投稿日 2022.04.18

最終更新日 2022.04.18

ROAS/ROIを最大化するために知っておきたい指標

ROAS/ROIを最大化するために知っておきたい指標
ROAS/ROIとは?
 
効率的にマーケティング活動を行う上では、ROASやROIなどの数値を最大化させるように努めなければなりません。もっとも、マーケティングを担当している人の中にはそういった指標について詳しく理解できていないという方もいるのではないでしょうか。そこで、ここではまずはじめにROASやROIとはどういった概念であるのかを見ておくことにしましょう。

ROASとは?

ROASとは?
ROASというのは、Return On Advertising Spendの頭文字をとって作られた用語で、日本語では広告費用の回収率などと訳されています。具体的には、広告費用として投資した金額に対して、どのくらいの売上を上げることができたのかを示す指標です。この指標は、単純に売上高を広告費で割って算出されますので、例えば10万円の広告費をかけて50万円の売上げが得られた場合では、「50万円÷10万円」という計算式を解いて求められる500パーセントという数値がROASとなります。これは、1円の広告費が5円の売上げにつながったという意味です。ROASが高ければ高いほど、費用対効果が優れているということになり、一般的にはこの数値が100パーセントを上回っているかどうかが広告の効果を見極めるうえでの分水嶺となります。もしROASが100パーセントを下回っているようだと、何等か改善策を講じる必要があるというわけです。

ROIとは?

ROIとは?
ROIというのは、Return On Investmentの頭文字を組み合わせた用語で、日本語では投資収益率や投資利益率などと呼ばれています。これは、行った投資に対してどのくらいの利益が得られたのかを示す指標です。広告費のROIを見れば、その投資を継続すべきかどうかの判断基準が得られます。すなわち、ROIが高ければ広告によって大きな利益が得られていることになるため、それを続けていく意味はあるのですが、逆にROIが低いかマイナスになっているようであれば、投資に見合う効果が出ていないので、広告を見直すべきであるという判断を行うことができます。

ROASとROIの違いとは?

ROASとROIの違いとは?
ROASとROIは一見すると似ているため、混同されがちです。しかしながら、前者が売上率であるのに対し、後者は利益率となっており、両者は似て非なる概念なのです。そのため、ROASは良好な数値を示しているのにもかかわらず、ROIはあまり振るわないというケースは起こり得ます。例えば、広告によって順調に商品が売れたとしても、その商品の原価が高い場合には、ROASは大きく改善してもROIはそこまで改善が見られないという結果になりかねません。一方だけを見ていると広告の効果を正確に把握できない可能性があるので、効果を測定する場合は必ずROASとROIの両方の指標を用いるようにするというのがポイントになります。
 
広告の出稿量と効果は線形ではなく非線形
 
広告は出稿量を増やせば増やすほど高い効果が得られると思われがちですが、そのような認識は必ずしも正しくありません。実際には、出稿量が増えれば、どこかの時点でその効果は頭打ちとなり、それ以降は広告を増やしても思うように売上げや利益の増加にはつながらないというケースがほとんどなのです。もし、出稿量と広告の効果が線形の関係にあるのであれば、最も効果の高い広告にすべての資金を投入すべきですが、必ずしもそうではないので前述のROASやROIといった指標の推移を見ながら、出稿量の増減を判断するようにした方がよいでしょう。

出稿量と効果が非線形である理由

出稿量と効果が非線形である理由
では、なぜ広告の出稿量と効果は線形ではなく非線形の関係にあるのでしょうか。その理由は必ずしも一つだけではありませんが、まず言えるのは、出稿量が増えていくとその広告を初めて目にする人の割合が減っていくということです。広告は初見時のインパクトが最も大きく、2回目、3回目に目にした時には、消費者の購買意欲をそこまでくすぐらなくなるケースが通常です。そのため、出稿量がある程度増えれば、多くの消費者が一度はそれを目にしたことがある状態になってしまい、それ以降は広告を増やしても思うような効果が得られにくくなるというわけです。

広告の効率曲線はメディアによって異なる

広告の効率曲線はメディアによって異な
次に、広告を行う上では、利用するメディアによって効率曲線は一様ではないという点を頭に入れておく必要があります。例えば、昔から良く用いられているTVCMは、流し始めた時点ではすぐには効果が出にくく、ある程度以上の投資を行ってようやく売上げアップにつながるという性質を有しています。これに対し、デジタル広告は、比較的早期に効果が生じるという性格を持っているので、もし少ない予算で手っ取り早く売上げを伸ばしたいのであれば、こちらを活用した方がよいでしょう。ただし、デジタル広告は、それを目にする若者を中心とした一部の人に限られています。より多くの消費者に浸透したいのであれば、TVや新聞といった従来型のメディアも有効に活用した方がよいかもしれません。
 
なお、デジタル広告というとオンライン広告をイメージしがちですが、実際にはOOHと呼ばれる広告も含まれます。このOOHというのは、Out of Homeの略語で、要は家庭の外で目にする広告のことです。具体的にはビルの壁面に設けられたモニターに投影されているデジタルサイネージなどがこれに当たります。
 
広告の出稿量(投資金額)を増加させる際に留意したいこと(mRoas)
 
最後に、広告の出稿量や投資金額を増やす際に覚えておきたいポイントについて見ておくことにしましょう。既に説明したように、いくら効率のよい広告があったとしても、それを増やせば必ず良好な成果が得られるというわけではありません。少しでも広告の投資効率を上げるためには、MMM(マーケティングミックスモデリング)の手法を活用して、常にその効果を測定しながら最善の方策を練らなければならないのです。その際に有用なのが、ROASやmROASといった指標です。このうちROASについては、既に説明したとおりです。もう一つのmROASというのは、投資額を1円増やした場合に、それによって売上げがいくら増減するかを示す指標であり、限界ROASとも呼ばれています。
 
例えば、10万円の広告費を投じて50万円の売上げが得られた場合には、ROASは「50万円÷10万円」で500パーセントとなります。そこからさらに広告費を10万円上乗せしたところ、追加で30万円の売上げが得られたとすると、全体でROASは「(50万円+30万円)÷(10万円+10万円)」という算出から求められる400パーセント、追加分のmROASは「30万円÷10万円」で300パーセントとなります。これから分かるのは、既存のROASよりもmROASの数値が低い場合には、広告費を増やせば増やすほどROASは低下していくということです。ROASよりもmROASの方が小さいのは珍しくはありませんが、mROASがあまりに小さすぎたり、マイナスに転じたりするようだと、広告の出稿量や投資金額を増やしても意味がありませんので、そういった場合には広告そのものを見直すようにした方がよいでしょう。

まとめ

最適なタイミングで広告の見直しを行うためには、定期的にROASやROI、mROASといった各種指標の数値をモニタリングするようにしなければなりません。定期的に見ていれば、広告の効率がどの程度落ちてきたかが分かりますし、その水準が期待を下回るような状態になれば、広告の内容を差し替えたり、利用するメディアを変更したりといった対策を講じることができるはずです。広告効果は常に上下し得るという点を念頭において、機動的に戦略を練り直せるようにしておくというのが重要なのです。
 
戦略的に広告を活用すること
 
以上で見てきたように、効率的に売上げを増やすためには、闇雲に広告の出稿量を増やせばよいというわけではありません。出稿量と広告効果は必ずしも線形ではなく、むしろ非線形の関係にあるという点を踏まえて、自らにとって最適な広告戦略を考えるようにしましょう。その際に、定量的に効果を測ることができる指標を使いこなせるようになっておくことは有用です。

この記事の監修者

冨塚 辰

冨塚 辰

プロジェクトマネージャー