インターネットが普及している現代で、パソコンやスマートフォン以外でも様々な機器がインターネットと繋がっております。
その中で企業ではインターネットを活用してビジネスをより加速させ、どのように世の中に変化を与えているのか。
DX(デジタルトランスフォーメーション)軸でIoTに関して説明をしていきます。
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DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?課題や事例をもとにイロハを解説
IoTとは?
まずは、「IoTとは何か?」というところから、確認をしていきましょう。
IoTの定義と言葉の意味
最近耳にする機会が増えてきたようの印象のある、IoTという言葉。実はこの言葉自体は焼く20年前から存在し、一つの概念として存在し続けています。最初にこの言葉を使ったのは、マサチューセッツ工科大学のケビン・アシュトン氏。AutoIDセンサー共同創始者とされている彼は、当時活用されていたRFIDを使った商品管理システムに対し、インターネットを例えとして「Internet of Thing」と呼んだそう。これがきっかけとなって、今のIoTにつながっていったのです。
「Internet of Thing」の略語であるIoTは、Internet of Thingという言葉が指す通り、“モノとモノのつながり”を意味する言葉。IoTは、従来パソコン同士をつなぐための手段だったインターネットを、自動車や家電などの手段へと発展させていきました。
IoTの仕組み
モノとモノのつながりを実現するIoTですが、その仕組みは「デバイス」・「ネットワーク(ゲートウェイ)」・「クラウド」の三つから構成されています。モノとモノをつなげるためには、まずモノ自体から今の状態を知らせる必要がありますが、それを実現するのがセンサー。デバイス(モノ)にセンサーを取り付け、そのセンサーでデバイスの状況をデータとして受信します。
センサーで受け取ったデータ(情報)は、ネットワークを経由して、アプリケーションやクラウドなどのストレージへ。そのデータをPCやスマホ、ロボットなどと連動させることで、モノとモノのつながりが実現しています。
データは、ストレージ側からの送信も可能。「モノ同士でデータを共有できる」ということが、IoT最大のメリットだと言えるのではないでしょうか。
IoTとDX推進について
今や日常生活の中でもさまざまな場所に活用されているIoTですが、企業のDX推進にも欠かせない存在になっていることを忘れてはいけません。DX推進とIoTには、どのような関係性があるのか。確認していきましょう。
IoTとDX推進の関係性
国を挙げて推進されている各企業のDX。しかし、DXを進めていく上で、企業側も大きな変化が求められることとなります。物理的な変化だけでなく思考的な変化も求められるDXですが、円滑に推進していくためにIoTを導入し、良い効果が出ているケースは珍しくありません。
DXとは、AIなどデジタル技術を活用することだと勘違いする人も少なくありませんが、実際にはそういった技術を活用しながら、新しいビジネスモデルを生み出すことを意味する言葉です。企業の課題に対してどういったデータを用いながら解決に導き、そしてどのように新たな道を作っていくのか。IoTは、この答えへとたどり着くために活用できる一つの手段なのです。
IoTの普及が進んでいる理由
DX推進のための一つの手段であるIoT。今、日本ではじわじわとIoTを導入する企業が増えており、その利用率は6.8%(IDC Japan:「国内IoT市場 企業ユーザー動向調査」より)というところまで上がってきました。世界に比べるとまだまだ普及率は低い水準ですが、社内プロセスを合理化するためやコスト削減のためにIoTを導入する企業は少しずつ増えてきています。
また、同調査内ではIoTの使用用途についての問いも。元々DX用途でIoTを導入した企業も2017年以降全体の1%以上になっており、DXのためにIoTを導入する企業があることも証明されています。
IoTに対しては、業務フローの効率化・合理化や、ビッグデータの活用など、企業のデジタル化に向けての一環であると捉えている人も少なくありません。しかし、DXという一人視点でIoTを見ると、その存在価値は変わってきます。
DX推進のためには、改善すべき課題を見つけるために膨大の量のデータ収集が必要となります。IoTは、モノとモノそれぞれからデータ収集できる技術です。そのため、IoT導入前とは比べものにならないほどのデータが集まるという結果に。現実世界のデータが大量に収集できること。これこそ、DXを推進させたい企業にIoTが普及している理由だと言えるのではないでしょうか。
また、DXからの観点だけでなく、「IoT導入にかかるコストの低下」や「機器の縮小・軽量化からの汎用性の高まり」、「スマートフォンの普及」など、IoTを取り巻く環境の変化もIoT普及の追い風となったことは言うまでもありません。進歩の可能性が多いにあるIoTは、これからも普及率が高まるデジタル技術の一つだと言えます。
IoTの活用で実現できる機能
では、IoTを導入することで具体的にどんなことができるようになるのでしょうか。IoTの活用によって実現する代表的な機能について、一つずつ確認していきましょう。
モノの操作
IoTでできることの代表的なものとして挙げられるのが、離れた場所にあるモノの操作です。例えば、「外出先から自宅にあるエアコンの電源を入れる」・「外出先から自宅の照明を消す」などの行為は、LoTの技術により成り立っています。
今まではそのモノの近くにいないと操作できなかったり、直接そのモノに触れないと操作できなかったりしたようなことが、モノとモノ同士がインターネットでつながることによって、遠隔での操作が可能になりました。
モノの動きの検知
IoTは、モノの周辺状況や人の動き、状況などをリアルタイムで確認することもできる技術。仕組みのところでもお話した通り、IoTではモノとモノ双方からデータの送受信が行えるため、“重要な変化”を見逃さないよう管理できるようになりました。
車の自動ブレーキシステムなども、このIoTの技術を活用したもの。離れた場所に住む家族の見守りなどにもこの機能が活かされており、これから欠かせない技術となることは間違いありません。
モノの状態の把握
離れた場所にあるモノの状態を把握できるのも、IoTの機能の一つです。離れた場所にあるモノを操作するだけでなく、そのモノが今どういった状態にあるのかを知れるのは、IoTならではな機能だと言えるのではないでしょうか。
離れた場所にあるモノの状態を把握することは、今起こさなければならないアクションを決定するために必要不可欠な情報です。モノに対して、“一定基準を超えたらアラートを発動する”という機能をプラスできるため、常にそのモノや人の近くにいて観察しなければいけないという縛りから解放されます。
また、蓄積されたデータを見返すことができるため、マーケティングの材料として活用することも可能。離れた場所にあるモノがどれくらいの効果を上げているのかや、どうすれば効率を上げられるのかなどの課題が見つけられるのも、IoT技術を活用するメリットだと言えます。
モノ同士での通信
IoTでは、インターネットを介してモノとモノ同士を通信させることもできます。モノの状態を把握してアクションを起こすためには、モノとモノの間に人間の力を挟むというのが今までの常識でしたが、IoTの技術が活用されはじめたことによってその常識は変わっていきました。
モノ同士が通信できるということは、いくつかの電子機器を同時に作動させることができるようになるということ。人がアクションを起こして動かしていた電子機器を、電子機器の指示によって別の電子機器を作動させることができるようになったのです。
身近な例としては、AIスピーカーとの連携で実現した「スマートホーム」や「スマートビルディング」など。人が口頭で指示を出すだけで、AIスピーカーがそれぞれの電子機器を操作してくれるという便利な機能です。
また、今注目度が高まっている自動車の「自動運転技術」にも、このIoTの技術が採用されています。この技術の活用の幅が広がれば、人間の生活がより自動化されることとなるでしょう。
業界ごとのIoT活用事例3選
IoTの技術は、さまざまな業界のさまざまな場面で活用されています。業界ごとにどのような方法でIoTを活用しているのか、見ていきましょう。
農業×IoT
農業の世界では、IoTを活用して後継者不足の課題に取り組んでいます。農業は、人の力がないと続けることができない職業の一つ。しかし、農業従事者の高齢化や後継者不足、新規就農者の現象など、“人”に関する問題が山積みになっています。
そこで活用されたのが、IoTの力。農業は長年の経験で培った技術や知識が求められる職業ですが、そういった農業のノウハウをビッグデータを活用しながら可視化し、農業の技術を標準化することに成功しました。またトラクターの自動走行を行い、少人数でも農作物の管理ができるような環境を実現。水やりや種まきの自動化、ビニールハウスの温度・湿度管理の遠隔操作なども、IoTの技術によって可能になりました。
少子高齢化の波を真正面から受け止めている農業に対し、IoTの力を使って助けようとする動きが増えています。
医療・介護×IoT
慢性的な人手不足に悩む医療・介護業界でも、IoTの技術が活用されています。医療用ベッドや遠隔見守りサービスなどさまざまな場面で活用されているIoTの技術ですが、その中でも今特に注目を集めているのが「着用型ウェアラブルデバイス」です。
着用型ウェアラブルデバイスとは、その言葉の通り“身に付ける機器”のこと。患者に着用型ウェアラブルデバイスを装着してもらうことで、体温や心拍、脈拍、血圧などの生体データをリアルタイムで受け取ることができます。
看護師や医師がそばにいないときでも、異変が起こるとすぐにアラートが作動。生体データの計測にかかる人員を他に回せることだけでなく、万が一の事態にも即対応できるのは、IoTの技術ならではです。
交通機関×IoT
各種交通機関でも、IoTの技術を取り入れた画期的なシステムが誕生しています。バスや電車などの交通機関を利用する場合、時刻表や路線図を基にスケジュールを組み立てることかと思いますが、渋滞や事故が発生すると予定の通り動けなくなるケースも珍しくありません。慣れた土地でない場合には、どのルートを選択するのがベストなのか困ってしまう可能性もあります。
そこで交通機関では、IoTを活用して「何分後にバスが来るのか」、「どの乗り換えがベストなのか」の情報をユーザーに向けて発信。現在の運行状況がリアルタイムで確認できるのはもちろん、ユーザーの位置情報から逆算してどのルートを選択するのがベストなのかも確認できるようになっています。
遅延が起きたときのルート選択だけでなく、普段バスや電車などに乗り慣れていない人にとっても心強い機能となることは間違いありません。
まとめ
今や、人々の生活になくてはならない存在となりつつあるIoT。日常生活だけでなく、IoTはDXを推進したいと考えている企業にとっても注目すべき技術です。
弊社では、DXに関する資料も提供しているので、IoTの技術と合わせてご確認ください。