経済産業省と東京証券取引所が選定したDX銘柄2021が発表されました。
数ある上場企業の中から464社の応募があり、そのうち28社が選定されています。
徐々にDXに取り組む企業が増えている中、どのような取り組みやどの様な視点で選定されているのかを見ていきましょう。
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DX銘柄とは
DX銘柄と聞いて説明できる人は少ないと思います。DX銘柄とは何かをここで説明していきます。
2015年に経済産業省と東京証券取引所が共同で日本企業のIT促進化、中長期的な企業価値の向上や競争力強化の目的として積極的にIT活用に取り組む企業「攻めのIT経営銘柄」を選定しています。
その後2020年にデジタル技術を取り入れビジネスモデルを変革するデジタルトランスフォーメーションに取り組む企業を「DX銘柄」として選定しています。
また選定されるのは東京証券取引所に上場(一部、二部、マザーズ、JASDAQ)している企業が対象となり、DX銘柄に選定されるためには様々な要素が必要です。
DX銘柄2021に選定された企業
DXグランプリ2021(2社)
DX銘柄2021選定企業28社、その中で優れたDXの取組を行った企業として2社が選定されています。
株式会社日立製作所(電気機器)
SREホールディングス株式会社(不動産業)
DX銘柄2021 (26社)
清水建設株式会社(建設業)
アサヒグループホールディングス株式会社(食料品)
旭化成株式会社(化学)
中外製薬株式会社(医薬品)
出光興産株式会社(石油・石炭製品)
株式会社ブリヂストン(ゴム製品)
JFEホールディングス株式会社(鉄鋼)
株式会社小松製作所(機械)
日本電気株式会社(電気機器)
ヤマハ発動機株式会社(輸送用機器)
株式会社トプコン(精密機器)
凸版印刷株式会社(その他製品)
東日本旅客鉄道株式会社(陸運業)
SGホールディングス株式会社(陸運業)
日本郵船株式会社(海運業)
日本航空株式会社(空運業)
ソフトバンク株式会社(情報・通信業)
トラスコ中山株式会社(卸売業)
株式会社セブン&アイ・ホールディングス(小売業)
日本瓦斯株式会社(小売業)
株式会社りそなホールディングス(銀行業)
東海東京フィナンシャル・ホールディングス株式会社(証券、商品先物取引業)
MS&ADインシュアランスグループホールディングス株式会社(保険業)
東京センチュリー株式会社(その他金融業)
株式会社GA technologies(不動産業)
株式会社ベネッセホールディングス(サービス業)
各社のDXの取り組み
グランプリに選定された企業、DX銘柄2021に選定された企業の中から数社のDXの取り組みをご紹介します。
株式会社日立製作所(電気機器)
株式会社日立製作所は自治体DXを取り組んでいます。住民手続き、職員環境、地域間連携などのデジタル化や推進基盤整備を推進しています。
住民、職員、地域がデジタルで繋がる社会を作り公共の利便性を高める自治体DXを創出しています。
SREホールディングス株式会社(不動産業)
自社で開発したAIの導入で不動産売買仲介業務の生産性向上とまた開発したツールをパッケージ化して外販し不動産業界の全体の効率化を促進しています。
旭化成株式会社(化学)
マテリアルズ・インフォマティクス、AIを活用して材料開発の効率を向上し短い期間で素材の開発につながる成果を出しております。
生産技術面では労働力不足、設備老朽化、熟年オペレーター減少など様々な課題がある中でAIを駆使した製品検査自動化や設備異常の予兆検知、
Iotツールによる業務高度化・効率化の向上を実現。また知的財産の情報を経営戦略に活かすIPランドスケープの推進やDX人材の育成の取り組みなど様々分野で成果を出しています。
株式会社ブリヂストン(ゴム製品)
鉱山車両用タイヤの開発にて、タイヤの車両のデータや走行ルートなどリアルタイムで収集・分析し、デジタル技術を駆使し顧客に合わせたタイヤ開発を可能にしております。
またDXを促進するための組織体質変革を実施。経営層のスリム化や日本と海外のイノベーション拠点の連携を強化、
データ利活用ための現場とデータサイエンススキルを持つ人材のDX推進体制の構築やデータサイエンススキル育成研修制度を設けデジタル人材の育成の取り組みの強化を実施しています。
株式会社小松製作所(機械)
小松製作所、油圧ショベル・ロープショベルなどの「建設機械・車両」産業機械など事業としてグローバルに展開する総合機械メーカーです。
DXの取り組みはDXスマートコンストラクションと呼ばれる測量から施工・出来形検測までを3Dデータでつなぎ建設生産プロセス全体を見える化を行い、
それにより安全で生産性の高い施工の最適化を実現しています。
ソフトバンク株式会社(情報・通信業)
スマートシティの実施、様々なデータを収集し企業や住民へ情報を提供する「Smart City Platform」を開発やヘルスケアアプリ「HELPO」の提供にて健康医療相談、病院の検索、薬品ECサイト、オンライン診断までヘルスケア全体のサービス提供、
5Gの促進ために5Gの技術検証や体験ができる施設「5G X LAB OSAKA」を運営し大阪市や企業に製品やサービスの検証を行える施設を提供、
また社内では4,000人工相当の業務をデジタル化、業務効率化を目指す「デジタルワーカー4000プロジェクト」の推進などを行っています。
SGホールディングス株式会社(陸運業)
2020年1月に次世代型の物流センター「Xフロンティア」を開設、物流ロボティクスを導入し、設備やスペースを従量課金制で利用できる「シームレスECプラットフォーム」の提供を開始しました。
「シームレスECプラットフォーム」では、自動棚搬送ロボット、や自動梱包機などの導入し人材コスト、サービスレベルの向上をしています。
また電力データを用いて荷受人の在不在をAIに判断させることで不在配達を回避、
不在再配達を削減するなどの取り組みをしています。
DX銘柄2021選定されるための評価項目
DX銘柄に選定されている企業はどのような部分が評価されているのかを経済産業省のDX調査2021から見ていきます。
有名な大企業が選定されている傾向がある
DX企業に選定された企業の特徴としてはまずは規模感が大きいということです。
上場企業の名の知れた企業が並んでいるのが特徴です。
デジタルガバナンス・コードが重要
DXに関する自主的取組を促すために経営者自身が率先して株主・投資家等のステークホルダーに発信を行っているかが重要な要素となっています。
ビジョン実現のためのビジネスモデルの構築とDX推進においてエコシステムの主導
適切なビジョンとビジネルモデルの設計、他企業とのビジネス面でパートナーシップを組み、技術や資本を活用して業界の枠を超えた活動などを主導しているのかも判断の一部と考えられます。
DX戦略を明確化とビジネスの効果
組織内でDX戦略が明確かつ公表されていること、経営や事業の運営状況を把握できる仕組み作り、データを基本とした意思決定ができていることが重要となっています。
DX銘柄等は新規ビジネスに関しては既存ビジネスほどの成長はないが効果が出ている企業が多々あります。
組織と制度
社内のDX促進のための組織づくり、新しい挑戦を促すとともに、継続的
に挑戦し、失敗を許容して積極的に挑戦していこうとするマインドセットを確立し、活動を支援する制度、仕組みがあることが必要となっています。
成果と重要な成果指標の共有
デジタルシフトに適応したビジネスモデル・組織構築が実現できているかについて、指標、評価を定めかつステークホルダーに公開することが重要となっております。
ガバナンス
企業価値向上のため経営者トップがDX推進に関して発信やDX促進する部署との連携、
デジタル技術の情報の取得や自社ITシステムを把握し状況によって臨機応変に戦略の見直しなどを行っているかなど
変化に応じた対応が出来ている特徴があります。
まとめ
今回で2回目のDX銘柄の選定ですが、有名大企業が第一線でDX推進の取組みを実施している現状です。取組み内容としてはデジタル技術と駆使したビジネス、組織の変革とその効果が明確に出ていることDX促進を社会にアピール出来ていることが重要だと感じます。
今後もDX銘柄が選定されますがその動向をチェックしてどの様な変化があるかを見ていきます。