国際物流とは?
国際物流とは、異なる国や地域間での物品やサービスの移動を計画・実行・管理する活動であり、貿易やグローバルビジネスにおいて重要な役割を果たすものです。その目的は、需要と供給のバランスをとりながらコストや時間を最小化し、品質や安全性を確保するという点にあります。この国際物流には、輸送や保管、梱包、通関、保険といった様々な要素が含まれることから、以下でそれぞれのポイントについて見ていくことにしましょう。なお、グローバル化やデジタル化の進展によってますます業務が複雑化や高度化しているため、環境問題や安全保障問題、法規制問題、人材育成問題などが課題になっているという点についても併せて頭に入れておくようにしてください。そのような課題を解決するためには、国際協力やイノベーションが不可欠なのです。
輸送・保管・梱包
輸送というのは、物品やサービスを出発地から目的地まで移動させる手段や方法です。船、飛行機、トラック、列車などの輸送機関や、道路、鉄道、港湾、空港などの輸送インフラが必要となるという点に注意しなければなりません。一方、保管というのは、物品やサービスを一時的に保管する場所や設備であり、倉庫やコンテナ、棚、パレットといった施設や、在庫管理、品質管理、保安管理などの保管機能を準備しなければなりません。さらに、梱包とは、物品やサービスを輸送や保管に適した形や状態にする作業で、箱や袋、ラベル、シール等の梱包材や、梱包機械、梱包規格、梱包方法などの梱包技術が必要とされます。
通関・保険
通関は、物品やサービスが国境を越える際の手続きや書類で、具体的には、関税、税金、規制、検査などの通関要件や、インボイス、パッキングリスト、証明書などの通関書類の手配等への対応が求められます。保険は、物品やサービスを輸送や保管中に損傷したり紛失したりするリスクに対して保障を行う契約やサービスで、保険会社や保険代理店、保険料、保険金、保険条件などの保険要素が必要です。
フォワーダーのデジタル化事例5選
フォワーダーというのは、国際物流に関する輸送手配や通関手続きなどを代行する事業者のことです。従来は手作業等のアナログでの業務が中心でしたが、テクノロジーの進歩に伴って、クラウドサービスやブロックチェーン技術などを用いて効率化や可視化する取り組みが各所で進められています。ここでは、フォワーダーのデジタル化の事例の中から、特に特徴的な5つをピックアップして紹介していきます。
Shippio
Shippioは、日本初となるデジタルフォワーダーとして、自社で開発したクラウド型のサービスを提供しています。このサービスを利用すれば、荷主であるクライアントは、Shippioが用意しているプラットフォーム上で、輸送手配や書類作成、貨物の追跡などを一元的に管理することができるようになります。また、Shippioは複数の船会社やトラック会社と連携しており、最適な輸送ルートや料金を提案してくれるので、国際運送のコスト削減を図りたい荷主にとって頼もしい存在となるでしょう。
Trade Waltz
Trade Waltzは、NTTデータや三菱商事といった日本を代表する企業が業界横断で共同出資してスタートした貿易DXプロジェクトです。ブロックチェーンの技術を利用して、貿易取引の進捗の確認やコミュニケーション、書類の管理などを行います。このサービスを使えば関係各社が同一の情報を共有できるようになるので、信頼性や透明性が高まります。
Flexport
Flexportは、アメリカのデジタルフォワーダーの最大手に位置付けられる企業で、世界各国にいくつもの拠点を有しています。自社のクラウドサービスを通じて、航空輸送や海上輸送、倉庫や通関などに関するサービスを提供するだけでなく、AIやビッグデータといったテクノロジーを活用して、需要予測や最適な輸送ルートなどを分析します。そのため、このサービスを使えば、荷主は自らの国際運送に係る業務の効率化を図ることが可能です。
Forto
Fortoは、ドイツのデジタルフォワーダーで、欧州からアジアにかけての複数の主要な港湾にネットワークを持っています。同社は海上輸送や鉄道輸送、トラック輸送などのクラウドサービスを提供しており、その中にはリアルタイムで貨物の位置や状態を確認できるダッシュボード機能が含まれています。当該機能を使えば、荷主はいつでも自社の荷物の状況を把握できるため、トラブル時でも適切に対応できるようになるでしょう。
Freightwalla
Freightwallaは、インドのデジタルフォワーダーで、同国と世界の主要な港湾を結ぶサービスを提供しています。クラウド環境を使って海上輸送や通関などのサービスを手掛けるとともに、貨物の追跡や書類の管理などを簡単に行えるモバイルアプリを提供しています。アプリを使ってモバイル端末で運送状況を確認できるので、このサービスを利用すれば、荷主はオフィスに行かずに国際運送業務を行うことが可能です。従って、従業員のワークライフバランスを改善したいという荷主は、こちらのサービスを導入することでその目的を達成できるでしょう。
国際物流のDXの今後の展望
国際物流のDXは、デジタル技術やデータ活用によって急速に進展しており、それによって物流の省人化や自動化、可視化や予測、協調や共有などの様々な側面で進展が見られます。ここでは、そういった状況を踏まえて、国際物流のDXの今後の展望をいくつかの側面から見ていくことにします。
デジタルプラットフォームの普及
将来的には、物流に関するデータやサービスを集約・提供するデジタルプラットフォームが、国際物流の基盤となるでしょう。デジタルプラットフォームによって、物流の需要と供給をマッチングさせたり、物流の状況やリスクを可視化・予測したり、物流の品質やコストを最適化したりすることが可能になるはずです。また、それによって物流の関係者や利用者が密接に繋がるようになり、物流のエコシステムが形成されていくことが想定されています。
デジタルツインの活用
デジタルツインとは、現実の物理的な対象をデジタルで再現した仮想的なモデルのことです。このデジタルツインを活用すれば、物流の対象やプロセスをシミュレーションしたり、物流のパフォーマンスや問題を分析したり、物流の改善や改革を計画したりといったことができるようになります。それによって、物流の現実とデジタルを連携させ、物流の最適化やイノベーションをサポートすることがこれまで以上に容易になるでしょう。
デジタルトレードの発展
デジタルトレードというのは、デジタルテクノロジーやデータ活用によって、貿易に関する取引や手続きを効率化・簡素化することで、これを効果的に使えば、貿易の障壁やコストを低減し、取引の機会や利便性を高められるようになります。ブロックチェーンや電子署名などの技術を利用して、貿易書類のデジタル化や通関のスピードアップなどを実現するものだけに、技術が進展すればその分だけ国際運送業務の効率化に寄与するに違いありません。
Salesforceを活用して貨物の最新情報の連携を行った事例