メタバースオフィスとは?
まずはじめに、メタバースオフィスとはどういったものであるのかを見たうえで、その種類について説明することとします。
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メタバースオフィスの概要
メタバースオフィスというのは、インターネット上のメタバースと呼ばれる仮想空間内に設けられている擬似的なオフィス環境です。あくまでもバーチャルな存在に過ぎないため、実際のオフィスのようにそこにリアルなデスクやパソコンなどが設置されているわけではありません。しかしながら、メタバースオフィスには、それらのオフィス機器と同じようなアイテムが再現されており、ユーザーは自分自身の分身であるアバターを使ってあたかも現実世界と同じようにそれらを使用することが可能になっています。
また、同じオフィスには、複数のユーザーが異なる場所からアクセスできるようになっており、その空間内で互いにコミュニケーションをすることが可能です。そのため、メタバースオフィスを用いれば、実際のオフィスにいるかのように社員がそこに集まってミーティングをしたり、社外のクライアントなどを招いてセミナーを開催したりすることができるのです。
メタバースオフィスの種類
メタバースオフィスには、大きく分けて3Dメタバースオフィスと2Dメタバースオフィスの2種類があります。両者の大きな違いは、前者が三次元の立体的なデザインとなっているのに対し、後者は二次元の平面的なデザインとなっている点です。3Dの方がより高性能の処理能力を必要とするため、ハイスペックのコンピューターを用意できる場合は前者を、そうでない場合には後者にアクセスするといった使い分けが可能です。また、3Dメタバースオフィスであれば、リアルなオフィスに近い環境を再現することができます。仮想空間内にいる人々の身振りや手振りなどを忠実に再現できるツールも用意されているので、自然なコミュニケーションを行えるというのがこちらの利点であると言えるでしょう。
一方、2Dの方は3Dほどのリアルさはないものの、その代わりにワンクリックで他のユーザーに語り掛けられたりするなど、気軽にコミュニケーションをとりやすいという点が魅力です。テレワークで仕事をする機会が増えている社会において、気軽に他者と触れ合える環境は貴重ですので、社内の風通しを良くしたいと考えている企業などに適していると言えます。
メタバースオフィスを活用するメリット
次に、メタバースオフィスを活用することで得られるメリットについて見ていきましょう。
コミュニケーションの活性化
メタバースオフィスは、インターネット環境さえあればどこからでもアクセスすることが可能なので、わざわざ時間をかけてオフィスに行く必要がありません。物理的に離れた場所にいる人や障害などで外出が困難な人でも簡単にバーチャルなオフィス環境内で仕事をすることが可能となり、すぐそばに他の社員がいるのが分かるため、誰でも気軽にコミュニケーションをとりやすいのです。また、メタバースオフィスへのアクセスによって他の社員とのつながりを実感できるほか、新たに加わった社員とのやり取りもスムーズに行えるようになります。それによって、社員のエンゲージメントを向上させられるというのも、メタバースオフィスを利用するメリットなのです。
コストの削減
メタバースオフィスを利用すれば、リアルなオフィスは必要最小限の広さで済むようになるため、それによってオフィス賃料を大幅に削減できるようになります。社員が増加した場合にはオンライン上で必要な手続きを行うだけで簡単にオフィスを拡張できるので、現実世界のオフィスで起こり得るようなスペースが足りなくなって引越しせざるを得なくなるといった課題に直面するおそれもありません。
勤務状況の見える化による生産性向上
テレワークを導入した多くの企業が悩むのは、社員が本当に家で一生懸命仕事をしているのかよく分からないという点です。この点、メタバースオフィスを利用すれば、ログイン記録で出社している社員を確認できますし、「作業中」や「会議中」といったように個々人のステータスも一目瞭然に見えるようになり、それによって一人ひとりが何をしているかが手に取るように分かるようになります。このように勤務状況が可視化できることで、無駄な電話やチャットなどを減らすことができるようになり、生産性の向上にもつながるでしょう。
メタバースオフィスの利用方法
ここからは、メタバースオフィスの利用方法について見ていきます。
社員用のオフィス
メタバースオフィスの利用方法の中でも最もポピュラーなのは、社員がそこにアクセスして実際のオフィスと同じように会議や作業を行うといった使い方です。どこからでもアクセスできるという手軽さに加えて、バーチャル空間ならではのコミュニケーションのしやすさもあるため、テレワークを推進している企業だけでなく、社内の風通しを良くしたいと考えている企業にとっても魅力ある利用方法ではないでしょうか。また、わざわざオフィスまで時間をかけて通勤せずに済むため、ワークライフバランスを重視した柔軟な働き方ができるなど社員にとっても大きなメリットが得られるでしょう。
クライアント向けのショールーム
もう一つの利用方法として考えられるのは、クライアント向けのショールームとしての使い方です。メタバースオフィスに商品やサービスの見本やカタログなどを用意して、そこにクライアントがアクセスできるようにすれば、バーチャル環境でマーケティング活動ができるようになるため、販売促進費も大幅に節約できるでしょう。また、これまで接点がなかった潜在顧客も気軽に招待できるため、うまくいけば一気にビジネスを拡大させることも不可能ではありません。
緊急時の代替オフィス
メタバースオフィスは、地震などの災害時にオフィスが使えなくなった時の代替オフィスとして使うことも可能です。普段はリアルのオフィスで対面で仕事を行い、いざというときにはメタバースに切り替えられるようにしておけば、急にオフィスを使えなくなったとしても業務への影響を最小限に食い止められるでしょう。
メタバースオフィスの利用事例
最後にメタバースオフィスの利用事例をいくつか紹介します。
メタバースオフィスで合宿
オンラインサービス事業を営んでいるA社では、普段はリアルなオフィスで仕事をしているのですが、かねてより別々のオフィスで働いている社員間に温度差がある点が課題となっていました。そこで、メタバースオフィスを導入して定期的に決められた日に各オフィスの社員がそこに集まって決められたテーマについて討論を行うといった合宿の取り組みを始めた結果、社内のコミュニケーションが活性化し、それによってほとんどの社員が同様の熱意を持って仕事に打ち込めるようになったのです。
取材にもバーチャルで対応
コンテンツ制作会社であるB社は、普段からテレワークを社内標準としており、社員相互がコミュニケーションや交流できる場として複数のメタバースオフィスをを導入しています。同社では、メタバースオフィスを単なる社員の仕事場所としてだけでなく、社外の記者などとの対談場所としても活用しており、バーチャル環境を使って積極的に取材に応じているのです。そうした取り組みを行っている企業はまだまだ多くないということもあって、会社のPRにもつながっています。
デザイン力をアピール
建築設計を手掛けるC社では、メタバース内にオフィスビルを開設しました。デザインから設計まで自らが手掛けることによって、自社のデザイン力をアピールすることにつながっています。また、現実世界のオフィススペースを削減してメタバースオフィスで仕事をするようにしたことで、大幅なコストカットが実現でき、経営状態も大きく改善しました。
メタバースオフィスの活用方法は無限大
以上で見てきたように、メタバースオフィスを利用すれば社内のコミュニケーションを活性化させたり、オフィス賃料を削減できるといった様々なメリットを享受することが可能です。ここで挙げた利用方法や利用事例以外にもメタバースオフィスの活用方法は無限大ですので、ぜひ自社にあった使い方を検討してみるとよいでしょう。