投稿日 2024.03.27

最終更新日 2024.03.27

国際物流における3PLとは?意味やメリットを理解して正しく導入を進めよう

国際物流における3PLとは?意味やメリットを理解して正しく導入を進めよう
国際取引の増加やグローバルサプライチェーンの構築が進む中、物流業に携わる事業者が知っておきたい概念として3PLが挙げられます。
 
3PLへの理解があることで、リソースの最適化やロジスティクスを設計する際の品質向上につながるため、知っておいて損はないでしょう。

この記事では、国際物流において重宝されている3PLとはどのような考え方なのかについて解説しながら、そのメリットなどについて紹介します。

3PLとは

この記事では、国際物流において重宝されている3PLとはどのような考え方なのかについて解説しながら、そのメリットなどについて紹介します。

3PLとは「Third(3rd) Party Logistics」の略称で、自社で対応している物流業務を、外部の物流業者に外部委託するアウトソーシングの概念を指す言葉です。
 
3PLに応じている物流会社は「3PL事業者」と呼ばれ、物流業務の中で発生するマネジメントや現場のオペレーションを、一括で引き受けることができます。資材調達を行う調達物流に倉庫管理などを担う生産物流、消費者への運輸を担う販売物流と、全ての業務をアウトソーシングできるのが3PLです。
 
業務の包括的な外部委託ができることから、近年は多くの需要を有する分野として注目を集めています。

3PLが求められる背景

3PLが求められる背景

3PLのような概念が世間で広く知られるようになった背景としては、以下のような理由が挙げられます。

物流需要の拡大

3PLが定着しつつある大きな理由の一つに、物流業務の需要が急増していることが挙げられます。
ECサービスの発達やグローバリゼーションの浸透に伴い、国内外を問わず日々無数の荷物がやりとりされるようになりました。結果、物流業務の高度な遂行能力が企業にも問われることになり、円滑な業務遂行は企業の収益性にも直結しています。
 
ただ、自社で物流業に対応する場合は高度化する需要に対応するべく、強力な物流システムを構築する必要があり、その整備には時間も費用もかかるものです。そこで3PLを活用し、短期間で迅速に物流網を外部で整備することで、速やかなビジネスの成長を促すことができます。

デジタルサービスの多様化

物流需要の拡大とともに、豊富なデジタルサービスが登場していることも普及の背景に挙げられるでしょう。
 
インターネットが高度に発達したことで自社のニーズに最適なサービスを見つけられるようになっただけでなく、サービスが需要に応じて細分化され、依頼のハードルも下がってきています。

アウトソーシングの定着

以前に比べ、業務をアウトソーシングする分業体制が多くの業界で定着しつつあることも、3PLの活用が進んでいる背景と言えます。
 
従来では自社の業務は全て自社で賄うというのが慣習でしたが、最近ではあらゆる側面でアウトソーシングが進んでおり、コア業務だけ自社で賄い、ノンコア業務は外部に委託するケースが増えています。
 
組織規模がいずれの企業でも小さくなっており、余計な維持コストを抱えたくないというニーズは高いことから、今後も3PL市場は拡大していくでしょう。

4PLとの違い

4PLとの違い
3PLと似たような概念として知られているのが、4PLです。4PLは「Fourth Party Logistics」の略称で、3PLにて提供されるサービスに加え、ロジスティクス戦略の立案などといったコンサルティング業務を含めたものです。
 
3PLよりもさらに抽象度の高い範囲の業務を引き受ける4PLは、より本質的な問題解決やロジスティクス分野におけるソリューションの提案を受けたい場合に有用な選択肢と言えるでしょう。
 
また、4PLの場合はコンサルティングの部分が主要な料金となるため、3PLとは報酬体系に微妙な違いがあるのも特徴です。3PLは物流業務をそのまま代行するような形式のため、物流業を遂行することに報酬が発生しますが、4PLだと物流網の効率化やコストカットも業務範囲となるため、利益相反となってしまうからです。
 
状況に応じて、2つのサービスのどちらを利用すべきか検討すると良いでしょう。

3PL導入のメリット

3PL導入のメリット
3PL導入には、大きく分けて以下の3つのメリットが存在します。

コア業務へのリソースの集中が実現する

3PL導入の最大のメリットは、コア業務にリソースを集中できるようになる点です。これまでは物流というノンコア業務のために相応の人員を割いていたのが、全てコア業務に再配置して事業を育てられる仕組みを整備できるでしょう。
 
人材不足の深刻化や、それに伴う人件費の高騰が進む中、もはや自社で全ての業務を賄うことは極めて困難であるとともに、自社対応そのものがリスクになるケースも見られるようになってきました。
 
こういった課題をまとめて解決できるのが3PLの活用で、物流の外部委託によって人材不足に悩まされる心配から解放されるとともに、システムの維持管理負担も解消することができます。
 
最小限の人員でコストを抑え、事業を育てていく仕組みを整える上でも有効な選択肢です。

適切なコストで物流業務を遂行できる(固定費の変動化)

3PLの活用は、専門企業による高度な物流ノウハウを自社でも採用することにつながるため、物流業務のコストを最適化することにつながります。自社対応で発生した無駄な負担をカットして、適正価格で物流業務を遂行できるので、コストカットにつながる場合もあるでしょう。
 
また、固定費として発生していた物流に関するあらゆるコストを、3PLによる外部委託で変動費として計上できるようになるため、キャッシュフローの改善に役立ちます。

物流業務の品質向上につながる

物流専門の会社に業務を任せられる3PLは、物流業務の品質向上においても重要な役割を果たします。
 
顧客との直接的な接点ともなり得た物流業務をエキスパートに任せることで、輸送スピードの改善などのサービス向上を実現し、顧客体験を高めることも可能です。

3PLにおけるアセット型・ノンアセット型の違い

3PLにおけるアセット型・ノンアセット型の違い

3PLを扱う企業においては、大きく分けてアセット型とノンアセット型という2つの形式が存在します。
 
アセット型の3PL企業とは、自社で業務に関連する資産、つまりアセットを所有している組織のことを指します。運輸トラックや倉庫、その他物流拠点などです。物流業務をワンストップで担えるので、サービスの速やかな提供や円滑なコミュニケーションを期待しやすいのが特徴です。
 
一方のノンアセット型3PL企業は、上述したアセットを持たない形態の企業です。主に業務のコンサルティングなどに注力しているケースが多く見られるとともに、アセットを持たない分、柔軟なソリューションをクライアントに提供できるスキルを持っているケースが多く見られます。

3PL導入の注意点

3PLの導入は魅力的なメリットが揃っていますが、一方で注意しておきたいデメリットも存在します。

物流ノウハウの蓄積が進まない(空洞化)

3PLの導入は、物流関連業務を外部に全て任せられるという点で魅力的な選択肢ですが、一方で自社匂えkる物流業のノウハウはほぼ全て失われてしまうため、関連したスキルセットを持った人材が不在になったり、蓄積が進まなくなったりする問題が出てきます。
 
物流ノウハウが空洞化してしまうと、発注先企業の提案や発注先の業務へ過度に依存することとなってしまい、より優れたソリューションを得られる機会が失われるリスクも現れてしまいかねません。
 
自発的にソリューションを検討することもできず、場合によってはパフォーマンスの相対的な低下やコストの増大に悩まされることもあるでしょう。

協力体制の構築が必要

3PL企業に外部委託するときは、高度な協力体制を構築していく必要もあります。適宜コミュニケーションを取りつつ、最適な意思決定やサービスの提供を進めるためです。
 
そのため、自社に全く物流のノウハウを持った人材がいなくなってしまうと、このような体制構築の面で不備も出てくるため、一定数の担当者の確保、あるいは専門の仲介業者を頼りにすることで、パフォーマンスを維持する必要があります。

まとめ

この記事では、国際物流における3PLとはどのようなサービスなのか、具体的なメリットや注目の背景に触れながら紹介しました。
 
3PLは次世代の物流環境整備において重要な役割を果たしますが、導入に際しては注意すべきポイントもあります。そこでFabeeでは3PLの利用を検討している方に向けて、物流業務の委託に伴う支援サービスを提供しています。
 
3PL委託時に検討したい課題の発見と分析、そして課題解決に最適なソリューションを提案し、コミュニケーションコストの削減やパフォーマンスの最大化を促すことが可能です。
 
3PL利用の際には、お気軽に当社Fabeeまでご相談ください。

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この記事の監修者

阿部 雅文

阿部 雅文

コンサルタント

北海道大学法学部卒業。新卒でITベンチャー企業入社し、20代で新規事業の事業部長を経験。その後さらなる事業開発の経験を積むために、戦略コンサルティングファームにてスタートアップ企業からエンタープライズ企業のデジタルマーケティングや事業開発におけるコンサルティング業務に従事する。2021年5月にFabeeeにジョイン。DXコンサルタントとして大手メーカーや総合商社などを担当するほか、数多くのクライアントから指名を受け、各社の事業開発を支援中。多忙を極める中でも、丁寧で迅速な対応が顧客から高い評価を得ている。