今やゲームやエンタメ業界のみならず、ビジネスの場においても活用の幅が広がっているメタバース。そんなメタバースが急成長するきっかけとなったのが、「セカンドライフ」と呼ばれるソフトウェアでした。
そこで今回は、メタバースとセカンドライフの違いにスポットを当てて深掘り。それぞれの関係性や違いについて解説します。
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メタバースとの関係が深い「セカンドライフ」とは?
まずは、セカンドライフとはなにか?という基本的な部分に触れていきましょう。
セカンドライフが登場したのは、2003年のこと。アメリカ・サンフランシスコに本社がある「リンデンラボ社」が開発した、ソフトウェアです。
セカンドライフ最大の特徴は、仮想空間内で他者とコミュニケーションが取れるだけでなく、稼いだ通貨を現実世界の通貨に換金できるということ。独自の仮想通貨(暗号資産)である「リンデンドル」のシステムを確立したことで、不動産売買も可能に。他のソフトウェアとの差別化を図ったことで、2006年1月に約10万人だったユーザーが10月には約100万人を突破するなど、大きな注目を集めることとなりました。
その反響の大きさから、セカンドライフは世界中のマスコミから脚光を浴び、一般ユーザーの参加率もアップ。新規登録者数が毎月40万人を超えた上に、バーチャル商品の取引額も1日で120万ドル超えをキープするなど、セカンドライフの歴史がスタートして以来約10年間、圧倒的なシェア率を誇るソフトウェアへと成長していきました。
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メタバースとセカンドライフとは何が違うのか
メタバースの先駆けとなったセカンドライフ。しかしそれぞれには、大きな違いがあります。具体的にどのような違いがあるのか、ひとつずつ見ていきましょう。
流行した時期
先ほどからお伝えしているように、セカンドライフはメタバース急成長のきっかけとなる存在です。2020年頃から流行期を迎えているメタバースですが、その前身となるセカンドライフが流行したのは2003年頃のこと。セカンドライフは、今から20年近くも前に流行期を迎えていました。
当然のことながら、メタバースが流行期を迎えている今とは時代背景も大きく異なります。誰もがスマホを持ち歩いている今とは違い、当時人々が持っていたのはガラケー。今のようにどこにいても仮想空間に触れられる環境になかったにも関わらず、セカンドライフはネット世界に大きな革命をもたらしたのです。
対応デバイス
流行期が全く異なることから、セカンドライフとメタバースでは対応できるデバイスにも違いが見られます。セカンドライフが利用できたのは、Windowsのパソコンのみ。それに対し、メタバースはスマホをはじめとしたさまざまなデバイスで利用可能です。
ガラケーが主流で利用できる回線も3Gであったセカンドライフ流行期に比べ、今は光回線・5Gも普及。スマホの普及率も高いことから、ゲーム一つのユーザー数をとっても圧倒的にメタバースの浸透率が高いことが伺えます。
仮想空間ゲームとして存在したセカンドライフは、全盛期でユーザーは約100万人。一方メタバースを活用した大人気ゲーム「フォートナイト」は、2021年の時点でユーザーが3億人を突破しており、利用できるデバイスの違いによって浸透率に差が出ていることがよくわかります。
また、メタバースはVRデバイスにも対応。VRデバイス自体も一般の人が手に入れやすい価格に設定されていることから、メタバースの発展に寄与しています。
セカンドライフが盛り上がりを見せた理由は?
セカンドライフは、ユーザーたちが自由に作り上げていく仮想空間。全盛期は、日本企業の参入も多くみられました。ではなぜ、セカンドライフは大きな話題の波を生み出せたのでしょうか。
その理由は、収益化という言葉にヒントが隠されています。セカンドライフは、それまで開発されていたソフトウェアとは異なり、仮想空間内の資産を現実世界で換金できるということが大きな特徴があります。セカンドライフの空間の中では、有名企業主導の大規模なイベント開催されることもあり、そこで得た利益をセカンドライフの暗号通貨リンデンドルと親和性の高い米ドルに換金し、莫大な利益を得た人も。
米BusinessWeek誌や日経新聞などでもセカンドライフ長者が取り上げられたことにより、世界的に注目を集めるソフトウェアへと成長していったのです。収益化という今のメタバースの礎となる特徴を持たせたことこそ、セカンドライフの人気が高まった理由だと言えるのではないでしょうか。
セカンドライフはなぜ消えた?
日本国内でも急激な盛り上がりを見せたセカンドライフ。しかし、その人気は長くは続きませんでした。
2003年頃から世界でブームが巻き起こったセカンドライフですが、日本でその人気に火がついていたのはわずか1年ほどだったと言われています。ではなぜ、急速にセカンドライフの人気は下火となったのでしょうか。
そこには、当時のネット環境が大きく影響しています。セカンドライフが使えるのは、Windowsを搭載したパソコンのみだったということは、先ほどお伝えしました。今の世の中と比べるとインターネットの速度も格段に遅く、セカンドライフをインストールしてもスムーズな動きを維持できるパソコンはそう多くなかったのです。このことから、日本ではセカンドライフを使える人自体が限られており、普及するにもその環境を持っている人がいないというのが衰退の大きな要因であると考えられています。
また、セカンドライフの仕組みにも衰退の原因があったと言われています。セカンドライフは、ユーザー自身が自由にその空間の中を作り上げることができるとは言え、一つの世界の中に入ることができるのは最大50人まで。その上、同じ時刻にユーザーが集まれるような仕組みも作られていなかったため、新しいユーザーに出会う場というよりもすでに知り合っている人たちと交流するための狭いコミュニティという位置づけに留まってしまったのです。
セカンドライフが急激に成長したことは事実ですが、日本ではユーザー数や規模から見ても流行の実態がなかったとも言われています。セカンドライフ自体は今も稼働しており、利用しているユーザーがいるのも事実ですが、メタバースが普及し始めた今、セカンドライフの登場は時期尚早であったと言えるのかもしれません。
セカンドライフに代わり今はメタバースが主流に
コミュニティ内にいるアバター同士での交流を楽しむことができる、セカンドライフ。しかしそのブームが過ぎ去り、今はメタバースが流行期を迎えています。
ゲーム感覚で楽しめたセカンドライフでしたが、メタバースもゲームのジャンルで流行の波を作り上げてきました。メタバースゲームと呼ばれるものの中でも、特に知名度が高いのが「フォートナイト」や「あつまれどうぶつの森」、「マインクラフト」など。セカンドライフとは違い、大人だけでなく子どもからの支持も集めており、一躍メタバースという言葉を広めるきっかけとなった存在です。
また、セカンドライフでの反省点をきちんと活かして開発されているのも、メタバースゲームの特徴。セカンドライフで生み出されたノウハウを活かしながらも、当時の問題点は克服しており、今後ますますの発展が期待されています。
ブロックチェーンやNFTといった技術が取り入れられたことで、セカンドライフに比べて安全性・透明性が上がったこともメタバースのメリット。仮想世界への“没入感”も圧倒的に高くなっており、メタバースの活用の幅は今後より一層広がっていくことが期待されています。
まとめ
メタバースの歴史を語る上で避けて通れないのが、セカンドライフが一世を風靡した頃のお話。セカンドライフの存在があってこそ、今こうしてメタバースの活用の幅が広がっているのです。
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