エンターテインメント、ビジネス、投資など、さまざまな分野からの注目度が急上昇しているメタバース。実は教育の分野においても、活用の幅が広がっています。
そこで今回は、メタバースと教育分野の関係性について解説。すでに報告されているメタバースの教育コンテンツの事例についてもご紹介します。
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メタバースと教育分野の関係性は?注目されている理由とは
教育分野では2020年に「GIGAスクール構想」がスタートし、生徒たちが一人一台タブレットを使用して授業を受けるスタイルが定着しつつあります。新型コロナウイルスの感染が拡大した際には休校措置を取った学校も多く、このような要因もあってオンライン教育に対する需要は高まる一方です。
今回の学校へのタブレット導入に関しては、パソコン導入時とは比にならないほど迅速に展開され、生徒がどこからでも平等に教育を受けられる環境が整備され始めました。このように、教育現場で活用できるデバイスが普及したこともあり、徐々にメタバースの導入についても検討される機会が増えています。
これまで教育現場において生徒たちが体験や経験を積み重ねるためには、そのために必要な道具や場所を用意し、体験や経験を積み重ねるための時間を設けなければなりませんでした。もちろん、リアルでの体験や経験を積み重ねる必要がなくなったわけではなく、これからの時代を生き抜く上でも生の体験や経験は子どもたちにとって重要な財産となることに違いはありません。
昔と今とで大きく違うのは、情報処理能力の重要さ。今までは、毎日学校へ行ってきちんと授業を受け、塾へ通ってテストで良い点を取って良い大学へ進み、一流企業へ就職して…というのがいわゆる「理想のコース」だと考える人が大多数でした。
しかし今は、この理想のコースを進んでいても途中で脱落してしまったり、派遣など不安定な雇用を余儀なくされたりするケースが珍しくありません。このような先の見えない世の中を生き抜いていくためには、情報社会を生き抜くための情報処理能力が身につけられているかどうかがとても重要。
メタバースを活用すれば、バーチャルな世界の中でアバターを通じて生身の人間を感じることができ、情報モラルが自然と身についていきます。さまざまな理由で学校へ登校できない生徒も、アバターを通じて教室に入ったり他者と交流をしたりすることができるため、登校をはじめ社会に参加するためのシミュレーションを行うことができるのです。
ビジネスの世界においてもメタバースは、時間や場所、人などの制約に囚われないというのが大きなメリットの一つ。教育の分野でも、このようなメタバースが持つメリットは大きな効果を発揮すると考えられています。
メタバースの導入に関する現在と未来
メタバースは、すでに教員分野においてさまざまな方法で活用されています。現在の教育分野におけるメタバースは、ディスカッションや運動会、オープンキャンパスなど、これまでリアルに人が集まらなければ開催できなかったイベントなどに対して活用されるケースが少なくありません。
オンライン授業や同窓会などが開催できるメタバースの教育プラットフォームも開発されており、すでに学習塾などでの導入が報告されています。新型コロナウイルスの蔓延を機に、リアルで集まる機会が急減したことから、教育分野においてもメタバースに対する注目度は上昇。面接の練習や課外授業なども、メタバースを導入することで場所や時間の制約がなく実施することができるなど、メリットは多いと言えます。
将来的には、XR(VRやARなどの総称)技術との組み合わせによって、バーチャルでありながらもより自然に近いメタバースの世界ができると予想されています。教育分野へのメタバース導入は、年齢・性別・上下関係をも問わずに教育が受けられる環境を作り出すために欠かせないプロセス。
誰もが平等に教育を受けられる環境の実現は、メタバースの存在がカギを握っていると言っても過言ではないのです。
教育分野にメタバースを導入するメリットは?
先ほどからお伝えしているようにメタバースのメリットは、時間や場所、人などの制約がないこと。これは、教育の分野においてだけでなく、ビジネスなどさまざまな分野におけるメタバースのメリットであると考えられています。
教育分野に特化してメタバースのメリットは何かと考えると、まず挙げられるのが安全に教育の場が提供できるということ。リアルの世界では、教育を行う場においていじめが発生したり登下校中に事件や事故に巻き込まれたりする可能性がゼロにはなりません。
それに対しメタバースでは、教育者が生徒同士の交流をコントロールすることができたり、メタバース内における生徒の権限を変更したりと、あらかじめトラブルへの対策を練っておくことができるのです。また、リアルの世界のように学校や塾といった一つの場所に生徒を集中させる必要がないため、生徒たちが登下校中に事件や事故に巻き込まれる可能性もゼロに近づけることができます。安心して教育が受けられるというのは、教育の分野にメタバースを導入する最大のメリットであると言ってもいいのかもしれません。
他にも、より高い没入感によってメタバース内での体験を追体験した場合にも違和感を覚えなかったり、世代に合わせたグラフィックを実現できたりとメリットはたくさん。アバター同士での交流によって、他者に対する心理的な抵抗を取り払うこともできるため、言語学習における外国人講師に対しての視覚的バイアスがかからずに済みます。スムーズに他の国の言語について学びを深めることができるため、バーチャル留学などを通じてさまざまな言語と触れ合う機会を増やすことも難しくないのです。
海外ではすでに教育現場にメタバースを導入するケースが増えていることから、今後日本でも従来型の教育をやめてメタバースの導入など未来を見据えた教育への転換が求められていくことでしょう。
メタバースを活用した教育の事例を紹介
では、実際にすでに導入されているメタバースの教育コンテンツの事例をチェックしていきましょう。
角川ドワンゴ学園
IT企業の株式会社ドワンゴが設立した通信制高校「角川ドワンゴ学園」では、メタバースを活用した「普通科プレミアム」というプログラムを実施しています。2021年4月の時点で2,300本を超えるVR授業が用意されており、自宅にいながらメタバース内で受講が可能。Meta社のOculus Quest 2というVRゴーグルが配布され、好きなときに講座が受けられるようになっています。
ゴーグルを装着すると、目の前に広がっているのはバーチャルの教室。バーチャルとは言え、目の前に先生がいて隣にはクラスメイトがおり、アバターが自分の手と同じ動きをするため、まるでリアルの教室にいるかのような感覚で授業を受けることができます。
VRゴーグルを着用して授業を受けるため、現実世界のようにスマホなど視界に入る他のものへ意識がいくこともなく、集中して授業を受けられるのが大きなメリット。教師側からの教材に対する評判も良く、今後も角川ドワンゴ学園の取り組みに期待が集まっています。
世界最先端のオンライン学習/角川ドワンゴ学園
イーオン
英会話教室を展開しているAEON(イーオン)では、オンライン英会話の一環としてメタバースを活用。「AEON VR」と呼ばれるVR英会話では、Meta社のMeta Quest2(旧Oculus Quest 2)に対応した英語のVRプラットフォーム「immerse」を使用してVRライブレッスンを提供しています。
AEON VRの特徴は、メタバース内で世界中を旅しながら生の英語に触れられること。教室はもちろん、ファストフード店や空港、ホテルなど現実世界に存在しているシチュエーションが40種類ほど用意されており、ゲームのような感覚で英会話を楽しむことができます。
VRを活用した新レッスン「AEON VR」/AEON
まとめ
教育の概念を覆すほどの存在となっているメタバース。多様化する社会の中で生き抜いていくためにも、メタバースを活用した教育コンテンツの充実が求められています。
弊社でも独自のメタバースプラットフォームを構築するためのお手伝いをしているので、ご興味をお持ちの方はぜひ「Fabeee Metaverse Package」のサイトをご覧ください。