投稿日 2024.03.26

最終更新日 2024.03.26

海外における物流DX事例とは?DXのポイントを解説

海外における物流DX事例とは?DXのポイントを解説
物流DXは関連企業における喫緊の課題として注目されていますが、十分なデジタル導入が進んでおらず、問題の解決にはまだまだ時間がかかるのが現状です。
 
特に国内企業における物流DXの遅れは深刻で、2024年問題の発生が間近に迫ってようやく、多くの企業が実施に向けて動き始めています。
 
この記事では、海外における先進的な物流DX事例を中心に解説しながら、国内でも物流DXを実現するに当たって知っておきたいポイントを紹介します。

物流DXとは

物流DXとは

そもそも物流DXとは、物流業界における生産性向上や働き方改革を目的としたDX、つまりデジタル活用を指す言葉です。
 
物流業界は多くのDXの余地が残されていると考えられており、既存の業務プロセスでは収益性や生産性を高めるのはもちろん、それを維持することも難しいとされています。
 
このような機運が高まっている理由としては、

  • 人材不足の深刻化
  • 世界全体の流通量の増加
  • 2024年問題

といった課題が背景に挙げられます。まず、少子高齢化の影響で労働人口の確保は年々難しくなっており、今後も人間の数が回復する兆しは見えないことから、少人数でも業務を遂行できる環境の整備は欠かせません。
 
加えて、ECサービスの普及や多様化、産業のグローバリゼーションが加速したことによって、日本を含めた世界全体の流通量が増加し、現場での負担が増加している点も問題です。
 
従来の生産性では急増する業務量に対応することができず、現場に過剰な負荷がかかってしまってパフォーマンスを維持できなくなったり、大きな機会損失を産んでしまったりすることにつながります。
 
また、日本では2024年4月より働き方改革関連法案が施行され、トラックドライバーの長時間労働が大幅に制限されます。結果、従来のような輸送能力を現場で維持することができず、業務を効率化して無駄な就業時間を排除しなければ、生産性がさらに低下してしまうようになっているのが現状です。

そのため、物流DXは事業の規模を問わず、あらゆる事業者の間で早急に対応しなければならない問題となっているのが現状です。

物流DXの実現メリット

物流DXの実現メリット

物流DXは企業にとって厄介な重荷となっている側面もありますが、物流DXを実現することができれば、長期的には多大なメリットを企業にもたらしてくれる取り組みです。
 
ここでは、物流DX実現の主なメリットについて解説します。

コストの削減

物流DXの最大のメリットは、やはりコストの削減です。人手不足が深刻化していることで、人件費は今後も高騰し、人を雇う負担はどんどん大きくなっています。
 
そんな中で有効なのが物流DXで、業務を最新システムによって効率化・自動化できれば、多大なコストの発生を長期的に抑制することが可能です。

新規ビジネスの機会創出

物流DXによる生産性の向上は、既存の業務を少ない人手で実現できるのに加え、従来では叶えられなかったようなパフォーマンス向上を促す上でも重要な取り組みです。
 
これまではリソースの不足から受注できていなかった契約や、新しいエリアへの業務拡大など、潜在していたビジネスチャンスを獲得して企業の収益性を高めたり、他社との差別化を進めたりすることにもつながります。

働き方改革の実現・優秀な人材の獲得

働き方改革の側面からも注目されている物流DXですが、業務のデジタル化による人的負担の削減は、慢性的な残業の発生や休日出勤を解消し、ワークライフバランスをまもる上でも役に立ちます。
 
人材不足が物流業界で起こっている理由の一つに、肉体労働や長時間労働への懸念が挙げられますが、物流DXによってこれらを解消できれば、人手不足の抜本的な解消はもちろん、そして労働環境の改善を通じて優秀な人材の獲得も促進されるでしょう。

物流DXに活躍する主なツール

物流DXに活躍する主なツール

物流DXとは一言で言っても、実際には多様なアプローチがあるため、どのように進めていくかは千差万別です。ここで、物流DXにて活躍している主なツールを紹介します。

倉庫管理システム(WMS)

物流DXにおける主力ソリューションとなるのが、倉庫管理システムです。商品の出入荷管理や在庫管理、帳票作成に至るまで、倉庫管理に必要な業務を全て一つのプラットフォームで完結することができます。
 
これまでは別個の担当者やツールによって実施していたこれらの業務を一つのシステムに一本化することで、強力な業務効率化やヒューマンエラーの低減などの効果が見込めます。
 
WMSについてより詳細な情報はこちらをご覧ください

IoTシステム

倉庫管理システムなどのソリューションと連携することで高い効果を発揮するのが、IoTです。倉庫などにセンサーを取り付けることで、ICタグによって物品や機械の稼働状況を把握し、リアルタイムでの進捗管理を正確に行えるようになります。
 
また人やモノの動向をIoTによって常に正確に把握できるのでことで、倉庫内の最短移動ルートなどをナビゲートし、無駄のない業務遂行を従業員に促せる点も特徴です。

AI・ロボット

倉庫内のピッキング作業などは、AIやロボットに置き換わりつつあります。高性能なロボットアームやロボット運用を前提とした倉庫環境の整備により、海外では全自動で倉庫内作業を完結しているケースも見られるようになってきました。
 
このような高度なハイテク活用は中小企業がすぐに実現できるものではありませんが、今後10年ほどで大衆化が進む可能性もあるため、ロボット運用を前提とした業務フローを整備していくことも視野に入れておくことが大切です。

海外における物流DXの事例

海外における物流DXの事例

具体的に、海外ではどのような物流DXが現場で遂行されているのでしょうか。ここでは欧米での事例を中心に、実際の物流DXの様子を確認しておきましょう。

Logilec

フランスでEC事業を手掛けるLogilecでは高度な物流ソリューションを法人に向けて提供してきましたが、ロボットとAIを活用したピッキングを採用することによって、業務効率化と倉庫スペースの有効活用など、多大な成果を上げることに成功しています。
 
ロボットによる運搬を採用した結果、徒歩運搬を排除して4倍の生産性を確保するとともに、有人作業の都合上設けられていた高さの制限を撤廃し、倉庫の天井の高さを利用して5倍の保管密度を実現しました。
 
参考:https://www.exotec.com/ja/case-studies/logilec-chartres-france/

WINIT

イギリスで倉庫事業を営むWINITは、ロボットを活用した倉庫内作業の自動化を進めています。
 
ピッキングと仕分けを自動で実施できるロボットを導入した結果、従来の手作業の3〜4倍のパフォーマンスを得ることに成功しただけでなく、精度についても99.99%を達成し、。極めて低いエラー率で高い生産性を実現を維持しています。
 
参考:https://www.hairobotics.com/jp/news/uk-ecommerce-fulfillment-warehouse

Caterpillar

建機メーカーのCaterpillarでは、グローバルサプライチェーンの可視化に向けた物流DXを実現し、一定の成果を挙げています。
 
動静可視化ソフトの導入やトラッキング用のIoTデバイスを導入することで、高度な貨物トラッキングを実現し、在庫最適化に伴う収益性改善に繋げました。
 
参:https://www1.logistics.or.jp/news/detail.html?itemid=1084&dispmid=703

物流DX実現のポイント

物流DX実現のポイント

物流DXを実現する上で、ポイントとなるのは

  • 自社の課題を把握する
  • 費用対効果を見積もる

ことです。
 
まず、自社でどんな課題を抱えていて、DXによってどのように解決するのか、あらかじめ計画を立てておかなければなりません。
 
その際のソリューション導入において、どれくらいの予算が必要で、将来的にどれくらいのリターンが期待できるのかも見通せておけば、導入が失敗に終わるリスクを小さくできます。

まとめ:物流DXの実現に向けてFabeeがお手伝いできること

まとめ:物流DXの実現に向けてFabeeがお手伝いできること

この記事では、物流DXの必要性や海外における先行事例を解説しました。物流DXは喫緊の課題となっていますが、実現のためにはDXへの正しい理解や、ノウハウを持った人材の確保も必要です。
 
Fabeeはそんな物流DXの実現に伴う課題の発見や分析、そして最適なソリューションの提案や、製品導入の支援までをお引き受けしています。DX導入に伴うサポートを提供することで、短い期間でデジタル活用を進めていくことが可能です。
 
物流DXをご検討の際にはお気軽にFabeeまでご相談ください。

Salesforceを活用して貨物の最新情報の連携を行った事例

Fabeee株式会社は、システムの構築だけでなく運用定着まで徹底的に伴走し、お客様のビジネス成長に貢献しています。実際の事例として、国際物流サービスのフライングフィッシュ株式会社との対談を通じて、Fabeeeの『バンソウDX』の思想や価値を解説します。フライングフィッシュ株式会社は国際物流サービスを提供し、2023年にSalesforceを導入しました。本稼働を開始してから約10ヶ月間、導入と定着支援の過程を振り返りました。
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この記事の監修者

阿部 雅文

阿部 雅文

コンサルタント

北海道大学法学部卒業。新卒でITベンチャー企業入社し、20代で新規事業の事業部長を経験。その後さらなる事業開発の経験を積むために、戦略コンサルティングファームにてスタートアップ企業からエンタープライズ企業のデジタルマーケティングや事業開発におけるコンサルティング業務に従事する。2021年5月にFabeeeにジョイン。DXコンサルタントとして大手メーカーや総合商社などを担当するほか、数多くのクライアントから指名を受け、各社の事業開発を支援中。多忙を極める中でも、丁寧で迅速な対応が顧客から高い評価を得ている。