投稿日 2022.09.27

最終更新日 2022.09.27

これでもう迷わない!GA4にありがちな3つの誤解を完全解決!

これでもう迷わない!GA4にありがちな3つの誤解を完全解決!

よくある誤解1:GA4はCookieレスで計測できる

Cookie(クッキー)とは、ユーザーのアクセス情報を保持しておくファイルのことです。ウェブサイトへアクセスした日時・回数・行動履歴などが保存されており、次回以降のアクセス時にCookieは利用されます。

Cookieは役割に応じて「ファーストパーティクッキー」と「サードパーティクッキー」の2種類が使い分けられており、GA4の計測(アクセス解析)には「ファーストパーティクッキー」が用いられています。GA4で使われるファーストパーティクッキーは、ビジターIDを管理する「_utma」、セッションを把握する「_utmb」、ウェブサイトへの流入元を管理する「_utmz」の3つです。これらを用いてGA4はレポートを作成します。そのため「Cookieレスで計測できる」というのは誤解です。

Cookieレスとは個人情報保護の動き

Cookieレス(クッキーレス)は「Cookie不使用」という意味だけで使われているわけではありません。Cookieレスとは、「ポストCookie」や「アフターCookie」とも呼ばれる言葉で、Cookieによる情報の取得に対する規制、あるいは規制された状態のことを指しています。デジタルマーケティングに不可欠なCookieですが、個人情報保護の観点から各国で情報取得に法的制限がかけられるようになりました。Googleにおいても、自社ブラウザー「Chrome(クローム)」においてサードパーティクッキーの廃止を決定しています。しかし、Cookieレスの潮流は必ずしもすべてのCookieを排除するものではありません。

CookieレスでCookieの利用がなくなるわけではない

たしかにCookieレスによって、サードパーティクッキーが主要なブラウザーでサポートが受けられなくなるため、従来のような情報収集はできなくなります。しかし、それによってCookieの利用が無くなるわけではありません。Cookieレスによってマーケティングにおける情報収集元がファーストパーティクッキーに移行するにすぎません。むしろ、利用者の同意に基づくファーストパーティクッキーのマーケティングにおける重要性は、Cookieレスによってますます強まることになるでしょう。

「GA4はCookieレスで計測できる」はCookieレス対策が生んだ誤解

GTM(グーグル タグ マネージャー、Google tag manager)とGA4を組み合わせたCookieレス対策では「GA4はCookieを利用していない」ではないかと思う人がいるかもしれません。しかし、これは誤解といえます。

GTMとGA4を組み合わせたCookieレス対策は、Appleのブラウザーに対して行われることが多いです。AppleではCookieレスを推進しており、ファーストパーティクッキーの取得制限にも着手しています。自社が提供するブラウザー「safari(サファリ)」のファーストパーティクッキーの保存期間は7日間しかありません。何ら対策を施さないままにしていると、7日を超える間隔で訪問するユーザーは新規ユーザー扱いになってしまい、GA4ではうまく計測ができなくなります。

そのため、対策としてGTMがよく利用されています。タグを利用することでAppleのファーストパーティクッキーの保持期限よりも長い期間、ユーザー情報を保持することが可能になるからです。GTMを使ったタグによって情報管理がなされるため、あたかもGA4ではCookieを利用していないかのような錯覚をするかもしれません。しかし、実際にはタグを付けることで7日間経過したユーザー情報を結び付けているにすぎません。

現在(2022年9月時点)のところ、Cookieレス対策下でGA4を用いることは可能ですが、計測にはファーストパーティクッキーが必要です。完全なCookie不使用状態では計測ができません。以上のことから、GTMとGA4を組み合わせたCookieレス対策において「GA4はCookieレスで計測できる」という考えも誤りといえるでしょう。

よくある誤解2:無料版は最大14ヶ月分のデータしか見られない

GA4以前に使われていたUA(ユニバーサルアナリティクス)には、データ保持期限の設定項目に無期限がありました。しかし、GA4の無償版におけるデータ保持期限は、2カ月あるいは14カ月の2つの選択肢しかありません。そのため「GA4の無料版は最大14カ月分のデータしか見られない」と思っている人は少なくありません。しかし、厳密にいえばこれは誤解です。

制限を受けるのは「探索レポート」!「標準レポート」は14カ月を超えてさかのぼれる

14カ月の制限を受けているのは生データである、ユーザーデータおよびイベントデータの保持期限です。確かに、生データから作成される「探索レポート」は最長14カ月分しかさかのぼって見られません。しかし、生データを扱わない「標準レポート」はこの限りではありません。標準レポートは既に集計済みのデータを用いて作成されます。そのため、標準レポートのデータは14カ月よりさかのぼって見ることができます。これはデータの保持期限の設定項目とは無関係です。つまりは、データの閲覧期間に制限があるのは、探索レポートに限られるということです。

BigQuery(ビッグクエリ)を使えば14カ月以上のデータを保持閲覧できる

しかしながら、標準レポートでは見られる指標が限られているため、探索レポートをさかのぼりたいという方も少なくないでしょう。14カ月よりも過去のデータを利用したい場合には、GA4をBigQuery(ビッグクエリ)と連携させるとよいでしょう。UAでのBigQueryは有償版にしか用いることができませんでした。しかし、GA4では無償版であっても連携可能です。BigQueryと連携すれば、保持期間を超えるデータであっても取得し保持することが可能になります。ただし、保持したデータの中から適切なものを抽出するには、高いスキルが必要になります。

よくある誤解3:デフォルトのレポートで表示されている数字以外は「探索」を使う必要がある

GA4では計測結果を把握するために、「基本レポート」と「探索レポート」の2種類のレポートが用いられています。基本レポートはサイトの状況の概要を捉えるために、探索レポートはサイトの状況の詳細を知るために使われています。デフォルトの基本レポートで把握できない事柄について、探索によって調べるのが一般的なGA4の使い方です。そのため、「デフォルトのレポートで表示されている数字以外は探索と使う必要がある」と考えられがちです。しかし、これはよくある誤解といえます。

自分で好きな形式のレポートを作成することができる

GA4ではUA時代によく利用されていた「カスタムレポート」がメニューからなくなりましたが、[レポート]に表示するメニューやレポートを自分でカスタマイズすることが可能です。GA4のレポートは左側に表示される「コレクション」と呼ばれるメニューと、画面中央に表示される「レポート」の2つから構成されています。今回は、それぞれのカスタマイズ方法を簡単にご説明します。

コレクション(レポートメニュー)のカスタマイズ方法

  1. [レポート]に移動
  2. 画面左下の[ライブラリ]をクリック
  3. 画面中央に登録済みのコレクションが表示されるので、カスタマイズしたいコレクションの下部に表示されている「コレクションを編集」をクリック
  4. 左側の列がコレクション内に表示されるレポートの一覧、右側が現在GA4に登録されているレポートの一覧となっているので、左側の列にコレクション内に表示したいレポートをドラッグ
  5. [保存]  > [現在のコレクションへの変更を保存]をクリック

レポートのカスタマイズ方法

  1. [レポート]に移動
  2. 画面左下の[ライブラリ]をクリック
  3. 少し下にスクロールするとGA4に登録されているレポートが表示されるので、カスタマイズしたいレポートの右側に表示されている「︙」から「編集」をクリック
  4. 画面右側に表示されている「レポートをカスタマイズ」を編集。
    ディメンションや指標をクリックすると、現在のレポートで使用されているディメンションや指標を変更することが可能。
  5. [保存] > [現在のレポートへの変更を保存する]をクリック

「Looker Studio(ルッカースタジオ / 旧データポータル)」の利用でレポートを作成できる

GA4に「Looker Studio(ルッカースタジオ / 旧データポータル)」を連携させれば、デフォルトのレポートで表示されている数字以外を使って複雑なレポートを作成することが可能です。Looker Studioは、GA4で利用できる大部分のディメンションや指標を扱うことができますが、新規にGA4へ実装されたディメンションや指標については扱えるようになるまでにしばらく時間がかかることがあります。とはいえ、Looker StudioはGoogle広告、サーチコンソール、スプレッドシートなど、GA4以外のデータソースを扱うことも可能なので、複数のデータを統合したダッシュボードを作成したいときにパワーを発揮します。

GA4には広告レポートも存在する

GA4には、基本レポートと探索レポートのほかにも、広告レポート(広告メニュー)というものが存在しています。このレポートを使えば、コンバージョンに至った経路を詳しく分析することが可能です。そのため、「デフォルトのレポートで表示されている数字以外は探索と使う必要がある」という点は、誤りであるといえるでしょう。広告レポートは、GA4画面左側にある「広告」をクリックすれば、簡単に閲覧できます。しかし、広告レポートの内容を正確に理解し、マーケティングに利用するには、専門的な知識が必要です。

GA4は発展途上だからこそ情報が錯綜。正しい情報収集が何よりも大切

GA4の機能や使い方についてはさまざまな誤解があります。誤解が生まれる理由はGA4自体が発展途上のツールであるからです。GA4はアップデートを繰り替えし機能を追加しながら成長しています。GA4を正しく理解し機能を使いこなすには、正しい情報収集が欠かせません。いち早く情報が手に入れられるように、日々情報収集のアンテナを研ぎ澄ましておくようにしましょう。

この記事の監修者

冨塚 辰

冨塚 辰

プロジェクトマネージャー