投稿日 2023.02.02

最終更新日 2023.02.02

【最新版】DXの成功事例をわかりやすく解説

DX)(デジタルトランスフォーメーション)とは?

DX(デジタルトランスフォーメーション)の定義

DXとは、Digital Transformationの頭文字をとった略語です。直訳すると、「デジタル変革」という意味になります。スウェーデンのウメオ大学教授であるエリック・ストルターマン氏が、2004年に「DXとは人間の生活に何らかの影響を与えて進化し続けるテクノロジーのことであり、その結果が人々の生活に良い方向となる変化をもたらすもの」とした概念を提唱しています。

■不動産事業者様必見!DXの課題を分かりやすくまとめました。

日本におけるDXの定義

日本でもDXについての定義をまとめていますが、こちらはストルターマン氏が提唱する生活全般に対してというよりも、ビジネスそのものを重要視しています。2018年に経済産業省が発行したDX推進ガイドラインによると、「企業がビジネス環境の厳しい変化に対応するためにデータやデジタル技術を活用することで、顧客や社会のニーズを元にした製品やサービスといったビジネスモデルの変革だけではなく組織・プロセス・企業文化や風土も共に変革し、競争上の優位性を確立すること」としています。つまりDXは、それまでの業務形態にデジタル技術を取り入れて業績を上げようというものです。
 
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DX成功事例

2022年度のDX成功事例

注目企業のDX成事例

経済産業省は東京証券取引所及び(独)情報処理推進機構と共同で、DXの導入や活用を積極的に行いビジネスモデルや経営の変革に果敢にチャレンジし続けている企業を毎年選定し「グランプリ企業」と「注目企業」をDX銘柄という形で発表しています。また、併せて選定された企業の取組内容も紹介するレポートも公開中です。その中から、DXの成功例として選ばれた企業の一部を紹介します。

「日本瓦斯株式会社」

ニチガスの愛称で親しまれている日本瓦斯株式会社は、2022年度のグランプリ企業として選ばれました。総合エネルギー企業として、他社との差別化や競争ではなく共存のためにDXを推進している姿勢や多くの取組が高く評価されています。ガスメーターに取り付けてオンライン化するloT機器「スペース蛍」の開発や、あらゆるガス事業に関わる業務を一元管理しクラウド化する基幹システムの「雲の宇宙船」があげられます。また早くから紙ベースでの管理を撤廃したペーパーレス化、様々な働き方に配慮し限りある時間を少しでも有効活用するためのテレワークを実施するなど、取り組みやすいDXから着手しているのも特徴的です。

「株式会社ミライト・ホールディングス」

株式会社ミライト・ホールディングス(株式会社ミライト・ワンへ名称を変更)は、総合エンジニアリング企業として通信建設事業で培ったノウハウをベースに新たにグリーン発電などの新事業を展開しています。「データインサイトマネジメント」を成長戦略として掲げており、デジタル技術やデータ活用を基盤とするDX推進による社会インフラの建設や運用の効率化・スマート化が評価のポイントです。他にもリアルとデジタルを組み合わせたスマホを活用するビジネスモデルの「店舗DXソリューション」、AIを活用する水道管の劣化予測やクラウド施工を提供するなど積極的に取り組んでいます。

「味の素株式会社」

味の素株式会社は、うま味調味料の「味の素」で知られる食品製造企業です。デジタル技術を用いた物流業務のプロセスを効率化し、これまで取り組んできたノウハウとデジタル技術を融合させた栄養プロファイリングの導入など社会への変革をもたらす取り組みが評価されました。特にAIを活用して献立を提供する「自動献立提案システム」の導入は、レシピサイトの「AJINOMOTO PARK」として活躍しています。

「株式会社LIXIL」

株式会社LIXILは、建材大手として建材商品の開発や提供をしています。新たな顧客獲得のための取り組みが新規ビジネスとしての構築につながり、社会が抱えている問題の解決にも貢献している点が評価されています。「LIXILオンラインショールーム」は、AI活用による販売プロセスと顧客体験の向上に向けた変革ビジネスです。また、新規ビジネスとしてユーザーがインターネットを利用して荷物の集配を遠隔操作できる「スマート宅配ポスト」を開発しました。他にも従業員へのデジタル教育を強化して基礎力を高めたり、専門の知識がなくても業務ツールの開発を助けるノーコード開発ツールの導入で生産性の向上にも結びつけています。

「旭化成株式会社」

旭化成株式会社は、大手の総合化学メーカーとして住宅・マテリアル・ヘルスケアの3領域で事業を展開しています。企業理念に世界の人びとの命と暮らしに貢献することを掲げており、社会貢献の基盤のひとつとして積極的に取り組んでいるのがDXです。DXの基盤と強化を図る新規ビジネスを創出するために、デジタル共創本部とラボが「CoCo-CAFE」を設立しました。人材の育成にも力を入れており、新たなビジネスモデルの中に展開する「LONGLIFE AEDGIS(ロングライフイージス)」はloTを使った防災情報システムとして広く社会に役立てています。

「富士フィルムホールディングス株式会社」

写真関連や医療系及び液晶ディスプレイ材料などの事業を展開する富士フィルムの親会社にあたります。常に最先端の技術を活用して社内におけるDX化の推進や、製品やサービスの開発に力を入れています。医療AIを世界中に発信したり、人材育成のための社内研修プログラムの充実化もそのひとつです。他にも最新のICTツールも積極的に活用しており、製品・業務・人材の強化DXが高く評価されました。傘下の富士フィルムは、デジタル技術を活用した老朽化検知システムの「ひびみっけ」を開発しました。老朽化が進んでいる建築物のリスク回避のために開発されたこのシステムでは、AIが0.1ミリ以上の幅のひび割れを自動検知してCADデータを効率的に作成できるようになっています。点検業務に不要な現場工数や、インフラの維持費用の削減に活用されています。

「KDDI株式会社」

KDDI株式会社は、携帯電話事業を中心とする大手の電気通信事業社です。通信事業の拡大やloT・クラウド・アジャイルの開発を進めることで、顧客とのwin-winを目指すビジネスの共創や人材の育成に力を入れている取り組みが評価されています。大きな取り組みとしてJR東日本との共同となる「空間自在プロジェクト」では、個人でも暮らしやすい機能を充実させるための都心に焦点を当てた「拠点集約型都市づくり」と時間や場所にとらわれずに暮らす多様なニーズに応える地方の「分散型まちづくり」を実施しています。

「ANAホールディングス株式会社」

航空業界の大手であるANAホールディングス株式会社が取り組んできたのは、コロナ禍に対応した新たなビジネスモデルとサービスの変革です。航空便の発着時刻に合わせて経路検索ができる「航空アクセスナビ」の開発や、高齢者や障害者が安心してスムーズに快適な旅行や移動が楽しめるプロジェクト「Universal Maas」を実施して交通サービスと顧客との橋渡しをするサービスを構築しているところに評価を受けました。さらにモバイルサービスの「ANA Pocket」を開始しており、ANAを知ってもらうきっかけとしてや日常生活においてもANAを身近に感じてもらえるように運用しています。

その他のDX成功事例20選

DX化すると言っても、イメージがわかないという人も多いことでしょう。そこで、この章では、実際に日本企業のDX成功事例を飲食業、不動産業、建設業、行政など業界別にご紹介したいと思います。>

【飲食業】株式会社グリーンハウス

「とんかつ新宿さぼてん」を展開する株式会社グリーンハウスは、飲食というカテゴリに特化したDX化を実現しています。AIを使って来店客・スタッフの満足度を数値化し、顧客満足度・スタッフの働く意欲の向上へとつなげました。
デジタル化することによって接客という仕事を人から奪うのではなく、来店客にも従業員にもプラスになるようにというのが、この企業のDX化のテーマ。顧客・スタッフともに満足度の高い店舗の事例を動画としてマニュアル化し、いつでもどこでも見られるようなシステムも導入されています。
デジタル技術を導入することで、世界の店舗で起きた好事例もシェアできるようになったそう。AIを使えばグローバルな環境でも簡単に言語化できるとあって、現場の心に火をつけているようです。

■参照元:ITmedia
DXに現場はついてきているか? 「とんかつ新宿さぼてん」のAIが導き出したもの――グリーンハウスグループ CDO 伊藤信博氏

【不動産業】株式会社スペースリー

VR動画の作成を手掛ける株式会社スペースリーでは、VRの技術を活用した賃貸の内覧を実現しました。このシステムは「オンライン内見」と呼ばれており、スタッフが同行しなくても気軽に部屋の中をリアルに見てもらえるというのが大きなメリットです。顧客にとっても従業員にとっても効率の良い内見方法であるため、このシステム導入後はWEB反響率や成約率が飛躍的にアップしています。
また、新型コロナウイルスの影響で現地に足を運べない場合でも部屋の内見が可能となり、実際に現地に行かずして成約したケースも増加。部屋を借りたい人・従業員それぞれの課題解決に、大きな力を貸してくれる存在となっています。

【建築業】株式会社小松製作所

建設機械の販売を行う株式会社小松製作所は、DXが推進される前からDXに着手した企業としてもよく知られています。DX化のヒントとなったのは、1998年ころに多発していた盗難油圧ショベルを使った現金強奪事件でした。当時カーナビが普及しはじめていたこともあり、「カーナビに搭載されているGPSを油圧ショベルに搭載すれば盗難対策になるのでは」と考えたのが、変革のきっかけとなります。
こうして誕生したのが、「KOMTRAX(コムトラックス)」と呼ばれる稼働システムです。コムトラックスは、機械の位置情報はもちろん、エンジンが稼働しているかどうかや燃料の残量、故障の状況などを一元管理できるシステムのこと。遠隔制御もできるため、盗難防止だけでなく稼働率のアップや保守サービス費用の削減にもつながっています。
コムトラックスのデータを見ることで業界の動向もチェックできるため、新たなビジネスモデルのヒントとしても活用されています。

【サービス業】Japan Taxi

日本交通のIT部門が独立して設立されたJapan Taxiは、社名と同じ名前の「Japan Taxi」という配車アプリを開発し、タクシーの配車システムに新しい風を吹き込みました。2019年の時点でダウンロード数は800万を超えており、社内のDXだけでなく“タクシーの配車=アプリの活用”という流れを定着させた立役者的存在でもあります。

このアプリは、ボタン一つでタクシーを呼べたりキャッシュレス決済ができたりなど、ユーザーのメリットだけでなく、実際にタクシー業を運営する日本交通側にもたくさんのメリットが。運転手の現金管理にかかる負担の軽減やつり銭確保のための事務所の負担軽減、現金盗難の危険抑止など、配車アプリを開発することによるメリットはかなり大きいものとなっています。

また、タクシー後部座席に設置したタブレットを活用した、広告事業の運用も開始。バスや電車内にある広告と同じように、タクシーにもタブレットを通じて広告を設置することで、広告媒体としての売り上げも伸ばせるようになりました。

今後は、あらゆる場所を移動しつづけるタクシーの特徴を活かして、「走るセンサー」としての可能性を発掘するとのこと。道路の以上の検知や街の安全確保のための情報収集など、タクシー業プラスαの市場価値を見出したJapanTaxiは、参考にすべきDX成功事例だと言えるのではないでしょうか。

【小売業】株式会社エディオン

家電量販店の大手として知られる株式会社エディオンでは、値札を電子化した「電子棚札」と「キャッシュレス決済」の導入を実現しDXを推進。各業界人手不足が叫ばれる中、株式会社エディオンでは値札の切り替えにかかる人手をデジタルへと変換し、DXに成功しました。

エディオンが導入した「電子棚札」とは、省電力の液晶画面に価格を表示させるツールのこと。今までは紙に価格を印字したものを、人の手でその都度差し替えていましたが、電子棚札を採用することで、その手間を丸ごとカットすることができるようになりました。

電子棚札は、本部にあるシステムにて商品の型番と価格を入力すれば、サーバーを介してその情報がすべての店舗へ行き渡り、棚札の価格が一斉に更新されるというシステムです。今、家電量販店にとっての脅威は他でもないネットショップ。常に変動し続けるネットの価格に対抗するには、ネット企業・ショップの価格とにらめっこをしながら常に棚札の価格を差し替える必要がありました。

しかし、棚札の差し替え作業は非常に大きな負担となる上に、棚札の書き換えは常にいたちごっこ状態。電子棚札ならネットの価格を追いかけながらいつも最新の価格へと瞬時に変えることができ、労働力のロスも軽減されます。

全店舗一斉の変更はもちろん、地域や店舗ごとに棚札の価格を変更することも可能となっており、汎用性の高いシステムであることがわかる事例です。

【飲食業】Starbucks Coffee Japan株式会社

今や、全国各地でお店を見かけるようになったStarbucks Coffee。どのお店も混んでいて、並ばずにコーヒーを買えることの方が珍しいという店舗も少なくないのではないでしょうか。

Starbucks Coffeeでは、美味しいコーヒーを安定した価格で供給するため、“コーヒー豆の産直確保”と“自家焙煎”の努力を行いましたが、唯一“回転率”の課題は解決できないでいました。そこで、Starbucks Coffeeは回転率の課題を解決すべく、“レジの待ち時間解消”に着手し始めます。

今では他のカフェチェーンでも当たり前になったWi-Fiの無料提供やキャッシュレス化は、実はStarbucks Coffeeが先駆け。プリペイド式のギフトカードもアプリへと姿を変え、今はポイントカードとしての機能も果たすようになりました。

また、2019年にはStarbucks Coffee Japanより、「モバイルオーダー&ペイ」というサービスもローンチ。あらかじめアプリからオーダーと支払いを済ませておくことで、店舗に到着したらすぐに商品を受け取れるという自社開発のサービスです。混雑解消のために打ち出されたこのサービスは、今回のコロナ禍でも大きな成果を上げました。

Starbucks Coffeeが取り組んだレジ待ち解消への施策は、そのままStarbucks CoffeeのDXへと直結し、自社を救うきっかけとなったのです。

【金融業】株式会社セブン銀行

2001年にサービスを開始したセブン銀行は、2016年より積極的にDXやアジャイル開発に取り組み成果を上げてきました。セブン銀行の課題は、ATMの価値をいかにして上げるかということ。キャッシュレス化が進んだことにより、銀行ATMの利用回数はどんどん下がっていったため、生き残りの方法についての模索が続けられていました。

そこでセブン銀行が切り札として開発したのが、現在コンビニに設置されている第4世代のATM。「ATM+(プラス)」と呼ばれるその機種は、AIを用いて顔認証が行えるようになっており、機械操作に慣れていないお年寄りでも使いやすいような配慮がなされています。

この顔認証機能は、保険の契約やコンサートチケットの発行、ECアカウントの開設など、入出金以外の機能にも活用される予定。ただお金を引き出すためだけではなく、人々の生活サービスの拠点となれるような付加価値をつけることで、ATMの新たなニーズを引き出しています。

【飲食業】株式会社FOOD & LIFE COMPANIES

コロナ禍に入り、厳しい状況が続いている経済界。中でもとりわけ新たな営業方法の模索が求められているのが、飲食業界ではないでしょうか。しかし、そんな飲食業界の中にも、前年比の売り上げがプラスに転じている企業もあります。

回転寿司のチェーン店である「あきんどスシロー」を子会社に持つ株式会社FOOD & LIFE COMPANIESは、2021年度第2四半期連結業績が前年比売上10.1%、営業利益59.2%増という数字を記録。既存店の売り上げが好調なだけでなく、コロナ禍においても新たな店舗の出店を加速させ、オープン初日の売り上げ最高記録を更新するなど“コロナなんてどこ吹く風”状態です。

この結果を招いたのは、同社が地道にDXに取り組んできたおかげ。あきんどスシローでは、少人数で効率良く店舗を運営するためのデジタル機器導入が積極的に進められてきました。「発券・案内機」・「自動案内システム」・「注文用タッチパネル」・「キャッシュレス対応セルフレジ」・「自動土産ロッカー」など、これまでは従業員が行っていた作業を利用者自身が行なえるような仕組みに変換。

また、緊急事態宣言発出後に落ちたアプリインストール数を回復させるべく、以前は来店予約しか行えなかったアプリを持ち帰り注文もできるように改良するなど、コロナ禍でも売上が確保できるようなシステム作りに早急に対応。結果、アプリの評価ポイントも以前よりアップし、アプリユーザーの離脱防止につながりました。

今後も、CXとEXの向上に勤めながら、あきんどスシローの利用者が増えるようなDXを進めていきたいとのこと。ユーザー・従業員、どちらの立場からもメリットのある改革を起こせたことが、あきんどスシローのDX成功のカギだと言えるのではないでしょうか。

【サービス業】株式会社ベネッセコーポレーション

“こどもちゃれんじ”や“進研ゼミ”など、通信教育に力を注ぐ企業として知られる株式会社ベネッセコーポレーション。紙ベースでの通信教育がベースとなっていたベネッセコーポレーションでは、2014年に「チャレンジタッチ」タッチを導入し、サービスの進化を遂げています。

ベネッセコーポレーションは、「デジタルシフト」・「インテグレーション」・「ディスラプション」の三つのフェーズにわけてDXを推進。2030年を目標に、チャレンジタッチの導入をはじめ学校のICT化支援のための教育プラットフォーム、校務支援サービス、オンライン幼稚園など、デジタルの力を活用したさまざまなサービスの提供をスタートさせています。

2021年5月に経済産業省の「DX認定」を取得、2021年6月には経済産業省・東京証券取引所による「DX銘柄2021」に選定されるなど、ベネッセコーポレーションはすさまじい勢いでDXを推進。長年培った幼児教育に対するノウハウとデジタルの力を組み合わせ、ユーザーのニーズに応えながら成長を遂げている企業だと言えます。

【サービス業】RIZAPグループ株式会社

ボディメイク事業のみならず、さまざまなジャンルへの参入を行っているRIZAPグループ株式会社は、コロナ禍を経て起きたユーザーの心と行動の変化に対応すべく、DX戦略を推進。企業のデジタル化やデータ活用のプロフェッショナルを招き、本格的にDX推進へと動き出しました。

これまでのやり方は、対面レッスンとオンラインフォローがメインでしたが、コロナ禍に入り今までのやり方は現実的ではないと判断。そこで、フルオンラインでも成果が出せるような仕組みを作り、ユーザーが挫折しないような環境作りに注力しました。

コロナ禍を経て人々の健康に対する意識はこれまで以上に上がりましたが、対面・接触しながらのトレーニングはできないため、アプリを通じてのサポートに切り替え。オンラインセッションにてトレーニングに取り組んでもらい、アプリを活用しながらのコミュニケーションで食事面や心身の状態についてのサポートをするという新メソッドを生み出しました。

結果、これまでは30~40代がメインだったユーザー層は、50~60代にまで拡大。オンラインツールを活かしたトレーニング・食事サポート術は、人々の「健康でいたい」という気持ちに寄り添えるサービスへと発展しました。

【農業】プラネット・テーブル株式会社

“スマート農業”なる言葉が生まれ、農業にもデジタルの力を活用する機会が増えてきました。プラネット・テーブル株式会社も、AIやドローンなどのデジタル技術を活用しながら、農業に変革を起こした企業の一つ。ただ農業にデジタルの力をプラスするだけでなく、デジタルを活用するからこそできる“低農薬”を実現した企業として注目を集めています。

プラネット・テーブルが開発したのは、画像認識AIとドローンを活用し“虫食い部分だけ”に農薬を撒くという低農薬農法の技術。世界的に見ても日本の野菜は農薬の使用量が多く、実は安心・安全とは言いきれないことから、この技術は今までの日本の農業のやり方を大きく変えるのではないかと言われています。

この技術を活用すれば、1ヘクタールの畑に使用する農薬使用量が今までの約10分の1になるとあって、農薬にかかる農家の負担も大幅に軽減されると考えられます。この低農薬農法を活用して栽培された「スマートえだまめ」は、一般的なえだまめの3倍の価格であったにも関わらず完売。

農家にとっては農薬代が減らせて収入はアップするという結果が見込めるため、メリットが大きい農法であると言えます。この技術が一般的になれば、今まで売りっぱなしだった農薬メーカーも事業モデルの転換が求められ、農業に関わる企業全体の刺激になるのではないでしょうか。

【運輸業】WILLER EXPRESS株式会社

高速バスの運営を行なうWILLER EXPRESS株式会社では、IoTの技術を活用した乗務員の健康管理システムを導入。長時間・長距離運転が求められる高速バスの運転手には常に的確な判断力が求められますが、人の体調には個人差があるため、100%事故を起こさないとは言えないのが現実です。

そこでWILLER EXPRESSは、「フィーリズム(FEELythm)」という乗務員の耳たぶに取り付けるウエアラブルセンサーを導入。耳たぶの脈波をデータとして受信し、眠気を感知すればバイブレーションで本人に刺激を与えたり、本部から休憩の指示が入るような仕組みを生み出しました。

フィーリズムの導入は、居眠りだけでなく長距離ドライバーに多いとされる脳疾患からの事故防止にも役立つと考えられており、WILLER EXPRESSのDXは乗務員の体調管理と利用者・企業の安全を守る仕組みに生かされています。

【教育】株式会社トライグループ

家庭教師や個別指導の事業に取り組む株式会社トライグループでは、よりユーザーの生活リズムに寄り添いながら指導を行うための仕組み作りに着手し、DXを推進させています。

トライでは、生徒の学ぶスピードの違いや生活スタイルの違いにより、家庭教師による指導だけでは成果に結びつかないという課題を抱いていました。そこで、トライではスマホやタブレット、PCから好きな場所・好きな時間に受講できる「Try IT」の仕組みを開発。ただオンラインで授業を配信するのではなく、スマホなを“シェイク”することで直接教師に質問ができるというシステムを作り上げ、他の通信教育媒体との差別化を図りました。

このシステムを導入後、登録者数は100万人を突破。映像を活用した塾が誕生するなど、教育業界に新たな旋風を巻き起こすきっかけにもなりました。

【物流業】日本通運株式会社

RPA導入で定型業務の年間72万8,721時間削減成功した。
集約型ロボットを導入して各点所で行っている業務を代表点所に集約して点所の業務時間を削減。
代表点所のロボットをコピーして各点所にロボットを導入。RPAの導入を社内全体へ拡張していきました。
手書きの伝票AI-OCRでデータ化してRPAで転記するなどアナログで行う作業をデジタル化しています。
2021年度末までに年間100万時間削減という目標を掲げて業務効率改善に取り組んでいます。

【行政】宮城県仙台市

デジタル化ファストチャレンジを実施、できるところからDX推進を実行しています。
市役所窓口での手続きに申請書への手書きや押印、添付書類の準備などの窓口手続きのデジタル化に取り組んでいます。
押印の廃止、添付書類の簡素化、キャッシュレス決済の導入等をして利用者の手間を削減。
オンラインで問合せができる仕組み作りで公共工事における現場とのオンラインでの打合せ、オンラインでの子育て相談などを対応し利用者対応にモバイル端末の活用を行っています。
市役所業務の改善にも着手しWEB会議システムの活用、会議や研修の参加にかかる移動時間削減、費用の節約を実施しています。

【ホテル業界】アパホテル

独自のチェックインサービス「トリプルワン」を展開しています。
アプリから予約することでホテルの到着時に「予約」、「チェックイン」、「チェックアウト」の一連の流れを簡略化して1秒チェックインを実現。
QRコードを専用の端末にかざしてチェックインが完了する。またチェックアウト時もルームキーを専用のボックスに投入するだけで完了できる。
「非接触」「待たない」「並ばない」でスムーズにホテルを利用できるようにして利用者に新たな価値の提供をしています。

■参照元:PR TIMES
お客様の時間を大切にするアパのDX(デジタルトランスフォーメーション)“アパトリプルワンシステム

【製造業】三菱電機

三菱電機は製造業の今後の課題である人手不足、熟練者の技術の継承の課題解決を進めています。
e-F@ctotyを活用して人手不足に関してはロボットを導入することで作業の協働や自動を行い、作業者の工数を削減してより付加価値のある業務に当てることができます。
熟練の技術の継承に関してはAIとの協働により知見と繊細な技術が求められる作業に関しても誰でも活用することができます。
AIがより学習をすることで今まで以上の高度な技術ができる可能もあります。
具体的な事例では設計フェーズで設計、現地調達時間の短縮、品質向上のために3Dシミュレーター、CADなどエンジニアリングツールの連携してデジタルツインの構築を実現しました。
製造フェーズでは生産過程での機器トラブルによる停止・品質ロスの改善をするために、センサーや機器をネットワークと接続をすることで様々なデータを可視化して分析や改善により
その結果を制御に戻すサイクルを実現しました。
今後もe-F@ctotyを活用して製造業の人手不足や熟練技術の継承を解決を目指します。

■参照元:ITmedia
e-F@ctoty」を核に「行動のDX」「知見のDX」を推進する三菱電機

【陸運】東京地下鉄株式会社

鉄道会社でよく見れられるスタンプラリーイベントをデジタル化しました。
アプリケーション「Spot Tour」を導入して各観光スポットを訪れることで情報を画像で確認、端末の位置情報を活用してデジタルスタンプが押される仕組みを作りました。
訪問履歴情報、時間や場所を残す機能で観光者に新たな価値を提供し観光需要の創出を目指しています。
また鉄道業務でもデータを活用した取り組みを実施しています。検査業務時のメンテナンス記録を開発したアプリケーションを活用してiPadで操作しデータベースに格納。データ解析にて「変状の観測確率の算出」や「トンネル健全度の定量化」をすることで効率的な検査、補修計画を目指しています。

■参照元:IPA情報処理推進機構
デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進に向けた
企業とIT人材の実態調査

【小売業】三越伊勢丹ホールディングス

三越伊勢丹ホールディングスはリモートショッピングサービス「三越伊勢丹リモートショッピング」のアプリを開発。
このアプリはコロナ禍で緊急事態宣言が発令されている中で開発されました。
三越伊勢丹ホールディングスはコロナ禍でも顧客との接点を作るためにアプリによる接客を始動させました。アプリでチャット、動画での接客、購入まで可能で顧客は自宅で商品を購入することができるようになりました。コロナ禍で非接触での新しいリモート接客を実現させただけではなく、これまでリーチできなかった若年層や地方の顧客の獲得もできている。

【小売業】幸楽苑ホールディングス

幸楽苑ホールディングスは人手不足解消や業務効率化、またコロナ対策のためにIT導入を積極的に行っています。
幸楽苑ではお客様から注文をいただき、商品を届ける配膳を人からロボットへ移行させました。ロボットを活用した被接触型の配膳ロボットを導入、ロボットはセンサーが人や物にぶつかる事なく、お客様の元へどどける事ができます。混雑時などでも安定して稼働する事ができます。ロボット導入により省人化の効果が出ているようです。現在は大型店舗からテスト導入を行っている状態で徐々に展開していくようです。
またお食事券のデジタル化や店内にタブレット、セルフレジ導入など行っております。

【まとめ】DX推進を成功させるためには小さなことから始める

今やどのような業種にも、DX化が必要とされています。しかし、DXを成功に導くためには様々な課題のクリアが条件となります。変革という大きな波を乗り越えるために重要なことは、十分な下準備と情報の共有が欠かせません。きちんと周りに理解してもらうことが、DXの第一歩です。いきなり大きく変えるのではなく、小さなことから始めてみてはいかがでしょうか。

この記事の監修者

阿部 雅文

阿部 雅文

コンサルタント

北海道大学法学部卒業。新卒でITベンチャー企業入社し、20代で新規事業の事業部長を経験。その後さらなる事業開発の経験を積むために、戦略コンサルティングファームにてスタートアップ企業からエンタープライズ企業のデジタルマーケティングや事業開発におけるコンサルティング業務に従事する。2021年5月にFabeeeにジョイン。DXコンサルタントとして大手メーカーや総合商社などを担当するほか、数多くのクライアントから指名を受け、各社の事業開発を支援中。多忙を極める中でも、丁寧で迅速な対応が顧客から高い評価を得ている。