投稿日 2024.01.24

最終更新日 2024.01.24

フォワーダーが直面する課題とは?対策を含めて解説

フォワーダーが直面する課題とは?対策を含めて解説

フォワーダー(forwarder)とは?

フォワーダーは、日本語で「貨物利用運送事業者」と言います。荷物の運搬を依頼したい荷主と、実際に運送を担当する業者の仲立ちをし、輸出入業務を代行する仕事をフォワーダーが担います。フォワーダーは自身で輸送手段を保有したり運行しているわけではありません。運送に携わる業者のサービスを組み合わせることで、顧客に最も適した物流サービスを提供しています。

マーケティング担当者がフォワーダーについて理解しておくとよい理由

フォワーディング業界のマーケターは別として、フォワーダーは一見すると縁遠い立場に感じるかもしれませんが、決してそのようなことはありません。例えば、マーケターがせっかく売れる仕組みを作ったとしても、適切なフォワーダーを選ばなかったばかりに商品の不達や納品遅れが生じると努力が水の泡になってしまいます。顧客からの信用を失う可能性もあるでしょう。マーケターがフォワーダーの仕事や役割、直面している問題や将来の展望について理解を深めておくと、質の良い仕事を行う上で役立つはずです。

フォワーダーの役割

フォワーダーについて大まかに理解したところで、実際にフォワーダーがどのような役割を果たしているのか、業務の詳細を見ていきましょう。加えて、フォワーダーが必要とされている理由についても解説します。

フォワーダーが担っている役割とは

フォワーダーの仕事は、旅行業者と似ているかもしれません。私たちが旅行をする際、目的地までの交通手段や宿泊場所、旅行中の移動手段などを旅行会社を通じて手配することがあります。手配旅行の場合、こちらの要望に沿って最適な旅行プランを立てるのが旅行業者の役割であり、腕の見せ所です。フォワーダーの仕事も同様で、顧客の要望を受け、依頼された荷物を納期までに運び終えるのに最も適した交通手段を選んでいきます。活用する輸送手段としては、船や飛行機、鉄道やトラックなどが挙げられます。通関業者や現地フォワーダー会社の手配を行うこともあります。
 
フォワーダーの業務は、はたから見ている以上に多岐にわたります。輸送の手配や手配業者の選定に加え、トラック会社にトレーラーを手配することもあります。さらに、飛行機や船のスケジュールを管理したり、貿易書類の管理・提出を行ったり、見積書や発注書を作成するのもフォワーダーの仕事です。国際物流の場合は、国ごとの法律にのっとって煩雑な書類手続きを行うとともに、リスクコントロールが必要です。専門的な知識がないと無事荷物を送り届けることができなくなる場合があり、フォワーダーの役割は重要です。

時代が変化してもフォワーダーが必要な理由

フォワーダーは、荷主と目的地を一つの線で結ぶ役割が求められますが、どこか一カ所でトラブルが生じると納期までに荷物を運ぶのが難しくなります。実は、そのようなトラブルは近年多発しています。例えば、新型コロナウイルスが蔓延した際は、国をまたぐ航空機や船舶の運航が滞りましたし、その後も戦争や紛争などによりルートが確保できない事態が続いています。このような状況は、荷主がコントロールできる範囲をはるかに超えているといえるでしょう。最適なルートや運送方法は刻一刻と変化しており、それらを正確に把握しているフォワーダーを活用することで、納期厳守やコスト削減を実現できます。

フォワーダーが直面する課題

グローバルサプライチェーンが発達し、フォワーダーに求められることも増えています。ここで、フォワーダーがすで直面している、あるいは今後生じるであろう主な課題を取り上げて説明します。

政治や法律上の問題

産業がグローバル化することで利益の獲得競争が起き、関税が増加したり、輸出入規制などが厳格化されています。フォワーダーは、政治情勢や各国の法律を熟知していないと適切に対応できなくなっているということです。単に荷物を滞りなく運ぶだけでなく、政治情勢や法律の専門家の側面も期待されています。

言葉や文化の壁

昨今は、物量だけでなく取引する国の数も急増しています。国が違えば、言語や文化も異なるため、コミュニケーションを十分に取ったと思ってもトラブルや認識の違いが生じる場合があります。

人手不足

他の業界や職種と同様、フォワーダーも人手不足が課題です。経験ある職員の高齢化が問題となっており、新たな職員の採用は年を追うごとに難しくなっています。クオリティの高い職員を確保することはフォワーダーにとって喫緊の課題と言えるでしょう。

テクノロジーの進化への適応

世の中がデジタル化しているのと同様、フォワーダーの世界でもテクノロジーの波が押し寄せています。テクノロジーへの対応は、フォワーダーの規模を問わず、不可欠な状況です。ここでは、特にテクノロジー化が進む大手の動きをご紹介します。加えて、フォワーダーが生き残るためにできる点を取り上げます。

大手で進むテクノロジー化とその効果

大手フォワーダーは、契約先の運送会社などと連携してプラットフォームを作成し、荷物や運送手段の予約状況、価格などの見える化を実現しました。情報を一元管理できるシステムになっており、ブッキングに変更があった際は、運送手段やスケジュールが自動的に変更・キャンセルされます。荷物の動静やスペースの状況をリアルタイムで把握でき、新規顧客獲得にも役立っています。

これからテクノロジー化を進めるフォワーダーにできること

プラットフォームの作成・導入は、どのフォワーダーにも求められると考えられます。プラットフォームの活用が進めば、顧客はサービスや価格の比較がしやすくなり、自由にフォワーダーを選ぶことができるでしょう。フォワーダー側も、デジタル化によりコスト削減や業務の簡略化を実現できるはずです。
 
それでも、デジタル化はメリットだけでなく、デメリットを引き起こす可能性があります。例えば、顧客は価格やサービスを比較しやすくなるため、フォワーダーは利益を上げにくくなるかもしれません。そうなると、ネームバリューや購買力がある大手に仕事が流れる懸念があります。潤沢な資金を投じて使いやすいプラットフォームを作れる大手に対抗するのは大変ですが、中小のフォワーダーはサービス面で差別化を図ることができるでしょう。小回りが利くメリットを活かすということです。
 
例えば、きめ細かいサービスを売りにできます。トータルサービスを提供し、かつ顧客のニーズに合わせて陸送・通関・梱包などを柔軟に対応するなどして顧客の負担を最小限に抑えるフォワーダーは荷主にとって魅力的に映るかもしれません。テクノロジーの進化に対応することと顧客の要望を丁寧にくみ取ることが、今後のフォワーダー業に求められる要素と言えるでしょう。そのためには、優良なサービスを提供する海外支店や代理店との連携強化を図ることも大切です。

課題への対策と未来の展望

フォワーダーが抱えている課題は、テクノロジーの活用と人への投資により対処していくのが有効と考えられます。テクノロジーにより業務を効率化して職員への負担を減らし、法律や他国の文化などの知識が得られるよう教育体制を充実していくことが課題解決につながるはずです。
 
フォワーダーの需要はこれからも増え続けると予測されています。需要増は大手だけでなく小口のフォワーダーにとってもチャンスです。チャンスを確実にものにしていくには、環境を考えた輸送手段を積極的に採用するなど、新しいチャレンジが求められます。環境にやさしい電気自動車や水素自動車、業務効率向上に役立つ自動運転や自動倉庫などの活用がより一層進むと考えられます。

Salesforceを活用して貨物の最新情報の連携を行った事例

Fabeee株式会社は、システムの構築だけでなく運用定着まで徹底的に伴走し、お客様のビジネス成長に貢献しています。実際の事例として、国際物流サービスのフライングフィッシュ株式会社との対談を通じて、Fabeeeの『バンソウDX』の思想や価値を解説します。フライングフィッシュ株式会社は国際物流サービスを提供し、2023年にSalesforceを導入しました。本稼働を開始してから約10ヶ月間、導入と定着支援の過程を振り返りました。
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この記事の監修者

阿部 雅文

阿部 雅文

コンサルタント

北海道大学法学部卒業。新卒でITベンチャー企業入社し、20代で新規事業の事業部長を経験。その後さらなる事業開発の経験を積むために、戦略コンサルティングファームにてスタートアップ企業からエンタープライズ企業のデジタルマーケティングや事業開発におけるコンサルティング業務に従事する。2021年5月にFabeeeにジョイン。DXコンサルタントとして大手メーカーや総合商社などを担当するほか、数多くのクライアントから指名を受け、各社の事業開発を支援中。多忙を極める中でも、丁寧で迅速な対応が顧客から高い評価を得ている。