GA4とは?
GA4とは、Webサイトのアクセス分析ツールである「Googleアナリティクス4プロパティ」の略称で、2020年10月にリリースされました。こちらは、2019年に発売された計測機能「アプリ+ウェブプロパティ」の正式版になります。GA4の発表前は、2005年に登場したUA(Universal Analytics)として知られるGAが最もスタンダードなツールでした。しかし、新しいIT技術が次々に登場し、時代のニーズに対応できなくなったことを受け、次世代型Webアクセス解析ツールであるGA4がリリースされました。
UAがセッションを中心とした分析だったのに代わり、GA4はユーザーに軸を置いたものに変更されています。GA4では、新たに機械学習モデルを利用する予測機能を実装しています。また、GA4ではWebサイトとアプリ両方のデータを統合し、ユーザーの行動をより詳細に分析できるようになりました。ユーザーの行動分析で気を付けたいのがプライバシーの問題ですが、GA4はEU一般データ保護規則であるGDPRやカリフォルニア州消費者プライバシー法であるCCPAに順守したツールになっていますので、安心して使用できます。ここでは、GA4とUAとして知られるGAとの違いを具体的かつ大幅に変更された点を中心に見ていきましょう。
イベント単位の分析指標に変更
UAではWebページにフォーカスしたセッションを指標としていましたが、GA4ではユーザーのアクションに焦点を当てた「イベント」を計測する方法に変更されています。UAでは、ページビューやイベント、Eコマースをそれぞれ別のデータ種別として収集していましたが、GA4ではそれらをすべてユーザーが起こしたイベントとして捉えます。同じページ内で起きたアクションも計測できますので、ページ遷移を伴わないケースのデータの分析も可能になりました。
直帰率に代わりエンゲージメント率を追加
Webページにアクセスした後に、サイト内の他のページに行くことなく離脱したセッション数の割合を示す直帰率はGA4では廃止されました。それに代わって導入されているのが、エンゲージメント率です。エンゲージメント率は、ユーザーの反応や評価にフォーカスした指標で、コンテンツの有用性を図る上でマーケティングでは重視されるようになっています。UAがリリースされた頃に比べて動画のようなコンテンツが増えたことで、単純に「直帰」を見るだけではユーザーの行動が把握しづらくなったため、エンゲージメント率の導入はより詳細で利益に結び付く分析ができると期待されます。
廃止されたり表記が変わった指標もあり
前述した通り、GA4で直帰率が使われなくなったことに伴い、対となる離脱率も廃止されています。また、ページセッションという概念もなくなり、ページ別訪問数やページの価値などの指標も姿を消しています。加えて、「ページビュー数」が「表示回数」に、「平均セッション時間」が「セッションあたりの平均エンゲージメント時間」に、「新規ユーザー」が「新しいユーザー」に表記変更されています。これらの点が変更されたことに伴い、特にホーム画面やメニューなどのユーザーインターフェースが大幅に刷新されています。
GA4の移行はいつまでに完了すればいい?
旧GAであるUAは、2023年7月1日までにサポートが終了します。それ以降はレポート画面を使った分析などの閲覧はできますが、新たなデータ計測はできなくなります。さらに、2024年1月以降はレポート画面も閲覧不可になるとしています。なお、すべてのサービスが終了する明確な時期については、Googleからの回答を待つ形となっています。
UAのサポートが終了し、新規データの計測ができなくなる2023年6月末までがGA4への移行期限と言えますが、実際にはもっと前に導入するのが得策です。マーケティングにおいては、前年との違いを検証する場面も多く、前年度データが同じシステム上に入っていないと簡単に比較できなくなります。また、UAとGA4では使用する指標が異なるなど、単純比較できないケースが想定されます。前年度比較を念頭に置くと、2022年6月末までの導入がベストということになるでしょう。そのため、早めの切り替えがおすすめです。
GA4とUAはお互いに干渉することはなく、画面上で切り替えができます。GA4にはUAのデータは引き継げませんので、いち早くGA4を導入し、GA4でのデータ蓄積を進めることが推奨されます。
GA4導入のメリット
導入を急ぎたいGA4ですが、具体的にどんなメリットがあるのでしょうか。
優良顧客を把握しやすくなる
GA4では、ユーザーの行動をより詳細に把握することで優良顧客を探し出し、魅力的なサービスを提供するなどの積極的なアプローチが可能になります。GA4にある「ユーザーのライフタイム」機能を使うと、初回訪問日や来訪回数、購入日や得られた収益などの情報をユーザー単位で確認できますので、ロイヤルティーの高い顧客の流入元なども把握し、今後の広告戦略に活用できます。
データが増えることで分析の幅が広がる
GA4ではWebサイトに加え、iOSとAndroid両方のアプリのデータを計測して集計できます。より多くのデータを収集し、横断的に分析できる点が魅力と言えるでしょう。ファイルのダウンロードやサイトからの離脱なども把握できるほか、2つ以上のドメインにまたがるWebサイトを分析可能なクロスドメイン機能も備わっていますので、収集データの量だけでなく種類も増えることになります。なお、Googleのサービスである「BigQuery」と連携させれば、ビッグデータの分析も可能です。
ユーザーの行動を予測できる
GA4の新たに機能の一つが、機械学習を活用する予測機能です。蓄積したユーザーのデータを機械学習モデルに載せて運用することで、未来の購入の可能性や収益を予測したり、Webサイトやアプリの充実度の把握もできます。
GA4導入のデメリット
GA4はUAに比べて多方面で優位性がありますが、デメリットも存在します。
専門知識がないと有効に活用できない
GA4はこれまでのアクセス解析ツールの指標や概念、仕組みなどとは異なっているため、移行・運用に際して専門知識が必要です。GA4自体、リリースされてから間もないこともあり、使いこなすのに必要な情報がネットや書籍などでさほど出されていません。UAからGA4に移行するのは必須の状態ですが、導入や運用に必要な人材を社内で調達できない可能性もあります。
使用感に戸惑いを感じる可能性が高い
GA4は、UAとは計測する軸が異なります。GA4をUAのバージョンアップ版と考えてしまうと、これまで通りの計算ができない、出てきた結果が予想と乖離するといったトラブルが発生してしまいます。どちらのツールもWebのパフォーマンスを向上させるという目的は変わりませんが、UAの計測数値をGA4に引き継げないことを意識していないと、利点ではなく、使いづらさばかりに目がいってしまうかもしれません。
データの保存期間に制限がある
GA4でデータを保存しておける期間は14か月と、UAに比べて短縮されています。感染症流行や世界経済を揺るがすような事態が次々に起こる現状を考えると、イレギュラーなイベントが起きた年度と比較するのではなく、正常に稼働していた2年またはそれ以上前のデータと比較したいということもあるはずです。そのようなケースでは、通常のデータ保持期間である14か月を超えたデータが不可欠です。なお、ビッグデータ解析ツール「BigQuery」と連携させると、データを14か月以上保存することができます。
レポート様式が限られる
UAでは用途や分類に関係なく利用できるレポートが100以上ありましたが、GA4では確認や分析用にレポートが分類され、レポートの数自体も制限される形になっています。そのため、今まで重宝していたレポートが使えないということも考えられます。
【まとめ】UAからGA4に移行する際に念頭に置いておきたいこと
UA(Universal Analytics)として知られるGAは、IT技術の向上や時代のニーズに合わせる形で、次世代型のアクセス分析ツール・GA4へ移行しています。すでにサポート終了が明言されており、UAからGA4へデータの引き継ぎができないことを考えると、マーケティングで不可欠な前年度比較を行うため、早急に移行する必要があると言えます。GA4の概念や使用される指標などを理解し、収益アップに資する分析ができるようにしていきたいものです。