ChatGPTとは?
アメリカのOpenAI社が開発したChatGPTは、2022年11月30日にプロトタイプが公開されたAIによるチャット生成サービスです。入力した内容に関する文章の自動生成や質問への回等、プログラミングなど幅広い用途に対応しています。無料で利用できる高品質なAIサービスとあってリリース当初から大きな注目を集め、わずか2ヶ月間でアクティブユーザー数1億人を突破しました。2023年8月時点では無料で利用できるエンジンGPT-3.5の他、月額20ドルの有料プランであるChatGPT Plusではアップグレード版エンジンのGPT-4も提供されています。
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ChatGPTはリリースからどのようにアップデートされたのか?
ChatGPTはその汎用性の高さもさることながら、頻繁なアップデートによる機能改善の早さも特徴に挙げられます。ここでは2023年8月時点までに実施されたChatGPTの主なアップデート履歴をまとめました。
2022年12月15日:「一般的なパフォーマンス向上」「会話履歴」「日次制限」
ChatGPTはリリース翌月に早くもアップデートを実施しています。この時行われたのは「一般的なパフォーマンス向上」「会話履歴」「日次制限」についてです。このアップデートではChatGPTが入力された内容に対して処理できず、回答を拒否する確立が下げられました。ChatGPTと交わした過去の会話履歴を参照できるようになったのもこの時期です。また、急速なアクセス増加に対応してサービスの安定化を図るために、1日あたりのメッセージ数上限を試験的に導入しました。
2023年1月9日:「幅広いトピックにおける性能向上」「生成停止機能の追加」
2023年1月9日のアップデート内容は「幅広いトピックにおける性能向上」「生成停止機能の追加」の2点です。質問への回答や文章生成に含まれる内容の事実性が向上し、より一層実用的なツールとなりました。従来は質問へのレスポンス生成が完全に終了しないと次のアクションが起こせませんでしたが、アップデートによって生成中断機能が実装されたため利便性が向上しています。
2023年1月30日:「モデル改善」
1月30日には「モデル改善」のアップデートが実施され、事実性および数学的な能力の向上が図られました。
2023年2月9日:「バージョン選択」追加
ChatGPTは2月1日から有料プランであるChatGPT Plusがリリースされ、同月9日のアップデートで「バージョン選択」が可能になりました。元々のモデルがデフォルトとして残される一方、実験的な施策としてレスポンス速度が最適化されたTurboバージョン(アルファ版)が実装されています。
2023年2月13日:「無料版の性能向上」「デフォルト設定の変更」「国際展開」
2月13日には同月の有料版公開に合わせて「無料版の性能向上」「デフォルト設定の変更」「国際展開」が行われました。幅広いユーザーに優れた体験を提供するために、有料版のみならず無料版にもテコ入れしている点はOpenAI社の姿勢が色濃く反映されていると言えるでしょう。このアップデートでは有料版ユーザーが利用するバージョンのデフォルト設定を、従来のものからTurboに差し替えられました。アメリカ国内から徐々に販売を拡大するとしていたChatGPT Plusの販売を国際的に展開し始めたのもこのタイミングです。
2023年3月14日:「GPT-4の導入」
3月14日には満を持して最新モデル(2023年8月時点)である「GPT-4の導入」が、ChatGPT Plusのユーザー向けに行われています。GPT-4では高度な推論・複雑な指示により一層高い創造性が実現され、ChatGPTの用途が更に広がることとなったのです。GPT-4の利用はサービスの安定普及のため、需要に応じて動的に使用制限を調整するという形が取られました。
2023年3月23日:AIプラグインのサポートがアナウンス
3月23日のアップデートでは一部のユーザーへ実験的にChatGPTにおけるAIプラグインのサポートがアナウンスされました。展開されたプラグインモデルは以下の3種類です。これらはウェイトリストへ登録したユーザーへの順次提供という形が取られました。
- ブラウジング:インターネット検索用モデル
- コードインタープリター:Pythonを使用可能なアップロード・ダウンロード対応モデル
- サードパーティプラグイン:外部プラグインの使用が可能なモデル
2023年5月3日:「チャット履歴のオフ」「Legacyモデル廃止」
「チャット履歴のオフ」「Legacyモデル廃止」が実装されたのは5月3日のアップデートです。設定画面からチャット履歴をオフにすることで内容がトレーニングと改善に使用されず、サイドバーの履歴欄にも表示されなくなります。データは30日間保存されており、設定画面からエクスポートできるので安心です。GPT3.5のレガシーモデルが廃止(同年5月10日)されたことにより、新規のメッセージはGPT-3.5のデフォルトモデルを使用するようになりました。
2023年5月12日:「webブラウジング」と「サードパーティプラグインの使用」
ChatGPTのベータ版が有料ユーザー向けに実装され始めたのが5月12日のアップデートです。この段階で「webブラウジング」と「サードパーティプラグインの使用」が多くのユーザーに提供されるようになりました。また、ChatGPTは文章を構成する最小単位である「トークン」に準じた利用が基本ですが、5月12日のアップデートではユーザーが最大トークン制限を超えてメッセージを生成し続けるという選択も可能になりました。
2023年5月24日:「共有リンク」「Bingプラグイン」「iOSアプリ履歴の無効化」
5月24日は「共有リンク」「Bingプラグイン」「iOSアプリ履歴の無効化」がアナウンスされました。自分が作成したChatGPTとの会話を他人と共有できるようになっただけでなく、受信した人がそのスレッドを続けることも可能です。この時点ではアルファ版として一部ユーザーに試験提供されていました。Microsoft Bingとの連携性が高まったことで、実行中のクエリをクリックしてアクセスできるようになっています。iOSアプリでの履歴無効化はブラウザ版に準拠する仕様です。
2023年6月13日:「Function Calling」「コスト削減」「モデルの改善」
6月13日は「Function Calling」「コスト削減」「モデルの改善」という内容でアップデートが実施されています。Function Callingとは関数呼び出しのことで、任意で定義しておいた関数をChatGPTが判断し、ピックアップしてレスポンスに反映してくれるというものです。これは機能の一部を外部サービスと共有するAPIにおいて画期的なものとして注目を集めました。ChatGPTでは2023年3月2日からAPIを公開していますが、利用に際してはトークンに応じた従量課金が必要です。このアップデートでは一部のAPIで1000トークンあたりの課金額が見直され、開発者が低価格でChatGPTのAPIを活用できるようになりました。モデル改善ではGPT-4とGPT-3.5-turboに0613版が実装されパフォーマンスが改善しました。GPT-3.5-turboには16k版も追加されて通常の約4倍のトークンを処理可能になったのです。
2023年7月6日:「GPT-4のAPIを一般解禁」「ファインチューニング対応」「Completion API使用モデルの段階的廃止」
「GPT-4のAPIを一般解禁」「ファインチューニング対応」「Completion API使用モデルの段階的廃止」は7月6日にアナウンスされています。従来は一部のユーザーしか利用できなかったGPT-4がすべてのユーザーに開放され、多くの開発者から注目を集めました。用途の微調整に必要なファインチューニングへの対応を発表する他、3月のChat Completions APIリリース以前の古い言語モデルを段階的に廃止することでユーザーの混乱を避けつつサービスの最適化が図られています。
2023年7月20日:「Custom instructions」
7月20日に「Custom instructions」と呼ばれる機能がChatGPTへ実装されました。これはチャットボットが応答する際に考慮すべき設定・条件を、予めユーザーが任意で設定できるというものです。ユーザーの状況や好みを把握した自然で的確なレスポンスが可能となります。1度設定すれば会話の流れを学習するので、質問の度に条件を入力する必要はありません。
2023年7月25日:Android版ChatGPTアプリの紹介
ChatGPTのAndroid版が米国、インド、バングラデシュ、ブラジルでダウンロードできるようになりました
2023年8月3日:ChatGPTの機能追加
全般的に機能が追加されました。
- チャット開始時にプロンプトの例(〜を教えてください。)が表示されるようになりました。これにより初心者の方や使い慣れてない方が質問しやすくなります。
- 回答に関連する質問がサジェストで追加されるようになりした。サジェストに出てきた質問をクリックする事で追加で質問ができるようになり、入力する手間を省けます。
- ChatGPT PlusユーザーはデフォルトでGPT-4になりました。
- ChatGPT PlusユーザーはCode Interpreteで複数のファイルをアップロードできるようになりました。
- これまで2週間ごとにログアウトされてましたが、ログイン状態が維持されるようになりました。
- ショートカットキーの追加、【⌘ ( Ctrl ) + Shift +;】で直前のコードブロックをコピーできます。【⌘(Ctrl)+/】ショートカットキーのリストが確認できます。
2023年8月28日:ChatGPT Enterpriseの発表
ChatGPT Enterpriseを発表しました。これはエンタープライズグレードのセキュリティとプライバシー、無制限の高速GPT-4アクセス、長いコンテキストウィンドウで長い入力を処理するための機能、高度なデータ分析機能、カスタマイズオプションなどを提供します。
2023年9月11日:ChatGPT言語サポート – ウェブ上でのアルファ版
ChatGPTは現在、インターフェースで限られた言語の選択をサポートしています。
- 中国語(簡体字)
- 中国語(繁体字)
- フランス語
- ドイツ語
- イタリア語
- 日本語
- ポルトガル語
- ロシア語
- スペイン語
これらのサポートされた言語のいずれかをブラウザで設定している場合、ChatGPTで言語設定を切り替えるためのバナーが表示されます。このオプションはいつでも設定メニューから無効にできます。
2023 年 9 月 27 日:CHatGPT PlusでWebブラウジング機能を復活
現在、CHatGPTの情報は2021年9月以降の最新の情報を持っていませんが、CHatGPT PlusWebブラウジング機能を使う事により最新の情報を取得して回答を得る事ができるようになります。
ChatGPTは進化しつづけているのか?
ChatGPTは2022年11月の公開以降、驚異的なスピードでアップデートを繰り返し進化を続けています。研究が盛んに行われているAI分野のツールであるということもありますが、その言語処理能力に裏打ちされた実用性・汎用性の高さが爆発的な推進力になったと言えるでしょう。2019年の時点でOpenAI社はMicrosoft社から10億ドルもの初期投資を受け、本格的なAI研究とアプリケーション開発に成功しています。2021年に140億ドルだったOpenAI社の評価額は、ChatGPTリリース後の2023年3月時点で2倍以上の290億に上るとされました。2023年1月にはMicrosoft社が数年規模で100億ドルの追加投資を検討している報道がなされるなど、今後の成長にも大きな期待が寄せられています。