DXの基本理解
化粧品製造業にDXを導入するにあたって、そもそもDXとは何かという基本的なことを理解しておかなければなりません。DXは、英語の「Digital Transformation」の略称で、日本語にすると「デジタルによる変革」という意味になります。製造業であれば製造工程で作成しなければならない指示書や記録、検査に関する書類の電子化やAIで効率的な商品開発を行うことなどがDXでできることです。DXを導入すれば、人の手で作業を行うよりも効率的で正確になり、ヒューマンエラーの発生を抑制できます。人手がいらなくなるので人件費も削減でき、利益を出しやすくなるでしょう。その結果、生産性は向上し企業の業績も良くなります。
注意点としては、優れたシステムを導入したとしても、運用する人の意識が追いつかなければ、使いこなせませんしヒューマンエラーも発生してしまいます。研修などを通じて、従業員の意識改革に取り組みDXに対応できる体制を整えることが必要です。また、DXの効果は短期間で出るものではありませんから、中長期の効果測定を行った方が良いでしょう。
新規事業開発のポイント
化粧品製造業のDXでは、業務効率化を図り業績アップだけでなく、新規事業開発による利益創出も図ることができます。例えば、これまで大手化粧品メーカーのOEM商品を製造していた企業の場合、自社ブランド化粧品をつくり消費者に直接販売できるD2C(Direct to Consumer)に挑戦すれば、より多くの利益を得られる可能性がでてきます。そうしたDXを利用した新規事業開発を成功させるために、ポイントとなるのは「DXで何ができるのか」を把握することです。
新規事業でつくった商品が顧客に新しい価値を提供できるものでなければ、売上を伸ばすことができないでしょう。また、業務の中でどの部分をデジタル化できるのか、どのようなシステムやサービスを準備するべきかという点が曖昧では、DXが成功しません。「DXで何ができるのか」を把握できれば、DX導入を阻む課題も特定できます。優先して解決するべき課題から処理していけばDX導入でできることが増えていきます。
「DXで何ができるのか」は、新規事業で何をするべきかと言う目標を設定する上でも重要になります。例えば、DXによりアンチエイジング効果の高い化粧品をつくりやすくなったのであれば、アンチエイジング化粧品のシェア◯%を目指す、という目標を打ち出せます。目標が定まれば、人や資金をどれだけ投入すれば良いのか、消費者に支持されるためにはどのような戦略で展開すれば良いのかも明らかになり、新規事業は成功しやすくなるでしょう。
こうした新規事業開発では、専門的な知識がないと何から手を付ければよいのかわからずに、時間を浪費する恐れがあります。必要ならば、DXのことをよく知っている外部の専門家を招き、アドバイスを受けるというのも一つの手です。
業務に適したデジタルテクノロジーの活用
DXを用いて新規事業開発をする場合、業務に適したデジタルテクノロジーを利用していくことが求められます。例えば自社ブランドの商品を消費者に販売するのであれば、店舗を持たない企業の窓口となるECサイトを構築しなければなりません。商品をカートに入れて決済手続きができるショッピングカート機能を持ったシステムを導入する必要があるでしょう。どれだけ素晴らしい商品でも、品切れでは購入できませんから、正確に在庫数を把握し、必要に応じて商品の仕入れができる在庫管理システムの導入もしておきたいところです。
製造の現場でも、DXによる効率化で無駄をなくしコスト削減を図ることで利益を増やすことが可能です。ロボットを導入し一括管理出来る体制を整備、バーコードを用いた在庫管理、AI外観検査装置を用いた自動検品、などの取り組みができます。製造に使う設備にIoTを導入しておけば、機械が正常に動いているのかをリアルタイムで把握できます。故障が起きたときには原因をすぐに特定でき、製造ラインが止まる時間が減り損失を最小限に留めることが可能です。
製造の現場で働く技術者のスキルをデータとして保存しておけば、人手不足で後継者を育てることが難しい状況でも技術の継承がしやくなります。製造に加えて販売をするとなれば、作成する書類の量も増えます。そこで書類の電子化をすることで、書類に書かれている内容を自動的に保存・共有できるようになりますし、書類を保管するためのスペースが不要になります。
既存データの利活用
化粧品製造業のDXにおける新規事業開発では、既存データを利活用することで解決するべき課題の答えが見つかります。例えば、新規事業で商品を製造するにあたって、データから導き出した技術者の人数や材料などを準備すれば、無駄なコストがかかることはなくなります。さらに既存データをAIに分析させれば、非効率的な部分が見つかります。その分析結果をもとに、手順を変えたり工程をなくしたりといった取り組みをすると効率化を図れます。また、正常に製造している時のデータがあれば、現状のデータと照らし合わせて、今後起こり得る故障の予測も可能です。
化粧品の開発を新規事業とするときも過去のデータを利活用できます。一般的に化粧品の開発では、過去のデータを参考にして使用する原材料を選んでいきます。しかしながら、化粧品の原材料は、膨大な数になるので簡単には目的のものができません。これまで研究者が、専門知識と経験を活かして原材料の選定を行っていたところを、AIで過去のデータを分析することで、最も成功しやすい原材料の組み合わせをシミュレーションできます。その結果、実験回数の減少と開発期間の短縮を期待でき、コスト削減につながるでしょう。コストを抑えることができれば、新規事業は利益を出しやすくなります。
また、蓄積された既存データを利活用できれば、消費者のニーズに応える商品をつくりやすくなります。例えば、「しっとり」としたつけ心地のスキンクリームを消費者が欲しがっているときには、膨大な実験データをもとに必要な原材料を選定できます。シワやたるみの解消に役立つ化粧品も、同様に既存データを利活用することでつくれるでしょう。これまで製造だけをしてきた企業でも、マーケティングなどで消費者のニーズを把握できれば、売れる自社ブランドの化粧品をつくれる仕組みができあがります。
この仕組みを利用すれば、消費者一人ひとりのニーズに応えることも可能です。ECサイトなどから、消費者の肌の状態や期待する効果を聞き出せれば、AIでそれに対応した化粧品の原材料を選定し製造することも可能です。人の手でオーダーメイド化粧品をつくるには、手間と時間がかかっていましたが、DXの導入で手軽にできるようになります。
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