投稿日 2024.04.01

最終更新日 2024.04.01

経理のDX推進の重要性や成功のポイントを事例を踏まえて解説

経理のDX推進の重要性や成功のポイントを事例を踏まえて解説

経理DXとは

経理DXとは、経理業務におけるデジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)の略称です。従来の手作業や紙ベースの処理から、デジタル技術を活用した効率的な業務へと変革することを指します。具体的には、クラウド会計ソフトの導入、電子帳簿保存法への対応、AI・RPAを用いた自動化など、さまざまな取り組みが含まれます。経理DXは、業務の効率化、コスト削減、ミスの防止、リアルタイムでのデータ分析など、多くのメリットをもたらします。また、テレワークへの対応や、経営判断のスピードアップにも役立ちます。経理DXは、企業の競争力強化に不可欠な取り組みといえるでしょう。

経理DXの課題

経理DXを推進する上では、いくつかの課題があります。まず、既存の業務プロセスや社内規定との調整が必要です。デジタル化に伴い、業務フローや承認プロセスの見直しが求められます。次に、システム導入やデータ移行に関する初期コストが発生します。クラウド会計ソフトやRPAツールの選定、導入作業には一定の投資が必要です。また、セキュリティ対策も重要な課題です。機密性の高い財務データを扱うため、適切なアクセス権限の設定やデータ暗号化などが求められます。加えて、従業員のITリテラシーの向上も欠かせません。新しいシステムやツールの使い方に習熟するための教育・研修が必要となります。さらに、経理DXは一時的なプロジェクトではなく、継続的な取り組みが求められます。デジタル技術の進歩に合わせて、常に業務改善を図っていく必要があるでしょう。

経理DXの導入メリット

経理DXの導入は、さまざまなメリットをもたらします。第一に、業務の効率化が図れます。紙の書類や手作業が減ることで、処理スピードが向上し、残業時間の削減につながります。第二に、コスト削減効果があります。ペーパーレス化により、印刷・保管コストが抑えられます。また、クラウド会計ソフトの活用で、ITインフラの維持費用も削減できます。第三に、ミスの防止と内部統制の強化が期待できます。手入力によるミスが減り、データの整合性が保たれます。また、電子データの監査証跡を確保することで、不正の防止にも役立ちます。第四に、リアルタイムでのデータ分析が可能になります。経営判断に必要な財務データをタイムリーに提供できるようになります。第五に、テレワークへの対応力が高まります。クラウドベースのシステムを活用することで、場所を問わずに経理業務を遂行できます。

経理DXの成功事例の紹介

経理DXの成功事例として、A社の取り組みが挙げられます。A社は、クラウド会計ソフトを導入し、経費精算やデータ入力の自動化を実現しました。その結果、経理担当者の作業時間が50%削減され、残業時間が大幅に減少しました。また、リアルタイムで財務データを把握できるようになり、迅速な経営判断が可能になりました。
 
B社は、電子帳簿保存法に対応し、紙の書類をデジタル化することで、保管スペースを80%削減しました。また、RPAを活用して、伝票の仕分けや勘定科目の割り当てを自動化。人的ミスが減少し、業務の正確性が向上しました。
 
C社は、AIを活用した取り組みが特徴的です。AIを用いて、取引先との請求書の照合や、経費精算の審査を自動化。処理スピードが向上しただけでなく、不正の検知力も高まりました。
 
これらの事例から、経理DXが業務効率化やコスト削減、ガバナンス強化に大きく寄与することがわかります。

経理DXの実施手順

経理DXを実施する際は、以下のような手順が考えられます。

1. 現状分析と目標設定

現在の経理業務の課題を洗い出し、DXによって達成したい目標を明確にします。業務の非効率性、紙の書類の多さ、人的ミスの発生状況などを詳細に分析します。また、経理業務に関連する他部門の課題や要望も収集します。これらを踏まえ、業務効率化、コスト削減、ガバナンス強化など、具体的な目標を設定します。

2. DX推進体制の構築

経理部門だけでなく、IT部門や経営層を巻き込んだ推進体制を整えます。経理DX推進のための専任チームを立ち上げ、役割分担を明確にします。また、経営層のスポンサーシップを取り付け、全社的な支援体制を構築します。外部のコンサルタントや専門家の活用も検討します。

3. システムやツールの選定

クラウド会計ソフトやRPAツールなど、自社に適したシステムを選定します。導入コスト、機能性、ユーザーインターフェース、セキュリティ面などを総合的に評価し、複数のベンダーの比較検討を行います。また、既存システムとの連携や、データ移行の手順についても検討します。

4. 業務プロセスの見直し

デジタル化に合わせて、業務フローや承認プロセスを見直します。紙の書類の排除、電子決裁の導入、業務の標準化などを進めます。また、経理規程や文書管理規程の改定も行います。業務プロセスの設計では、現場の意見を十分に取り入れ、運用面での課題を洗い出します。

5. データ移行とシステム導入

既存のデータを新システムに移行し、システムを導入します。データの整合性チェック、移行後のテストを入念に行い、トラブルを未然に防ぎます。また、システム導入に伴うインフラ整備も並行して進めます。ユーザー向けの操作マニュアルや FAQ を整備し、円滑な運用開始を支援します。

6. 従業員教育とマニュアル整備

従業員向けの操作研修を実施し、マニュアルを整備します。経理担当者だけでなく、経費精算や請求書発行に関わる全社員への教育が必要です。また、問い合わせ対応の体制も整えます。研修では、システムの操作方法だけでなく、経理DXの意義や目的についても説明します。

7. 試験運用と本格運用

一定期間の試験運用を経て、本格的な運用を開始します。試験運用で洗い出された課題を改善し、安定的な運用を目指します。また、運用開始後も、定期的なモニタリングを行い、継続的な改善を図ります。ユーザーの意見を収集し、システムの改善や追加機能の開発につなげます。

8. 運用改善とさらなる高度化

安定運用が軌道に乗った後は、運用改善とさらなる高度化に取り組みます。AIやビッグデータ分析など、新たなデジタル技術の活用を検討します。また、他部門との連携強化や、取引先とのデータ連携なども視野に入れます。経理DXを起点として、全社的なデジタル化を推進することが望まれます。
 
これらの手順を着実に進めることで、スムーズな経理DXが実現できるでしょう。ただし、経理DXは一時的なプロジェクトではなく、継続的な取り組みが求められます。デジタル技術の進歩に合わせて、常に業務改善を図っていく必要があります。

経理DXの成功のポイント

経理DXを成功に導くためには、いくつかのポイントが挙げられます。

1. トップのリーダーシップ

経理DXは単なるシステム導入ではなく、業務プロセスの変革を伴います。トップ自らが推進の意義を社内に伝え、強力なリーダーシップを発揮することが求められます。

2. 現場の巻き込み

経理DXの推進には、現場の経理担当者の協力が不可欠です。現場の意見を取り入れながら、業務設計を行うことが重要です。

3. ITベンダーとの協働

適切なシステムやツールの選定・導入には、ITベンダーの知見が欠かせません。自社の要件を明確に伝え、ベンダーと緊密に連携することが求められます。

4. セキュリティ対策の徹底

クラウドシステムの利用に伴い、セキュリティ面の対策が重要です。適切なアクセス権限の設定、データの暗号化、監査証跡の確保などが欠かせません。

5. 柔軟な対応と継続的改善

経理DXは一朝一夕で完了するものではありません。運用開始後も、柔軟な対応と継続的な改善が求められます。PDCAサイクルを回し、常に最適化を図ることが重要です。
 
これらのポイントを押さえることで、経理DXの成功確率が高まるでしょう。経理DXは、企業の競争力強化に直結する重要な取り組みです。デジタル技術を効果的に活用し、経理業務の変革を図ることが求められています。

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この記事の監修者

阿部 雅文

阿部 雅文

コンサルタント

北海道大学法学部卒業。新卒でITベンチャー企業入社し、20代で新規事業の事業部長を経験。その後さらなる事業開発の経験を積むために、戦略コンサルティングファームにてスタートアップ企業からエンタープライズ企業のデジタルマーケティングや事業開発におけるコンサルティング業務に従事する。2021年5月にFabeeeにジョイン。DXコンサルタントとして大手メーカーや総合商社などを担当するほか、数多くのクライアントから指名を受け、各社の事業開発を支援中。多忙を極める中でも、丁寧で迅速な対応が顧客から高い評価を得ている。