投稿日 2022.09.14

最終更新日 2022.09.14

Web3.0とは?メタバースとの関連を分かりやすく解説

Web3.0とは?メタバースとの関連を分かりやすく解説

Web3.0とは?

Web3.0(ウェブスリー)というのは、ブロックチェーンの技術を軸にして構築されている新時代のインターネット環境を意味する概念です。その意味をより深く理解するためには、インターネットの進歩の歴史を見ていく必要がありますので、ここでは1990年代半ばのインターネット黎明期に登場したWeb1.0とそれに続いて2000年代半ばから用いられるようになったWeb2.0について見たうえで、Web3.0とはどういうものかをより詳しく説明することにします。

Web1.0とは?

Web1.0は別名「一方向性の時代」とも呼ばれており、この言葉からも分かるようにインターネットがまだ一方通行であった時代の環境を意味する概念です。この時代は、その後も長きにわたって利用され続けることになる様々な検索エンジンが世に出始めた頃で、発信者から受信者に対して情報が一方通行で流れていました。当時はWeb1.0という呼び方は存在しなかったのですが、1999年に海外のウェブデザイナーによって、インターネットの進化の段階を表すために用いられたのがきっかけで世の中で広まったと言われています。なお、Web1.0時代のウェブサイトは、当初は静的HTMLを用いて制作されていたのですが、まだまだ通信速度が遅かったこともあって画像を1枚表示するだけでもかなりの時間を要していました。

Web2.0とは?

1990年代がWeb1.0の時代だとすると、2000年代はWeb2.0の時代と呼ばれています。この時代には数多くのSNSが登場しており、これまでの一方通行型の情報の発信形態から様々な人々が互いに情報をやり取りする双方向型の発信形態が主流となりました。また、それと同時に、GAFAと呼ばれる巨大なテック企業がグローバルに成長を遂げ、大量の個人情報などが一部の大企業によって管理されるようにもなっていったのです。当時のウェブシステムでは、中央集権型の情報管理が行われていたため、サイバー攻撃を受けやすく、実際にそれによって引き起こされた情報漏洩が社会的に問題にもなりました。そのため、世の中はより高度な環境を求めるようになっていったのです。

Web3.0とは?

このようにWeb2.0時代の一部の巨大企業への情報集中を解消すべく2010年代に入って新たに普及し始めたのが、Web3.0と呼ばれる分散型のインターネット環境です。そのような環境を可能にしたのが、多数の参加者に同一のデータを分散して保持させる仕組みであるブロックチェーンの技術です。これによって情報の集中を避けることで、より安全なインターネット環境の実現が期待されています。

Web3.0とメタバースの関係性

Web3.0とメタバースの関係性
次に、メタバースという言葉の意味を説明した上で、Web3.0とメタバースの関係性について見ていくことにします。

メタバースとは?

メタバースとは、「Meta」と「Universe」という英単語を組み合わせて作られた概念で、仮想空間やそこでコミュニケーションすることができるサービス・プロダクト全般を指すものです。このメタバースでは、現実世界にいる人々が、自分の分身であるアバターを使ってバーチャルオフィスを運営したり、他人のアバターと様々なコミュニケーションやゲームなどを行えるようになっています。

メタバースはWeb3.0の受け皿となる世界

このメタバースは、分散型のインターネット環境においてやり取りされる様々なデータや情報の受け皿となり得るプラットフォームであると考えられています。前述したように、Web3.0はブロックチェーンの技術がベースとなっており、そこで金銭的な役割を果たしているのが仮想通貨です。メタバースでは、このような仮想通貨を用いて現実世界と同じように様々な商品やサービスの取引を行えるほか、アバターによるコミュニケーションを通じて多種多様なデータや情報のやり取りができるので、あたかも現実世界であるかのような体験ができるのです。なお、メタバースを用いれば、世界中の人々とリアルタイムに情報等のやり取りが可能になるので、海外をより身近に感じられるようになるでしょう。

Web3.0によるメタバースの課題と将来性

Web3.0によるメタバースの課題と将来性
メタバースは一見するとバラ色の世界であるかのように見えるかもしれませんが、実際には解決しなければならない様々な課題があります。例えば、メタバースの普及を促すためには、VR機器の小型化と軽量化に加えて、描写スペックの向上が不可欠となりますが、身体に負担を感じずに違和感なく仮想世界を覗くことができる端末を開発するためにはさらなる技術革新が必要とされています。また、VR機器をはじめとするハード面の進歩に加えて、コンテンツなどのソフト面の充実もメタバースの大きな課題となっています。現実世界では、ゲームやアニメ、漫画など、人々を魅了する数多くのコンテンツがありますが、それらのうちでメタバース内で同じように楽しめるものはまだまだ多くはありません。そのため、今後メタバースがより多くの人に利用されるようになるためには、そういったコンテンツを取り込んでいくことが求められるのです。

このように、メタバースにはハード、ソフトの両面においてまだまだ課題が山積しているわけですが、それらが徐々に解消されていけば、その将来性は非常に高いと言えるでしょう。具体的には、メタバース内の土地や建物などに投資することによって資産を築いたり、そこでの交流を通じて恋人を見つけるといったことも可能になるかもしれません。また、メタバースの環境を用いることによって、現実世界であれば数日かかっていたようなビジネス上の取引を数時間で完了させられるようにもなるでしょう。

Web3.0が社会に与える影響

Web3.0が社会に与える影響
Web3.0が社会に及ぼす影響には様々なものがありますが、その中でも大きいのが、物の所有に代わってデータや情報の保有に重きが置かれるようになるという点です。メタバースはバーチャルの世界ですので、そこでは現実世界にあるような物理的なモノは意味を成しません。いくら大金持ちであっても、自分の財布に入っているお札やコインをそのままメタバースに持ち込むことはできないのです。お札などの代わりにメタバースで取引をするために重要になってくるのが仮想通貨になるわけですが、言うまでもなくこれは物理的な存在ではなく、あくまでもブロックチェーンによって管理されているデータに過ぎません。このようにメタバースでは、物理的なモノではなくデータや情報などが重要な価値を有するようになるのです。

また、Web3.0が普及することによって、時間の概念もこれまでと大きく変わってくるかもしれません。例えば、メタバース内であれば世界中の人々とリアルタイムでコミュニケーションを行えるようになるので、時差はそれほど大きな意味のないものとなります。わざわざ出かけて行かなくても海外などの遠方の人々と手軽にやり取りできるほか、場合によってはメタバース内で観光などもできるようになるため、物理的な距離もそれほど意識しなくてよくなるかもしれません。そのため、Web3.0時代が本格的に到来した暁には、世界中の人々がより身近な存在として感じられるようになるに違いありません。AI技術の進歩によって自動翻訳が本格的にできるようになれば、「いつでも」、「どこでも」、「誰とでも」つながることができる時代が本格的に到来するようになるのです。

Web3.0を活用した事例5選

Web3.0を活用した事例5選
それでは、Web3.0を実際に活用している事例を紹介します。仮想通貨やメタバースなどにおいてブロックチェーンなどを利用するケースが多数見られます。

web3プロジェクト(レコチョク)

国内で知名度の高い音楽配信サービスであるレコチョク。そんなレコチョクがブロックチェーンを活用したビジネスをスタートさせるために起ち上げたのが「web3プロジェクト」です。NFTを利用してクリエイターのオリジナル性を守るとともに、新たなファンビジネスを発信し、音楽業界を盛り上げています。具体的にはNFT商品の販売や専用サイト・特典の提供などを実施。NFTの価値を強く感じられるサービスを提供することにより、アーティストとファンがNFTを通じ持続的にコミュニケーションを行い、その先にファンダムが形成されるような仕組みづくりが進められています。
 
web3プロジェクト

OpenSea(Ozone)

ニューヨークを拠点とする企業・Ozoneが運営するNFTマーケットプレイスです。NFTマーケットプレイスとしては世界最大規模を誇っています。出品されているアイテムはジャンル・数量ともに非常に豊富。アート・音楽・ゲームなどを中心にさまざまな品が日夜取引されています。誰でも商品の出品・購入などができ、個人間の取引も可能です。日本にも利用しているアーティストが大勢存在します。ただし、海外で提供されているサービスであるため、日本国内からでも利用はできるものの、トラブルが生じた際、日本の法律が適用できるかどうかはわからない部分も。
 
OpenSea

FC琉球コイン(GMO株式会社)

仮想通貨取引所であるGMOコインが、沖縄に本拠を置くプロサッカーチーム「FC琉球」と共同で行っているプロジェクトです。GMOがFC琉球のファン・トークン「FC琉球コイン」を開発し、新しい資金調達方法やチームとファンとのコミュニケーションに活用するというもの。このサービスにはブロックチェーンが使用されています。なお、FC琉球はプロスポーツクラブとしては国内初のIEOを行い、FC琉球コインの発行によって、総額10億円もの資金調達に成功しました。
 
FC琉球コイン

The Sandbox(Animoca Brands)

香港を拠点とする企業・Animoca Brandsが開発した「The Sandbox」は、メタバース上で遊べるNFTゲームです。アバターを通じて他のユーザーとコミュニケーションを取ったり、メタバース内における経済活動で稼いだりできます。仮想的な空間でありながら、現実世界のような取引ができることが大きなポイント。なお、メタバース内での金銭を伴うやり取りは、全て暗号資産で行われます。
 
The Sandbox

STEPN(Find Satoshi Lab)

オーストラリアに本拠を置く企業・Find Satoshi Labが開発したNFTゲームです。「〇〇 to Earn(〇〇して稼ぐ)」という概念の中に置ける「Move to Earn」のジャンルに属するもので、歩くことで稼げるというユニークな内容が注目を集めています。NFTシューズを履き歩くことで、距離やシューズのランクなどに応じた報酬が得られる仕組みです。また、シューズや強化アイテムなどのNFTを売却して稼ぐことも可能。STEPNのNFTアイテムを購入するためにはSTEPNで使用できる仮想通貨を用意する必要があります(その仮想通貨を購入するための仮想通貨も必要です)。人気スポーツブランドとのコラボなども行われており、多くのユーザーから今後の成長を期待されています。なお、複数のブロックチェーンに対応済みです。
 
STEPN

Web3.0とメタバースによって世界は大きく変貌を遂げる

かつては仮想空間というと何やら夢物語のように感じられたかもしれませんが、Web3.0とメタバースの登場によっていまやそれは現実のものとなっています。Web3.0時代においては、メタバース上であらゆるデータや情報のやり取りが可能になりますので、それによって私たちの暮らしも大きな変貌を遂げていくことが予想されます。時代の流れに取り残されないためにも、今後もメタバースの動向には要注目です。

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