投稿日 2023.12.07

最終更新日 2023.12.07

データを活用した化粧品製造業のDX推進を事例を含めて分かりやすく解説

データを活用した化粧品製造業のDX推進を事例を含めて分かりやすく解説

DX推進におけるデータ活用とは

DXとデータ活用の結び付き

DXは「デジタルトランスフォーメーション」の略称で、ビジネスにおいてはデジタル技術によって業務プロセスやビジネスモデルに変革をもたらすことを目的とした取り組みを指します。日本では経済産業省が旗振り役となって企業のDXが進められる運びとなりました。一方データ活用は明確に定義付けされている訳ではありませんが、一般的には企業が蓄積した様々なデータを用いて業務や経営判断に役立てることを言います。DXはデータ活用よりも目的の規模が大きく、データ活用はDX化を成し遂げるために用いるアプローチの1つです。

DXにおいてデータ活用が重要な理由

現代社会ではIT技術の発達やデバイスの普及によって、消費者が商品を購入したりサービスを利用したりする際の行動パターンが多様化しました。人々が目にする情報の量は増大し、拡散されるスピードも早くなっています。市場のトレンドや消費者のニーズも目まぐるしく移り変わるようになったため、企業はDX化におけるデータ活用を通してビジネスのスピード感を底上げする必要性に迫られているのです。DXにおける効果的なデータ活用は、市場優位性の確保に直結します。

データ活用の種類

データ活用では膨大な量の情報を扱うことになりますが、その種類は大きく「定量データ」と「定性データ」の2つに大別されます。定量データは売上・会計・在庫など数値で把握することができる情報です。これに対して定性データでは顧客情報や業務日報など、数値以外の情報も含んでいます。一般的なマーケティング業務ではこのどちらかのデータを重視して利用するケースも多いですが、DXにおけるデータ活用では定量データ・定性データの双方を併せて積極的に運用することが大切です。

データ活用のメリット

#課題点の把握
データ活用では客観的な情報を基にして現状を分析するため、自社が抱える課題点を的確に洗い出せるというメリットがあります。課題点の早期発見によって損失を最小限に留められるだけでなく、PDCAサイクルの回転を早めることにも効果的です。

新しいビジネスモデルの創造

データ活用では自社が蓄積したデータの他に、政府や公共機関が公開しているオープンデータを分析することもあります。消費者の行動パターンやニーズを細かく把握することで、従来のビジネスモデルに囚われない新しいサービス・商品の糸口が見つかるでしょう。

意思決定の迅速化と最適化

事業に必要な経営判断は経営者の知見や経験則によるところが大きいですが、現代ビジネスのように膨大な情報が目まぐるしく入れ替わる環境では即時対応が難しい場面も少なくありません。データ活用では客観的かつ的確な現状把握によって、市場の遠くない未来であれば予測することができます。論理的な予測を基に経営判断を下せるようになれば、スピード感と正確性を両立した事業展開が実現するのです。

マーケティング力の底上げ

顧客データや販売実績といった社内データを分析にかけると、自社に興味を持っている顧客層が明確になります。商品開発や販促活動におけるターゲット層選定に有用な情報が豊富に得られるため、データ活用は自社のマーケティング力向上にも一役買ってくれるでしょう。

化粧品製造業のデータ活用の方法

業務効率化

DXの一環としてデータ活用に取り組む場合、それまで手作業で行っていたタスクをデジタルツールによって自動化することも多いです。従業員の負担が軽減するためコア業務へのリソースが確保できる他、浮いた時間を有効活用した働き方改革にも繋げられます。

目標策定

化粧品の製造ラインでは工数差異・稼働率・不良品率など様々な目標を設定し、日々の業務における水準維持に努めます。データ活用では多角的に現状を把握できるため、自社の設備や従業員スキルに合わせて適切な目標を設定することが可能です。

情報の可視化

比較的単純作業が多くなりがりな化粧品製造では、何が問題となっているのかを把握しにくいというケースも珍しくありません。データ活用によって数値が芳しくない部分が明らかになると、それを糸口にして課題点が見えてくるため現場の「目に見えない情報」を可視化することができます。

生産性アップ

データ活用では製造プロセス全体の見直しも行えるので、必要に応じて工数削減や設備導入など生産性向上に繋がる施策を効果的に打ち出すことが可能です。原価差異や労働生産性といったデータを注意深く観察すれば、生産性アップとコストカットの双方が実現するでしょう。

化粧品製造業のデータ活用#株式会社伊勢半

伊勢半は旧来の基幹システムを刷新することで他のシステムとの連携性を高め、社内データの有効活用に成功しています。商品の生産状況や販売データを随時分析できる環境が整い、的確かつスムーズな経営判断に繋がりました。また、業務プロセスを基幹システムと結び付けることで属人化防止にも効果を上げています。

株式会社RAPiS

従来は手作業で受注・在庫管理業務を行っていた同社ですが、データ活用システムの導入によって業務効率化に大きな成果を出しています。各データを連動させることで、社内業務の様々な点で有用な情報が用いられるようになりました。

株式会社オーセル

オーセルではバーコードによる在庫のリアルタイム管理システムを構築し、OEM製造から自社製造への切り替えをスムーズに実現しました。在庫の正確な把握はもちろんのこと、発注計画作成や棚卸しにかかる時間が短縮する結果に繋がりました。

化粧品製造業のデータ活用のポイント

データの整理と形式統一

効果的にデータ活用を行うには、まず社内にどのようなデータが眠っているのかを全体的に把握する必要があります。部門ごとで管理されている各データを収集し、必要に応じてカテゴライズして使いやすいようにしておきましょう。また、部門によって使用しているデータ形式が異なる場合はこれを機に統一しておくとベストです。

精度の担保

膨大なデータを用いて分析を行っても、元々のデータ精度が低いと意味がありません。「サンプルの母数は十分か」「参照するのに適した鮮度のデータか」など、データそのものの精度が担保されているかどうかは入念にチェックしましょう。

データの取り扱いにおけるセキュリティ管理

データ活用では社内の機密情報に加えて、顧客の個人情報を扱うこともあります。したがって、データ管理のセキュリティシステムを厳重にしたり、社内へのルール周知を徹底したりなど対策を入念に講じることが大切です。

人材の育成・確保

DXやデータ活用ではIT関連の知識やスキルが要求されるため、既存社員に担当できる人材が居ない場合はまず人材を確保する必要があります。外部の研修などを利用して育成するか、採用活動で新規の人材を確保してください。の成功事例

 
Fabeee株式会社ではデジタルトランスフォーメーション(DX)の支援をしております。お客様と伴奏してサポートいたします。製造業、不動産、自治体など幅広い業界において、DXの実績を持ち、お客様のビジョンを実現するお手伝いをしてきました。事業戦略の策定から新規事業アイデアの創出、開発、実装、そして運用まで、DXプロジェクトのあらゆるフェーズをサポートします。お客様と共に新しいビジネス機会を探求し、戦略的なアドバイスを提供します。貴社の成長戦略を加速し、競争力を高め、持続可能な成功を支えます。
分かりづらいDXを分かりやすくかつ何をしたらいいのかを解説した資料を公開しておりますので是非一読してみてください。

この記事の監修者

阿部 雅文

阿部 雅文

コンサルタント

北海道大学法学部卒業。新卒でITベンチャー企業入社し、20代で新規事業の事業部長を経験。その後さらなる事業開発の経験を積むために、戦略コンサルティングファームにてスタートアップ企業からエンタープライズ企業のデジタルマーケティングや事業開発におけるコンサルティング業務に従事する。2021年5月にFabeeeにジョイン。DXコンサルタントとして大手メーカーや総合商社などを担当するほか、数多くのクライアントから指名を受け、各社の事業開発を支援中。多忙を極める中でも、丁寧で迅速な対応が顧客から高い評価を得ている。