投稿日 2023.10.24

最終更新日 2023.10.24

ChatGPTとAIの役割がDX推進を後押しできるのかを分かりやすく解説

ChatGPTとAIの役割がDX推進を後押しできるのかを分かりやすく解説

ChatGPTとDX推進の関係性は?

ChatGPTはさまざまなコンテンツ生成が行なえるAI(人工知能)で、生成に必要な学習能力も持っています。一方、DX(デジタルトランスフォーメーション)はデジタル技術を使い、新たなサービスやビジネスモデルを創出・変革することを指します。DX推進にデジタル技術の活用は不可欠ですが、ChatGPTは社内外のコミュニケーションに役立つツールとして注目され、活用が始まっています。ChatGPTはDXを推進するうえで有用な働きをしていくと考えられています。

ChatGPTを活用してDX推進できること

ChatGPTを活用すると、幅広い業務でDX推進が可能です。まずは、どのような分野で活用できるかについて記載します。加えて、マーケティングをイメージした活用方法の一例をご紹介します。

情報収集

ChatGPTが獲得している膨大な情報を活用して、容易に情報収集ができます。Webサイトの検索機能では欲しい情報にたどり着けなかったり、詳しくないジャンルの情報をうまく引き出せない可能性があります。一方、さまざまなデータベースとリンクしているChatGPTを使うと、初めて調べるジャンルの情報も効率よく収集でき、作業時間の短縮に役立ちます。

アイデア出しや文章作成

ChatGPTはアイデアとなるキーワードを抽出したり、読み手を意識した文章作成を得意としています。ChatGPTは膨大な情報を学習しているため、アイデアとなるキーワードを一個人で考えるよりも多く抽出できるでしょう。また、自然言語処理ができるChatGPTは、人が書いたような自然な文章を生成することに長けています。人に訴える魅力的な文章を使い、効果的なマーケティング活動を行うことも可能になるでしょう。

オフィスツールの活用

ChatGPTはオフィスツールとの連携も始まっています。表計算ソフトに組み込まれた関数を使って質問できる機能があるほか、具体的な条件を指定することでメールの文章を作成できます。マーケティング担当者は日々さまざまな数字を集計したり、クライアントにメールを返信するといったこまごました仕事をこなす必要もあります。ち密さが要求されるルーティンワークをChatGPTに任せることで業務効率アップが図れますし、新しいアイデア創出のための時間も取れるようになるでしょう。

業務の自動化

担当者レベルの業務の自動化は表計算ソフトの関数やVBAなどで行うことが一般的ですが、実現にはある程度のスキルが必要でした。一方、ChatGPTでは目的にかなった関数を質問しながら見つけたり、VBAのプログラムを組むことができます。データ集計の自動化や顧客対応に役立てるなど、業務効率化に大きく貢献するに違いありません。

プログラミング・Web製作

言語習得やデザインスキルなどが求められるプログラミングやWeb作成をChatGPTで行えます。ChatGPTでは、前提知識がなくても汎用性があるJavaや比較的新しい言語であるPythonを使ったプログラミングが可能です。また、Webサイトのコードを書きだすこともできます。人と会話するようにプログラムを書いたり修正できるため、IT人材不足解消につながると考えられています。DX人材不足の一端を担う事ができます。

マーケティングにおけるDX推進

マーケティング分野では、ChatGPTを顧客とのコミュニケーションに活用できるでしょう。企業の公式WebサイトやSNSにChatGPTを活用したチャットボットを導入すると、顧客対応を行う社員の負担軽減に役立ちます。顧客にとってはアクセス可能なチャネルが増えることになるため、顧客満足度の向上も期待できます。

DX推進としてChatGPTを活用した事例

DX推進を目指してChatGPTの活用を始めた事例は増えています。販売促進や企業間競争を意識するマーケティング担当者であれば、ChatGPTの活用にとどまらず情報漏洩など懸念点の解消方法も気になることでしょう。ここでは、すでにChatGPTを利用し始めた企業数社の取り組みを伝えるとともに、導入・運用に際して各社が気を付けた点を併記しますので参考にしてください。

株式会社サイバーエージェント

インターネット放送事業やWeb広告事業に注力する株式会社サイバーエージェントでは、ChatGPTを活用してデジタル広告の運用を根本から変える取り組みを始めています。同社における広告関連の業務時間は月間約23万時間ですが、その約3割に当たる7万時間削減を目指すとしています。手始めとして、自動回答や海外拠点とのやり取りなど社内コミュニケーションに関わる部分の作業効率化を進めているようです。なお、導入にあたっては、AIモデル学習に使われないことが約束されているAPIのみを利用するとともに、顧客情報を入力しない形で運用し、セキュリティに配慮しています。

パナソニックコネクト株式会社

パナソニックのグループ企業であるパナソニックコネクト株式会社では、単なるIT化にとどまらず、業務オペレーションや企業文化の変革のためにChatGPT技術を活用した「PX-GPT」を構築しました。利用範囲は技術・製造・営業を含む国内全社員で、ビジネスアイデアの創出や生産性向上、業務プロセスの見直しなどに活用され始めています。導入にあたっては、別の目的で使用されないよう、一定期間経過後に入力情報が消去される仕様としました。また、機密情報および個人情報などを入力しないよう社員教育を行うほか、注意喚起を徹底しています。

ChatGPTをDX推進の一環として使うポイント

冒頭でも述べた通り、DXはデジタル化・IT化により新たな価値を創出したり、ビジネスモデル構築の役割があります。そのため、単にChatGPTを導入して、社員が好き勝手に使うというやり方では不十分です。社内外への波及効果や懸念事項を加味して導入・運用を検討する必要があるでしょう。ここでは、マーケティング担当者が1ユーザーとしてChatGPTを使うことに加え、社内全体で最大限の効果を発揮する使い方や導入・運用時の注意点をご紹介します。

社内で安全に使うための環境を整える

ChatGPTをDX推進に役立てるには、得られる成果とセキュリティのバランスを考えることが重要です。アイデア創出や業務効率化を達成できても、情報漏洩などセキュリティへの意識が問われるような事象が発生してしまうと、企業の存続すら危うくなってしまいます。ITスキルは所属部署や担当業務などにより異なることが考えられます。効果だけに焦点を当てるのではなく、安心安全に使える方法を模索していくことが大切です。会社によっては、いきなり全社的に展開するのではなく、徐々に規模を広げることも必要でしょう。また、利用方針やガイドラインなどを整備すれば、ChatGPT活用に特化した教育体制を構築できるかもしれません。

AI人材の育成と各社員のAIスキルの底上げ

ChatGPTによりDXを推進するには、AIに詳しい人材の確保・育成が大事になります。技術的なことを理解しているだけでなく、社内でどのように活かすと業績アップにつなげられるかをイメージできる人材が必要です。AI分野はすでに人材不足が懸念されているため、優秀な人材を確保するにはある程度の投資が求められるかもしれません。社内人材育成の中長期的な計画も必要です。
 
ChatGPTはDX化を進める有用な道具の一つです。ChatGPTに限らず、道具の特性を熟知し、使い方をマスターした人は良い仕事ができる可能性が高まります。ChatGPTは質問の仕方によって得られる回答が異なることが知られており、使い手に大きく依存したツールと言えます。社員一人一人がChatGPTの使い方に加え、ベースとなっているAIの理解を深めると、社内全体のDX推進に寄与するでしょう。

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