投稿日 2024.05.31

最終更新日 2024.05.31

経理業務の属人化防止の具体策と事例をご紹介

経理業務の属人化防止の具体策と事例をご紹介

経理業務の属人化とは

経理業務の属人化とは、特定の担当者にしか業務のノウハウや情報が集中し、他のメンバーが円滑に引き継げない状態を指します。属人化が進むと、担当者の離職や急な欠勤の際に業務が滞るリスクが高まります。また、業務効率の低下や不正のリスクも増大します。属人化を防止するには、業務の「見える化」や標準化、情報共有の仕組み作りが不可欠です。

経理業務における属人化の問題点

経理業務は企業の財務状況を正確に把握し、適切な意思決定を支える重要な機能ですが、属人化が進むと以下のような問題が生じます。

1. 業務の停滞リスク

担当者が休暇や急な欠勤、離職した際に、他のメンバーが速やかに業務を引き継ぐことができない恐れがあります。その結果、支払いの遅延や決算の遅れなど、業務が大幅に停滞するリスクが高まります。

2. 不正のリスク増大

属人化が進むと、特定の担当者に業務や権限が集中し、牽制機能が働きにくくなります。これにより、不正な経理処理や横領などのリスクが高まる可能性があります。

3. 業務効率の低下

属人化した業務は、担当者の癖や独自のルールに依存することが多く、効率的とは言えません。また、ノウハウの共有や改善が進まないため、生産性の向上も期待できません。

4. 内部統制の脆弱化

属人化は内部統制の観点からも大きな問題です。業務の可視性が低く、チェック機能が十分に働かない状況では、財務報告の信頼性を担保できなくなるおそれがあります。
 
以上のように、経理業務の属人化は企業の財務管理や内部統制に重大なリスクをもたらします。早期の対策が求められる課題と言えるでしょう。

属人化の解決策とメリット

経理のデジタル化は段階的に進めることが望ましいです。まずは、請求書や納品書などの紙文書の電子化から着手しましょう。専用のスキャナーやOCRソフトを活用し、効率的にデータ化します。
 
次に、会計処理の自動化を図ります。クラウド会計ソフトを導入し、仕訳入力の自動化や、銀行口座との連携による入出金管理の効率化を実現します。経費精算もデジタル化し、申請から承認、仕訳連携までをシステム上で完結させると良いでしょう。
 
さらに、債権債務管理のデジタル化も重要です。請求書の発行や入金消込、未収金の管理などをシステム化し、業務の正確性と迅速性を高めます。支払処理も電子承認化し、適切な権限管理のもとペーパーレスで行います。
 
加えて、決算業務の自動化も検討すべきです。月次や年次の決算処理をシステム化し、財務諸表の作成を自動化することで、大幅な工数削減とスピードアップが見込めます

デジタル化の実施と運用

デジタル化の実施フェーズでは、導入したシステムを現場に適用し、本格運用を開始します。ユーザー教育を徹底し、新しい業務プロセスに即した操作方法をマスターしてもらいます。並行して、既存の紙文書のデータ化を進めていきます。
 
運用開始直後は、想定外の問題が発生するケースもあります。トラブルシューティングの体制を整え、迅速に対応することが求められます。また、デジタル化による業務効率や精度の改善状況をモニタリングし、システムの調整や改善を図っていくことも大切です。
 
セキュリティ対策の徹底も忘れてはなりません。アクセス権限の設定やログ管理を適切に行い、機密情報の漏洩防止に努めます。クラウドサービスを利用する場合は、信頼できるベンダーを選定し、SLA(Service Level Agreement)をしっかりと取り交わしておくことが重要です。
 
デジタル化を定着させ、持続的な効果を得るには、全社的な意識改革も必要不可欠です。トップのリーダーシップのもと、デジタル化の意義と成果を社内に浸透させ、継続的な改善活動につなげていくことが肝要といえるでしょう。

デジタル化の効果と成果の評価

経理のデジタル化による効果は、業務効率の改善や人的ミスの削減、コスト削減など多岐に渡ります。例えば、請求書の電子化により、発送コストや保管スペースの削減が実現します。また、会計処理の自動化や経費精算のペーパーレス化は、業務時間の大幅な短縮につながるでしょう。
 
債権債務管理のデジタル化は、入金遅延の防止や与信管理の適正化に役立ちます。未収金の早期回収や不良債権の発生抑止など、キャッシュフローの改善にも寄与するはずです。さらに、決算業務の自動化により、月次決算の大幅な早期化と経営判断の迅速化が可能になります。
 
デジタル化の成果を定量的に評価するには、KPIを設定し、継続的にモニタリングすることが重要です。例えば、業務工数の削減率、ペーパーレス化率、決算処理の短縮日数などを指標化し、改善度合いを測定します。システム活用率や、ユーザー満足度といった定性的な評価も合わせて行うと良いでしょう。
 
評価結果をもとに、デジタル化の効果を検証し、さらなる改善につなげていくことが求められます。デジタル化は一過性のプロジェクトではなく、継続的な取り組みとして位置付け、PDCAサイクルを回していく必要があります。

デジタル化の持続性と改善

経理のデジタル化を持続的なものとするには、デジタル化戦略を企業経営の根幹に位置付け、中長期的な視点で推進することが重要です。単なるコスト削減策としてではなく、財務経営力の強化や、事業の成長戦略を支えるための取り組みとして、全社的な理解と支持を得ることが欠かせません。
 
また、デジタル化によって得られたデータを有効活用し、経営の意思決定に役立てていくことも大切です。リアルタイムの財務データを経営層で共有し、迅速かつ的確な判断を下せる体制を整備しましょう。加えて、データ分析による業務プロセスの可視化や、ボトルネックの特定など、継続的な業務改善にもつなげることが望まれます。
 
デジタル技術の進歩は目覚ましく、常に最新のソリューションを取り入れていく柔軟性も必要です。クラウドサービスの活用などにより、システムの拡張性や柔軟性を確保しつつ、セキュリティ面の強化も図っていきます。また、AIやRPAなどの先進技術の適用も視野に入れ、さらなる自動化や効率化を目指すことも有効でしょう。
 
経理のデジタル化は、一朝一夕で達成できるものではありません。トップのリーダーシップのもと、全社一丸となって取り組み、デジタル化を企業文化として根付かせていくことが何より重要です。その過程では、試行錯誤も必要ですが、長期的な視点を持ち、地道な改善を積み重ねることで、経理業務のデジタル化を成功に導くことが可能となるでしょう。

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