概要
病院向けリネンサプライ事業を中核に、医療現場を支える多角的なサービスを60年以上にわたり展開してきた太陽セランド株式会社。長年のExcel管理と御用聞き型の営業スタイルに限界を感じていた同社は、Salesforce導入による業務改革に踏み切った。Fabeeeとの伴走支援のもと、商談管理や行動計画の可視化を進め、「計画にもとづく提案営業」への転換を目指している。データドリブン経営に向けた挑戦はまだ道半ばだが、現場の意識は着実に変わり始めている。
ご担当
- 越智様(太陽セランド株式会社)
- 山田様(太陽セランド株式会社)
“変革”ポイント
意識
システム導入への「拒絶反応」から「使っていこう」という前向きな意識への変化
業務
御用聞き型の受動的な営業から、計画とデータにもとづく提案営業への転換
事業
営業活動の可視化と音声データの利活用による、データドリブン経営の基盤構築
“このままの営業スタイルでは、もうやっていけない”
導入前の業務課題――「管理できていない」ことが前提になっていた
Salesforce導入以前、太陽セランドでは契約管理や商談管理の多くをExcelで行っていた。情報は各所に散在し、全体像を把握することが難しい状況だったという。

越智様:
正直に言えば、管理できていない状態が当たり前になっていました。契約更新を失念してしまうこともありましたし、商談も結果が出てから振り返る、いわば結果論の管理でした。
営業活動についても、計画にもとづいて動くというより、顧客からの要望に対応する「御用聞き型」の営業が中心だった。

山田様:
営業が自ら提案するというより、求められたことに応えるスタイルが長く続いていました。会社として、より利益が出る形を考えた提案ができていなかったと思います。
長い歴史の中で培われた取引関係は強みである一方、変化に踏み出しづらい要因にもなっていた。
山田様:
自社の強みは何か、と聞かれたときに、即答できない。その状況にずっとフラストレーションがありました。このままの営業スタイルでは、今後やっていけないという危機感はありました。
“覚悟のない導入は、定着しない”
改革を決めた背景――計画と準備があってこその結果
こうした課題を解消するために検討されたのが、Salesforceの導入だった。
越智様:
私は、結果は計画と準備があってこそだと考えています。その基盤をつくるためにSalesforceが必要だと思いました。
過去にはSFAツールを導入した経験もあったが、定着には至らなかった。その要因について、越智様は「ツール以前に、運用や指導のあり方に課題があった」と振り返る。
越智様:
管理職がきちんと使わせる覚悟を持たなければ、どんなツールでも定着しない。今回は、管理職が主体的に関わり、運用まで含めて取り組む前提で進めようと考えました。
そうした中で出会ったのがFabeeeだった。

越智様:
佐々木さんと話をする中で、こちらがうまく言語化できていなかった課題を、一つひとつ整理してもらえた感覚がありました。Salesforceを導入すること自体が目的ではなく、どう使い、どう定着させるかまで含めて考えてくれていると感じました。
さらに、単なるツール導入支援にとどまらず、業務や業界理解の深さも、パートナー選定の判断材料になったという。
山田様:
自分たちの業界や業務の前提をきちんと理解しようとしてくれる姿勢がありました。この会社となら、課題に正面から向き合いながら、一緒に前に進めるかもしれない。そう思えたことが、パートナーを切り替える決断につながりました。
“「何のために入力するのか」が見えなかった”
プロジェクト実行時の工夫と壁――「使ってくれ」では進まない
Salesforce導入後、すぐにすべてがうまく回り始めたわけではない。

越智様:
正直に言って、導入の壁はありました。Salesforceは自由度が高い分、ITリテラシーが高くないメンバーには難しい部分も多い。動線や操作感に戸惑う場面は少なくありませんでした。
現場からは、入力項目の多さに対する不満も上がった。
越智様:
『何のために入力しているのか分からない』という感覚は、現場には多少あると思います。導入して2年、Fabeeeさんが入って半年、商談オブジェクトの本格利用はまだ3ヶ月ほど。データが十分に蓄積されておらず、利活用まで至っていないのが現状です。
一方で、課題が表出するたびに議論を重ね、改善を進めてきたことが、プロジェクトを止めずに前進させる要因になっている。
“現場が、自分ごととして動き始めた”
社内の変化――拒絶から「使っていこう」へ
大きな成果が数字として見えるまでには時間がかかるものの、社内の意識には少しずつ変化が現れ始めている。
山田様:
以前は、システム導入に対して拒絶反応が先に出ていました。今は『使っていこう』という雰囲気が、少しずつですが出てきています。
こうした変化の背景には、ツールを導入するだけで終わらせず、Fabeeeと伴走しながら取り組みを続けてきたことがある。
越智様:
支店長クラスが『このままではいけない』という意識を持ち、主体的に関わっていることは大きいです。ただ、それだけではなく、どう使えばよいのかを具体的にイメージできる機会が増えてきたことも、前向きな変化につながっていると感じています。
その一環として、Fabeeeと連携しながら、Salesforceの活用をテーマにした勉強会や意見交換の場も設けてきた。

越智様:
勉強会を通じて、『なぜこの入力が必要なのか』『この情報がどう活きるのか』を、現場と、そしてFabeeeさんと一緒に整理してきました。単に操作を教わるのではなく、業務とどう結びつくのかを確認しながら進められている点は大きいと思います。

現場の疑問やつまずきを拾い上げ、伴走しながら運用を少しずつ調整していく。そうした積み重ねが、Salesforceを「入れたシステム」から「使っていくシステム」へと変えつつある。
“結果を追うのではなく、プロセスを共有する”
計画にもとづく営業へ――Salesforceが意味を持つ瞬間
現在、太陽セランドでは来期予算の策定が進められている。その中で、Salesforceを活用した商談管理と行動計画の重要性が改めて認識されている。
山田様:
予算を組めば、行動はある程度決まってきます。その行動計画をSalesforce上で商談として組み、実行していく必要があります。計画にもとづいて行動し、その過程をデータとして残せるようになって初めて、Salesforceの意味が見えてくるはずです。
単に結果を記録するためのツールではなく、計画・行動・振り返りをつなぐ基盤としてSalesforceを位置づけ直すことで、営業活動のあり方そのものを変えていこうとしている。
越智様:
結果だけを追いかけるのではなく、どのような仮説を立て、どんな行動を取り、どこでつまずいているのか。そのプロセスをSalesforce上で共有できるようにしたいと考えています。
“電話の中に埋もれていた、もうひとつの営業活動”
データドリブン経営への挑戦――音声データという次の一手
Salesforce活用の次のテーマとして挙がっているのが、営業活動における音声データの利活用だ。
越智様:
営業は日常的に電話で顧客とやり取りしていますが、その内容がSalesforceに残っていないことが多い。しばらく動きがないと思っていた案件が、実は電話では一定進んでいた、というケースもあります。
電話という主要なコミュニケーション手段がデータとして残らないことは、商談状況の把握や組織としての学習を難しくしている要因の一つだという。
越智様:
電話でのやり取りを含めて活動履歴として残せるようになれば、個々の経験や対応が組織の資産になっていくと思っています。結果として、営業活動の可視化や、一定の品質を保った提案につながっていくのではないでしょうか。
音声データを入り口としてSalesforceに情報を蓄積していくことで、属人的になりがちな営業活動を、データにもとづいて改善していく。その先に、同社が目指すデータドリブン経営の姿がある。
“求められたことに応えるだけでは、もう足りない”
本業からブレない改革――提案営業への転換
太陽セランドが目指しているのは、事業の軸を変えるためのDXではなく、本業をより強くするためのDXだ。

越智様:
本業からブレるつもりはありません。ただ、これまでお客さま側に委ねてきた部分についても、当社として主体的に把握し、支援できる領域を広げていきたいと考えています。業務の状況を正確に把握できれば、その分、より適切な提案ができるようになるはずです。
これまでの御用聞き型の営業から、顧客と同じ目線に立ち、課題に向き合う提案営業へ。その変化は、営業活動の質を高めるだけでなく、現場で働く営業担当者が自らの仕事に誇りを持てる環境づくりにもつながっていく。
越智様:
単にご要望に応えるだけでなく、より良い形があればこちらから提案していく。そのためには、当社としての考えや基準をきちんと持ち、パートナーとして建設的な対話ができる関係を築いていきたいと思っています。
“データが積み上がった先に、見える景色がある”
今後に向けて――「今は我慢のとき」
Salesforce導入による変革は、短距離走ではなく長期戦だ。
山田様:
今は我慢のときだと思っています。ただ、最終的にはデータドリブン経営に辿り着きたい。そのために、Salesforceを軸にしながら、その活用の幅を少しずつ広げていく形で、Fabeeeさんと二人三脚で進めていきたいと考えています。
すぐに成果が数字として見えなくても、計画とデータを着実に積み重ねていく。そのプロセス自体が、営業や経営の意思決定の質を高めていくはずだ。
Salesforceを起点としつつ、関連する取り組みへと段階的に広げていく。その先にある姿を見据え、太陽セランドの挑戦は続いている。

締めの言葉に代えて
インタビューを通して感じたのは、「正解を探している」のではなく、「続けられる形を探している」という姿勢でした。
最初から完成した構想があったわけでも、最短距離が見えていたわけでもない。ただ、目の前の業務や現場に違和感を覚え、その違和感を放置しないという選択を重ねてきた。その結果として、Salesforceというツールが“使われ始めている”のだと思います。
DXは、大きな変革や劇的な成果を指す言葉ではありません。日々の入力や議論、すぐに答えが出ない時間と向き合う――そうした地道な取り組みの積み重ねこそが、本当の変革なのだと感じました。
太陽セランドが向き合っているのは、ツールの導入ではなく、「選ばれ続ける会社であるために、どう変わり続けるか」という問いです。
私たちFabeeeも、その問いに寄り添いながら、次の一歩をともに考えていきたいと思います。