Webマーケティングを実施する上で、重要な役割を担っているのがその効果の測定。Webマーケティングの効果測定を行う際は、Googleアナリティクスの前世代バージョンであるユニバーサルアナリティクス(UA)などを活用するケースがこれまで多く見られました。
2020年10月には、UAの最新バージョンとなるGA4がリリースされ、Webマーケティングを実施する上でそれぞれの違いについての疑問を抱く人も増えたことでしょう。そこで今回は、GA4とUAの違いやそれぞれの特徴について深掘り。Webマーケティングの効果を正確に見極めるためにも、それぞれの違いに目を向けてみましょう。
GA4・ユニバーサルアナリティクス(UA)とは?
まずは、UAとGA4がどういった役割を果たすものなのかというところに触れていきましょう。UAとGA4は、企業がデータ分析を行う上で重要な役割を担うGoogleアナリティクスのシステムバージョンのこと。UAはユニバーサルアナリティクスの略語、GA4はGoogleアナリティクス4プロパティの略語として使われています。
UAは2014年4月にリリースされ、GA4はその次の世代のタイプ(第四世代)のものとして2020年10月にリリースされました。それぞれ基本的に無料で利用できることから日本企業の間でもシェア率は高く、メジャーなアクセス解析ツールとして知られています。
GA4のリリースの背景
UAのリリースから約6年後に、次世代タイプとしてリリースされたGA4。長らくGoogleアナリティクスの主軸として活躍してきたUAですが、なぜGA4がリリースされることとなったのでしょうか。
その背景には、個人が利用するデバイスの多様化がありました。UAがリリースされた2005年当初は、いわゆるガラケーが主力の時代。パソコンもデスクトップタイプからノートパソコンへと主流が移り変わる間の時代であり、まだまだ個人が利用するデバイスには限りがあったのが当時の特徴です。
しかし、2010年を過ぎたころからはスマホやタブレットなどの普及により、個人が使用するデバイスも多様化。個人がさまざまなデバイスからインターネットにアクセスすることが当たり前になった今、ページという概念のない動画コンテンツなども増え、Cookieのみで特定のターゲットの動向をつかむことが難しくなってしまったのです。
こういった背景から、Googleは次世代タイプのGA4をリリース。GA4のリリースは、時代の変化に適応するための大型アップデートなのです。
ユニバーサルアナリティクス(UA)・GA4の違い
今は旧世代として扱われているUAと、現時点でのメインバージョンであるGA4。それぞれにはどのような違いがあるのでしょうか。
データの計測方法
UAとGA4の違いとして、まず挙げられるのがデータの計測方法。UAではページ単位で発生するセッションやPVから数値を導き出す“ヒット単位での計測”が行われていましたが、GA4ではユーザーがサイト内で取った行動から数値を導き出す“イベント単位での計測が行われます。
ヒットから受け取ったデータをセッションベースへと変換することがUAでの計測方法でしたが、GA4ではページビューもイベントもEコマースも全てイベントとして計測。ページ基準での計測方法ではなくなったため、UAにて重要視されていた直帰率や離脱率はGA4では確認できません。しかしカスタムすれば、UAと同じように直帰率や離脱率についても確認可能です。
イベントの仕様
先ほどもご紹介したとおり、GA4はヒット単位ではなくイベント単位で計測が行われます。UAでイベントの計測の行う際は、トラッキングタグを生成しなければならなかったことから、初心者にとってイベントの計測はやや難しい印象だったのではないでしょうか。
一方GA4は、デフォルトで計測できるイベントの種類が多い上に、計測の設定も簡単。一つのイベントに対して複数のパラメータが付与できるようになったことは、UAとGA4の大きな違いであると言えます。
BigQueryとの連携
UAでは有償版のGA360でしか利用できなかったBigQueryの機能ですが、GA4では無償での利用が可能となりました。BigQueryはより深い分析が行える機能であることから、上級者向けの機能として知られています。
BigQueryとの連携を実施することで、raw dataと呼ばれる成形前の生のデータのまま分析が行えるようになるため、分析の幅を広げたいと考えている人にとってBigQueryが無償で使えるようになったということは、大きな魅力なのではないでしょうか。
GA4の特徴・機能
GA4には、三つの大きな特徴があります。それぞれ確認していきましょう。
アプリとWebを横断して計測ができる
UAでは、アプリはアプリのみ、WebはWebのみの計測しか行えなかったことから、ユーザーの正確な行動の分析が難しくなっていました。GA4では「データストリーム」という項目がプロパティ内に追加され、アプリとWebを横断しての計測が可能に。
アプリとWebをまたいで行動するユーザーについても、一人の同じユーザーとして計測できるようになったため、これまでに比べて真の意味での分析が行えるようになりました。
予測指標
Google独自の機械学習モデルを活用した“予測指標”も、GA4より導入された機能の一つ。この機能を活用することで、ユーザーのこれからの動向の予測が可能となり、ユーザーについてより一層の理解を深めることができます。
多大な労力を要するインサイトの収集も、GA4の予測指標の機能を使えば効率アップ。97%が無意識だと言われている人間の行動の予測に役立つため、サイトへのアクセス数向上など売上アップにつながるマーケティングを実施できるようになります。
プライバシーを重視したデータ収集
Cookieを活用してデータ分析を行っていたUAに対し、GA4ではプライバシー重視の観点からCookieに頼らない分析が可能に。GA4は、CCPA(カリフォルニア州消費者プライバシー法)やGDPR(EU一般データ保護規則)といったデータの規制に準拠したツールであり、データ規制にも対応できる仕様となっています。
ユニバーサルアナリティクス(UA)からGA4へすぐ移行すべき?
UAの次世代タイプであるGA4。それぞれ機能の違いなどもあることから、すぐにでもGA4へ移行すべきなのかと迷うケースも少なくありません。2020年10月にGA4がリリースされてから2年近くの時が経ちましたが、未だUAを使い続けているという企業もあるのではないでしょうか。
実際、GA4リリースから1年経った2021年10月の時点では、UAを利用している企業が約80%あるのに対して、GA4を導入している企業は約10%にとどまるという結果に。とは言え、毎月1%ずつ上昇する傾向にあるため、2022年3月時点ではGA4導入企業の割合はもう少し増えていることでしょう。
UAからGA4への移行については、すぐに行なうべき企業とそうでない企業があるというポイントに着目しなければいけません。すぐにでもGA4へと移行したほうがいい企業は、GA4の恩恵が享受できる企業。アプリとWebをまたいでの分析を行いたい企業やブランディングに力を入れている企業など、GA4にしかない機能や特徴を活かせる企業は、すぐにでもGA4へと移行していいと言えるでしょう。
一方、現状はまだUAの機能だけでも十分満足できるという企業は、UAとGA4を併用しながら様子を見るのも一つの方法。GA4は最新グレードとは言え、まだまだアップデートが実施されることも予想されます。しかし、いずれはGA4一本となり、UAが機能しなくなる日がやってくることも事実。
その日を迎える前にGA4を使いこなせるようにしておくためにも、UAがメインで稼働しているうちからGA4との併用をスタートし、どちらのGoogleアナリティクスも運用できる状態にしておくのが、今のベストだと言えるでしょう。
GA4はいつ導入するべき?
2020年10月にリリースされたとは言え、まだその普及率はUAに及んでいないGA4。しかし、2022年は“GA4元年”とも言われており、これからGA4の普及率が急激に上がってくることが予想されています。
Googleアナリティクスという同じ土台の上にありながらも、UAとGA4とは全く別の分析ツールであるという認識が正解。できること・得意なことの範囲が異なるため、それぞれの機能と自社で行いたい分析の内容とを照らし合わせながら、徐々に移行していくことがベストなのではないかと考えられます。
ただ、先ほどもお伝えしたとおり、UAもいつかは機能しなくなるときがきます。業務への支障を回避するためには、早いうちにGA4を導入して操作などに慣れておくことが大切です。
現状まだGA4の機能が必要ないという企業も、できるだけ早いうちにGA4を導入してUAと併用できるようになっておくことがベスト。分析の幅を広げるためにも、早い段階でGA4を導入しておくといいでしょう。
まとめ
UAを導入している企業にとって、いきなりGA4へ移行するというのは少しハードルが高い作業かと思います。GA4を導入しても問題ないか確認したいという場合は、デモアカウントで一度試してみるのも一つの方法。