指名リスティング広告の効果が良いのはなぜか?
指名リスティング広告はコンバージョンに近いユーザーが目にするものであるため、高い効果が得られると言われることがありますが、それは本当に正しいのでしょうか。ここでは、それらの用語の基本的な意味を説明した上で、指名リスティング広告だけ出した場合でも効果があるのかどうかを見ていくことにします。
指名リスティング広告とは?
指名リスティング広告というのは、ユーザーが検索エンジンを使って何らかのキーワードを検索した場合に、その言葉に連動して掲載される広告です。例えば、「パソコン」という単語を検索サイトで調べた場合に、検索結果画面の上部に表示されるパソコンメーカーの広告などが該当します。この指名リスティング広告は、キーワードに関心のあるユーザーに対して関連する商品やサービスについての情報を届けられるという点で非常に効果が高いと考えられており、実際に大企業を中心に利用しているところは少なくありません。
コンバージョンとは?
次に、コンバージョンというのは、広告を目にしたユーザーが、その広告が目標としている何らかのアクションを起こしてくれることを意味するマーケティング用語です。先ほどのパソコン広告の例で言うと、広告を目にしたユーザーが実際にそこで紹介されているパソコンを購入することがコンバージョンに該当します。広告を出しても商品やサービスの売り上げが増えなければ意味がないので、いかにしてコンバージョンにつなげるかは広告戦略を考える上で重要なポイントであると言えるでしょう。
指名リスティング広告は本当に効果があるのか?
指名リスティング広告の本当の効果を見極めるためには、他の広告手法を用いずに指名リスティング広告だけを出してみて、どの程度のコンバージョンが得られるかを測定する必要があります。具体的なコンバージョン率のデータを取得するためには、実証実験を行うというやり方もあるのですが、実は指名リスティング広告のコンバージョン率は利用するキーワードによって大きく異なるため、実験から得られるデータはそれほど参考にはなりません。コンバージョン率が20パーセントを超えるようなキーワードがある一方で、0.01パーセント程度しかないものもあるのです。そのため、少なくとも指名リスティング広告であれば高い効果が得られると一概に言うことはできません。ここで言えるのは、コンバージョン率が高いキーワードを利用している指名リスティング広告であれば、高い効果が期待できるということだけです。
指名リスティングに至るまでに貢献する広告
前述したように、指名リスティング広告は利用するキーワードによってコンバージョン率が異なりますが、その効果を左右するのは必ずしもキーワードだけとは限りません。いくらコンバージョン率が高いキーワードを用いた指名リスティング広告を用意したとしても、そのキーワードに関心のあるユーザーがそもそも少なければ期待したような効果は得られません。そのため、いかにしてユーザーを指名リスティングに誘導するかが重要になってくるのです。では、ユーザーを指名リスティングに誘導する広告にはどういったものがあるのでしょうか。その答えを知るには、指名リスティング広告のないパラレルワールドを想像してみる必要があります。
ディスプレイ広告
指名リスティング広告が存在しない世界において、ユーザーがまず初めに目にするのがディスプレイ広告です。ディスプレイ広告とは、ホームページやブログ、新聞やテレビ番組内に設けられている広告枠に出稿する商品やサービスについての広告で、その媒体を見ている人々に対して幅広く訴えかけるという点では効果がありますが、ほとんどの場合はスルーされてしまってコンバージョンには結びつきません。ただし、中にはディスプレイ内で触れられているキーワードが印象に残ってそれについて調べようとする人もいます。指名リスティング広告がなければ、そういった人々をコンバージョンに導けないかもしれません。
リターゲティング広告
リターゲティング広告とは、過去に商品やサービスを購入した人々に対して、関連する商品などについての情報を配信する広告です。既に一度購入してくれた顧客層にアプローチするため、コンバージョン率は比較的高い傾向にありますが、中には以前に購入したもののことをあまりよく覚えておらず、改めて関連するキーワードを検索しようとする人もいます。指名リスティング広告が存在すれば、もれなくそういった人をコンバージョンに導けますが、もしそれが存在しなければ、せっかく関心を持ってくれた潜在顧客を逃してしまうことになりかねません。
指名リスティングに貢献する広告
ここまで見てきたように、指名リスティング広告がないパラレルワールドを想定した場合、ディスプレイ広告やリターゲティング広告だけでは、キーワードに関心を持ってくれた人々をみすみす逃してしまうことになりかねません。逆に言うと、指名リスティング広告さえあれば、ディスプレイ広告やリターゲティング広告経由で潜在顧客をコンバージョンへと導ける可能性が高まるのです。その意味で、この2つのタイプの広告は指名リスティングに至るまでに貢献するものであると言えるでしょう。
実際にどのようにして推測するのか?
最後に、指名リスティング広告などのクロージング型広告の効果を測定するための方法を紹介します。
MMMとは
MMMは、マーケティング・ミックス・モデリングの略語で、統合アトリビューション分析と呼ばれることもあります。これは、各種広告をはじめとするマーケティング活動が、売り上げに与える影響を測定するための手法で、四半期や月次毎に特定のマーケティング施策の効果に影響し得る要因のデータを用いて回帰分析を行うことで、当該施策が売上に与える影響度合いを測定するというものです。
この手法を用いれば、マーケティング活動における各要素が売上にどの程度の影響を及ぼしているかが定量的に分かります。例えば、指名リスティング広告の影響について知りたいのであれば、一定期間における広告件数と売上高の推移のデータを用いて回帰分析を行えばよいのです。
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MMMは将来の推測に役立つ
MMMを用いれば、過去に行った広告の効果を測定することができるのですが、その結果を踏まえて将来の推測も行えます。すなわち、広告数と売上の関係性が分かるようになるので、大体どれくらいの指名リスティング広告を出せば求めている売上に到達できるかが推定できるというわけです。もちろん、過去のデータ通りに将来が決まるわけではないため、実際の売上は期待した通りにならない可能性はありますが、MMMから導かれる分析結果を用いれば、少なくとも闇雲に広告を増やして余計なコストをかけてしまうという事態はある程度防げるはずです。そのため、なるべく効率的に広告を出したいということであれば、ぜひMMMの活用を検討してみるとよいでしょう。もし社内に回帰分析ができる担当者がいないということであれば、その手の知見を有するコンサルタントなどに相談してみるというのも一案です。
【まとめ】効果的な広告戦略を検討しよう
以上で見てきたように、指名リスティング広告は潜在顧客をコンバージョンへと導くために有効な手法です。ですが、だからといって大量に広告を出せば良いというわけではありません。効率よく売り上げを伸ばすには、MMMなどの手法を用いて、適切な広告戦略のあり方を検討する必要があるということを念頭に置いておきましょう。