大量のデータを扱うことが求められる企業にとって、今必要なのが「データマイニング」という手法。データの重要性はなんとなく理解できているが、データマイニングという言葉は聞き馴染みがないという人も少なくないでしょう。
そこで今回は、基本的な部分からその活用方法、メリット・デメリットなど、データマイニングについて知っておくといい情報をお届け。正しくデータを収集するためにも、データマイニングについて学んでおきましょう。
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データマイニングとは?
データマイニングとは、膨大な量のデータの中から有益な情報や価値のある知見を見つけ出す手法のことです。マイニング(mining)という単語は採掘という意味を持っており、言葉を直訳すればわかるように、データマイニングは「データの採掘」を行うために用いられています。
有益な情報の採掘は今まで人の手によって行われるのが一般的でしたが、データの量が膨大になったことから人の作業では追いつかない状況に。それまで行われていたデータ分析では、飛躍的に増大するデータに対応できないということから、AIの機械学習を活用したデータマイニングに注目が集まったのです。
さまざまなデータにアクセスできるようになった今、データの恩恵を最大限に受けるためには、データの中に隠されている何かを的確に掘り起こすことが大切。しかし全社的に構造化データ・非構造化データについて理解し、改善に向けて動くということは至難の業です。
ビッグデータの中から、企業にとって価値のある何かを見つけ出すために、今や欠かせない技術となっているデータマイニング。人が行わなければならない最終的な判断の前にあるステップから、人的リソースを開放してくれる画期的な技術なのです。
データマイニングでどんなことができる?
データマイニングでは、大きくわけて三つのことができると言われています。データマイニングを活用することでどのようなことができるのか、それぞれ掘り下げてみましょう。
データの関連性を見つける
データマイニングは、たくさんのデータの中からデータの相関性を見つけることができる技術。〇という条件のときには必ず△という条件も満たされているというような、データ間の関連性を抽出することを得意としています。
データマイニングを実施する前には気づかなかったような関連性が見つかることも珍しくなく、商品の共通点や季節の影響などマーケティングに必要な事象の発見につなげることができます。
結果の予測
データマイニングは、膨大な量のデータの中から事象との関連性を見つけ出すことが得意ですが、そこからどのような結果が出るのかの予測を出すこともできます。結果はもちろん、特定の事象がどのくらいの確立で発生するのかや、どうしてその事象が発生したのかの原因を特定することも可能。
この機能を活用すれば、見込みの高い顧客へ有利にアプローチをかけることもできるようになります。
データの分類
データの特徴に応じた条件を設定して、条件に応じた条件ごとに分類を行うこともできます。自社の商品やサービスに興味がある人はどういうタイプの人なのかや、自社の商品やサービスに興味がないのはどういうタイプの人なのかなどを分類することができるため、より訴求ポイントを絞ったマーケティング戦略が立てられるようになります。
データマイニングに必要な準備
意味のあるマーケティング戦略を立てるためにも活用したい、データマイニング。しかし、データが集まったからと言ってすぐに稼働できるものではありません。
そこで、データマイニングを実施する前に行っておくべき準備についてまとめました。
原資となるローデータは多ければ多いほどいい
データマイニングを実施する上で何より大切なのが、分析の原資となるデータです。「ローデータ」と呼ばれるデータマイニングのもととなるデータは、その量が多ければ多いほどいいとされています。原資が多いほどデータマイニングの有用性は高まるため、まずはとにかくデータの山を作ることに専念しましょう。
しかし、データは収集すればするほどその量は膨大になるため、データの保管場所に困ってしまうケースも珍しくありません。データマイニングを実施するためには、データレイクやデータウェアハウスなど、膨大な量のデータ格納場所が必要になるケースもあるということを頭に入れておきましょう。
データの加工
データマイニングを行うためには、データマイニングが行えるような形へとデータを加工しておかなければなりません。収集したデータの量が増え、ローデータの格納場所としてデータレイクを活用する場合には、データクレンジングという作業を行いデータを正規化する必要があります。
データレイクに保存されているのは規則性のないデータの集まりであるため、データマイニングを行える状態にするために、まずはある規則に則って整理を行わなければならないのです。データクレンジングは、この正規化という作業を行ったあとさらに利用しやすい状態へと加工する工程のことを指す言葉。
データマイニングを実施する前には、こういった準備のステップが必要であるということを、頭に入れておきましょう。
データマイニングのメリットとデメリット
ビッグデータの分析を行う上で有利に働くデータマイニングですが、導入するメリットがあればデメリットがあるのも事実。それぞれに目を向けてみましょう。
メリット
データマイニングを導入する一番のメリットは、適切に利用することで企業の経営のプラスになるということ。顧客行動の予測から在庫の計画や陳列のアイデアにつながったり、商品が売れているときの条件を知ることであらかじめ在庫の確保ができたりと、データマイニングは企業を経営する上で非常に重要な役割を果たしてくれます。
また、発生率の予測や関連性の抽出を得意としていることから、品質管理の向上や顧客満足度の向上などにつなげていくことも可能。先手で戦略が立てられるのは、データマイニングを実施するメリットだと言えるでしょう。
デメリット
データマイニングはさまざまな知識や情報の採掘を得意としていますが、一方で採掘までしかできないという欠点もあります。データマイニングが行えるのは、あくまでも膨大なデータの中から知識や情報を採掘するまでであり、見つかった知識や情報に有用性があるかどうかの判断は“人”に委ねられます。
また、「〇という条件のときには必ず△という条件も満たされている」というデータの関連性が見つかったとしても、ではなぜそうなるのかという“なぜ”の部分は人間が解明していかなければなりません。データマイニングを導入することで、膨大な量のデータの中から人の力だけでは見つけられなかったような情報を引き出すことはできますが、結局最終的には人の判断力がモノを言うのだということは忘れてはいけません。
業界別データマイニングの活用事例
さまざまな業界で実施されているデータ活用。データマイニングも同じように、あらゆる業界にて導入・実施されています。
ここからは、データマイニングに関する実際の事例について、業界別にご紹介します。
小売業
小売業界では、顧客に関する分析にてデータマイニングを活用。データマイニングを使って顧客や販売に関するデータの分析を行うことで、新しい販売手法の発見や売り場の見直しにつなげることができます。
天気の情報などを絡めて分析することもできるため、顧客・売上に関するデータだけでなく、気象情報から商品のラインナップを選定することも可能。小売業にとって、データマイニングは売上アップに欠かせないツールの一つとなっています。
製造業
需要と供給のバランスを取ることが重要である製造業においては、商品ではなく設備の分析に対してデータマイニングを活用するケースが少なくありません。予測を得意とするデータマイニングは、製造機器の効率性や耐久性を図るのに最適なツール。
それぞれの予測値から最も効果的なメンテナンススケジュールを立てることで、機器の故障によって現場の動きが止まってしまうという障害を回避することができます。
金融業
金融業においては、さまざまな分野においてデータマイニングが活用されています。顧客のニーズから金融商品を適切なタイミングで提供したり、利用した日付と金額からクレジットカードの不正利用を分析したりと、データマイニングは私たちの生活にとってもなくてはならない存在です。
将来的には、優良顧客の選定や不動産賃貸量の推定などにもデータマイニングの力が活かされると考えられています。
まとめ
データマイニングの活用は新たな情報や知見の発見につながることから、ビジネスを加速させるためにも欠かせないツールであると言えます。扱うデータの量は、今後ますます増えていくため、データマイニングを活用しながら貴重なデータからたくさんのヒントを得たいものです。