな条件で絞り込めるため、商品別・サービス別・部門別・顧客別などあらゆる角度からの分析が可能。どこに落ち度があるのかを見つけるためにも、売上分析は有効な手段なのです。
売上の分析を行うメリット
売上分析を行うことで得られるメリットについて、考えてみましょう。
適切かつ明確な目標が設定できる
売上分析は、企業が売上目標を設定する際の大きなヒントとなります。企業の成績を伸ばし続けるためには、適切かつ明確な目標設定が欠かせません。適切かつ明確な目標とは、低すぎず確実に達成できる数字のこと。売上データを分析することで、現状を的確に把握することができるため、自ずと目標設定の数値も現実的なものとなるのです。
売上分析から導き出された数値を組み込むことで、昨年度から今年度にかけての売り上げ推移や、その推移の原因を明らかにしながら目標の設定を行うことができます。事実に基づいた目標は、従業員にとっても納得感のある目標となるため、結果的に生産性の向上にもつながってくるのです。
商品・顧客による収益性の違いがわかる
商品別や顧客別などの条件を設定して売上分析を行うことで、どの商品・顧客の収益性が高いのかがわかる
ようになります。営業の世界では結果の8割は全体の2割の要素によって決まるという、「パレードの法則」を用いるケースが少なくありません。
このパレードの法則を見つけ出すためにも、売上データの分析は有効。収益性の高い商品はどれなのか、ロイヤルカスタマーとなりうる顧客は誰なのかを見つけ出すことは、より精度の高い営業戦略を立てる上でも重要なポイントとなります。
販促活動の効果が把握できる
販促活動に対する効果の測定は、これらにかかるコストを見直す上でも非常に重要。売上分析は、販促効果の測定手段としても活用可能です。
販促活動別や店舗別、担当者別などの条件下で売上データの分析を行うことで、それぞれの効果が数値として表れます。今の販促活動に効果がないということがわかれば、販促の方向性を大きく転換することもでき、結果的に販促にかかるコストの見直しにもつながっていきます。
市場トレンドの理解につながる
顧客別や店舗別などの条件で売上分析を行えば、どのような商品が売れているのかやどのような顧客からのニーズが高いのかという市場トレンドを理解できるようになります。要素ごとに分解して売上の分析を行うことは、マーケティングを行う際のペルソナ情報にも役立ちます。
新しい戦略を立てる際の材料としても活用できるため、積極的な施策を実行する場合にも根拠をもとに動くことができるのです。
売上データの分析に使われる手法
データ分析にはさまざまな手法が用いられます。では、売上データの分析にはどのような手法が用いられるのでしょうか。代表的な3つの手法をご紹介します。
ABC分析
ABS分析は一般的な分析手法で、さまざまなデータ分析に用いられています。ABC分析は、物事には偏りがあるという考えのもとに行われる分析手法であり、商品やサービスの売れ筋・死筋を見極めるために活用できる分析手法です。
先ほど売上分析のメリットのところで登場した「パレードの法則」の応用例でもあり、商品の発注や在庫管理、販売管理などの業務を行う上で役立ちます。
デシル分析
デシルとはラテン語で10分の1という意味を持つ言葉であり、その言葉のとおりデシル分析は、データを10等分してそれぞれのグループ内のデータを分析する手法のことです。売上データの分析においてデシル分析の手法を用いれば、10等分した各グループの購買データの分析が可能。
ABC分析よりもさらに細かく分類しての分析が可能となるため、どの顧客層の貢献度が高いのかを見つけることができ、貢献度の高い顧客層に向けて優先的なアプローチを行うことができるようなります。
アソシエーション分析
アソシエーション分析は、もし〇〇だったら△△になるだろうという物事の関連性を見つけ出すことができる分析手法です。もしAを買えば、Bも一緒に買うだろうという一見関係がないように見える商品の関連性が見つかるため、アソシエーション分析から導き出された数値は、販促活動や売り上げアップのためのマーケティングに活かすことができます。
有名な例として、「オムツとビール」や「パン・バターとミルク」などの関連性が知られており、商品配置の参考としても活用されています。
売上データ分析にて活用されているツール
データ分析の効率を上げるためにも、活用したいのがさまざまなツール。売上データの分析には、どのようなツールが活用されているのでしょうか。
エクセル
売上データの分析のためにまず活用したいのが、エクセル。表計算やグラフ作成の際に使われるエクセルは、一般企業にとってもなじみのあるツールです。
エクセルでは、ABC分析やデシル分析を行うことが可能。専門的なツールとは違い誰もが使い慣れたツールであるため、売上分析初心者でも気軽に使い始めることができます。
ただ、エクセルは膨大な量のデータ処理には適していないため、売上データの量が多い場合には活用できないということを頭に入れておかなければいけません。
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BIツール
売上データの分析を始める際、データの収集・集計に手間と時間がかかったり、そもそも分析するためのデータがうまく収集できなかったりという課題に悩む企業が少なくありません。このような課題を解決するために活用できるのが、BIツール。
BIツールは膨大な量のデータから必要な情報だけを抽出し、売上分析に使えるデータの集計や可視化を得意とするツールです。基幹システムとBIツールを連動させれば、企業の内部情報を自動で抽出することも可能。
分析結果を自動でグラフ化するなど可視化も瞬時に行えるため、売上データの分析にまつわる業務の大幅な業務効率化が望めます。
CRM・SFAツール
売上データの分析には、営業活動にまつわる履歴や顧客の属性などを知ることも大切。そのため、顧客管理を支援するためのツールである「CRM」や、営業を支援するためのシステムである「SFAツール」の活用も有効であると考えられています。
CRMやSFAツールがあれば、売上分析を行いながら営業活動の改善を同時に進めることが可能。目の前の課題に合わせてツールを使い分けることが、売上データ分析を効率良く行うカギです。
まとめ
売上分析は、さまざまな手法やツールを用いて行うことができます。売上データに隠されたビジネスのヒントをいち早く見つけ出すためにも、効率良く売上分析を行っていきましょう。