デジタルツインとは?
デジタルツインとは、現実の世界にあるさまざまなデータをもとにして、現実に近い仮想空間をコンピューター上で再現する技術のことです。現実の世界そっくりな仮想モデルをつくり出すため、「デジタルの双子」という意味で「デジタルツイン」と呼ばれています。デジタルツインは、IoT、AI、AR・VR、5Gといった先進技術で構築されています。デジタルツインを活用することによって、仮想モデルを用いた高度なシミュレーションができるようになるのが特徴。製品開発やシステム構築など、幅広い分野で活用することが可能です。現在はモノづくりの現場で活用されている事例が多いデジタルツインですが、今後は不動産業界においての活躍が注目されています。
貸不動産のデジタルツインの活用方法
不動産業界でも注目されているデジタルツインは、どのような用途で利用されているのでしょうか。貸不動産においてデジタルツインを活用する方法について紹介します。
オンライン内見
デジタルツインの代表的な活用方法は、オンライン内見です。オンライン内見とは、実際の物件データの情報を収集してデジタルツインで再現し、顧客がインターネット上で物件を見に行くという仕組みです。
これまでの内見は、顧客と営業担当者が時間を合わせ、実際に物件に足を運んで見に行くという流れが一般的です。従来の方法では、内見に多くの時間がかかってしまい、物件を2~3件見に行くだけで数時間要することもあります。また、タイミングが悪ければ、希望の物件をすぐに見に行けないという場合もあるかもしれません。
デジタルツインを活用したオンライン内見の場合、インターネット環境さえあれば、どこからでも、好きなタイミングで物件を見に行くことが可能です。時間や場所の拘束がないため、これまでより快適かつ効率的な内見を実現します。またデジタルツインは、実際の物件データをもとにした正確な情報が反映されています。過去に撮影された写真を眺めるのとは違い、物件の細かい部分まで確認ができるため、実際に住んでみたときのイメージをしやすいのも特徴です。
設置する家具のシミュレーション
デジタルツインを活用すれば、設置する予定の家具をシミュレーションすることができます。デジタルツインで再現された物件を見れば、天井や壁、床などの寸法を正確に測定することが可能。また、コンセントの場所やスイッチの位置、窓の位置などの細かい部分まで把握できるため、家具の配置を検討できます。冷蔵庫やタンスなどの大きな家具を持ち込む際にも、わざわざ物件を見に行って計測する手間は必要ありません。また、新居に合わせて新しい家具を購入する際にも活用できるため、理想的な住まいづくりをイメージするのにも役立ちます。
貸不動産のデジタルツインを導入するメリット
賃不動産においてデジタルツインを導入することで、次のようなメリットが得られます。
顧客体験価値の向上
デジタルツインを導入すると、顧客体験価値を向上することに繋がります。例えばデジタル内見の場合、顧客は好きな時間に、好きな場所で物件を見に行くことが可能です。これまで内見にかけていた時間を短縮し、わざわざ不動産会社の店舗へ移動するコストも削減できます。さらに、少ない時間で大量の案件を内見できるため、自分の理想とする住まいを見つけやすくなるのも利点です。デジタルツインの導入により、従来のカウンターセールスなどから差別化した、新しい価値を顧客に提供できるでしょう。
コスト削減
デジタルツイン導入をすることによって、コスト削減につなげられます。例えば、物件の検索や内覧の問い合わせをAIが受付することによって、対応コストを削減できます。電話での応対やメール対応も減るため、事務員にかかるコストも抑えられるでしょう。また、デジタル内見が積極的に使われるようになると、物件まで移動していた車のガソリン代、車の維持費、接客時に必要な経費などの削減も期待できます。さらに、デジタルツインによって少ない人数で運営できるようになれば、人材不足への対応策にもなります。
効果的なプロモーション
デジタルツインが導入されると、従来よりも効果的なプロモーション効果が期待できます。従来の方法では、物件の提案などは営業時間中に限ってしか実施できませんでした。デジタル内見ができるようになると、たとえ営業時間外であっても、24時間プロモーション活動が可能です。これにより、従来よりも効果的に物件を提案することができ、成約件数の増加に繋がる可能性があります。また、顧客は自分にあった物件をじっくりと探すことができるため、顧客満足度の向上にも繋がるでしょう。
貸不動産のデジタルツインの導入事例
不動産業界で注目を集めているデジタルツイン。国内で実際に導入された事例や、貸不動産に関するデジタルツインのサービス基板を提供している企業を紹介します。
東京都内住居ビルのデジタルツイン(Zweispace)
東京都内にあるデジタルツインとして注目を集めたのが、飲食店舗兼オフィスビル、アパレル店舗兼住居ビルの2つの事例があります。2つのビルは、不動産テック企業であるZweispace(ツバイスペース)がメタバース上の物件管理を行い、物件の仲介は不動産会社のPRESIが担当しています。物件価格は、飲食店舗兼オフィスビルが6億7,800万円、アパレル店舗兼住居ビルが応相談。アパレルの店舗の内部には、実店舗と連動した商品や、実店舗にない商品の両方を展示することが可能。店舗で購入した商品をメタバース上にある住居で保管することができるのも特徴です。
デジタルツイン不動産(ZENKEI)
「デジタルツイン不動産」とは、ZENKEIが提供する不動産会社向けのデジタル基板です。不動産に関する素材データを用意するだけで、デジタルツインのVR物件を立ち上げることが可能。デジタルツイン不動産を導入することで、メタバース内見ができるようになります。メタバース内見中は、不動産担当者と音声通話やチャットをしながら見て回ることも可能。メタバース上であっても、実際の内見と変わらないような体験ができます。また、生成AIを用いた対話AI物件ガイドも搭載。AIが内見の提案や問い合わせ対応をするため、コスト削減に繋げることが可能です。
また、VRを構成する要素データから特徴を数値化した、クオリア検索も特徴。「あんな」「こんな」といった感覚的な要素を解釈して、これまでの物件検索では外れてしまうような、顧客の希望物件に似た物件を提案することができます。デジタルツイン不動産は、2022年1月時点で約10社の不動産会社が採用。さらに、大手不動産ポータルサイトでも導入に向けて動き出しているようです。
人気オンラインゲームにデジタルツイン物件を再現(東急不動産)
ゲームの世界とリアルの物件をコラボさせた事例として、人気オンラインゲーム「FORTNITE」のマップ上に設置されたデジタルツインがあります。本取組は、東急不動産株式会社と、無料BS放送などを行うワールド・ハイビジョン・チャンネル株式会社の共同施策です。ゲーム内には、渋谷マップ・原宿マップを制作。リアルの不動産物件である「渋谷フクラス」、「東急プラザ表参道原宿」、「Shibuya Sakura Stage」、「東急プラザ原宿「ハラカド」」の4つの物件を設置しました。プレイヤーは、渋谷マップ・原宿マップを散策でき、実際の物件を見ることが可能です。また、デジタルツインで再現された4つの物件には、広告スペースが設けられています。デジタル世界の広告と、リアルの世界で表示されている広告は連動しており、革新的なデジタル広告としても注目されています。
Fabeee株式会社ではデジタルトランスフォーメーション(DX)の支援をしております。お客様と伴奏してサポートいたします。製造業、不動産、自治体など幅広い業界において、DXの実績を持ち、お客様のビジョンを実現するお手伝いをしてきました。事業戦略の策定から新規事業アイデアの創出、開発、実装、そして運用まで、DXプロジェクトのあらゆるフェーズをサポートします。お客様と共に新しいビジネス機会を探求し、戦略的なアドバイスを提供します。貴社の成長戦略を加速し、競争力を高め、持続可能な成功を支えます。
分かりづらいDXを分かりやすくかつ何をしたらいいのかを解説した資料を公開しておりますので是非一読してみてください。