メタバースとは?
はじめに、メタバースというのは、ユーザーが自らの分身であるアバターとなって他のユーザーとコミュニケーションを行ったり、経済活動を行ったりすることができるバーチャルな空間のことです。「超越」という意味のmetaと「世界」という意味のuniverseを組み合わせて作られた造語で、その起源は意外と古く1992年にリリースされたSF小説で初めて用いられました。メタバース空間内では、アバター同士が会話をしたり、音楽活動や買い物を行ったりできるほか、スポーツを楽しむことも可能です。まだまだ発展途上ではあるものの、将来的には現実世界で行えるほとんどの体験がメタバースでもできるようになるのではないかと言われています。
一般的にはまだまだなじみが薄いように感じられるかもしれませんが、実はテレビゲームやSNSなどの中にはメタバースをとり入れているものがいくつも存在しています。スマートフォンやパソコンに加え、メタバース用のヘッドマウントディスプレイなどの専用ツールも販売されるようになってきていますので、今後ますますメタバースは私たちにとって身近な存在になってくるでしょう。
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メタバースを活かして出来るスポーツ
メタバースは、商業利用が先行していますが、それ以外にもスポーツに活用することも可能です。ここでは、実際にメタバースで出来るスポーツについて紹介していきます。
サッカー
世界的に高い人気を有するサッカーは、メタバースの世界にもいち早く参入しています。例えば、実際に存在するサッカースタジアムをメタバース空間に再現し、ユーザーがアバターを使ってそこで実際にサッカーのゲームを楽しむという仕組みがすでに誕生しているのです。それ以外にも、ユーザーがゴールキーパーになって、制限時間内にどれくらいのシュートをストップできるかを競い合うゲームやストライカーとなっていかに多くのシュートを決めるかを競い合うゲームを楽しむことも可能です。また、メタバースサッカーでは世界中から多くのユーザーが参加して行われる様々な大会が催されており、その中には優勝すると数千ドルもの賞金が得られるものもあります。
BeFootball SuperPlayer
スキー
ウィンタースポーツの中でも人気が高いスキーは、メタバースの世界でも多くのユーザーを集めています。例えば、メタバース空間内にスキー場を再現し、VRゴーグルを装着したユーザーが身体を左右に動かすことによって、あたかも実際にスキーをしているかのような体験ができるのです。本当にスキーをするとなると、遠方のスキー場まで出かけていかなければなりませんし、転倒して骨折するといった怪我のリスクを負うことにもなります。この点、メタバーススキーであれば、自宅で手軽に楽しめますし、怪我のリスクもほとんどないので、手軽にスキーを味わいたいという方には非常に向いていると言えるでしょう。
Cluster高原 スキー場
卓球
卓球も比較的早い段階でメタバース化がされたスポーツの一つです。バーチャルで再現された卓球台の前に立って、あたかも現実にやっているかのように卓球のゲームを体験できるのですが、対戦相手については他のユーザーが操作するアバターであるケースもあれば、AIであるケースもあります。ボールにドライブをかけるようにラケットをこすり上げる動作をすると、メタバース内でも同様の動きをしてドライブのかかったボールを打ってくれるなど、細部まで作りこまれているため、初心者から上級者に至るまで様々なレベルの人が卓球を楽しめるでしょう。
Racket Fury: Table Tennis VR
スポーツ業界毎の導入事例
続いて、各スポーツ業界においてメタバースがどのように取り入れられているのかを見ていくことにしましょう。ここで紹介する導入事例を見れば、メタバースの活用方法は単にユーザーが仮想空間でそのスポーツを体験できるだけではないことが分かるはずです。
野球
野球界では、メタバース空間内に現実世界にある野球場を再現して、そこで様々なコンテンツを楽しむことができるという取り組みを始めています。実際の球場にいる場合と同じように観客席や飲食店を巡ることができるのはもちろんですが、それ以外に普通であれば立ち入り禁止であるはずの選手のロッカールームに自由に立ち入れるというのも魅力です。ほかにも、同じスタジアムを訪れているファン同士でコミュニケーションできたり、プロの投手が投げた球のスピードを疑似体験できるといった様々なサービスがメタバース内で提供されています。また、ARの技術を用いて、球場内で様々な角度から試合を観戦できるような取り組みを行っている球団もあります。
メタカープ
バーチャルPayPayドーム
サッカー
サッカー界でも、各チームがメタバース内にサッカースタジアムを構築して、自分たちのサポーターに来てもらうという取り組みが進んでいます。スマートフォンやパソコンからアクセスすれば、スタジアム内で同じチームのサポーター同士がコミュニケーションして仲良くなったり、チームの有名選手のアバターと接したりできるようになっているのです。日本でも海外の有名チームのサポーターはかなりの数にのぼるようですが、現地にいってスタジアムを訪れるとなるとそれなりにハードルが高いので、メタバースの活用が広がっていくと、ますます世界のサッカーが身近なものに感じられるようになるでしょう。
ソニーとマンチェスターシティーの協業
バスケットボール
バスケットボール界では、本場であるアメリカにおいて、審判員の教育にメタバースを活用する動きが出てきています。パソコンとヘッドセットを使ってメタバース空間にアクセスする審判員は、そこで複数名の選手が激しく交錯しあう中で瞬時に判断を下すことが求められます。メタバースであれば、判断を下した後に、その内容が正しいものであったかどうかを、スロー再生で様々な角度から見直したりして確認できるので、改善すべき点があれば審判自身でそれに気づくことが可能です。
メタバースを活用したスポーツの利用者数や今後の傾向について
メタバースを活用したスポーツの利用者数については、正確な数字は定かではありませんが、いくつか参考になるデータが公開されているため、それを見ればある程度の規模感を掴むことは可能です。例えば、経済産業省とスポーツ庁が発行している「スポーツDXレポート」によると、国内でメタバースと同様の技術を使って楽しめるファンタジースポーツの参加人口は1,500万人ほどであるとされています。これはあくまでも北米の参加率を基にした推定値とされているため、実際に国内でそれほど多くの人が参加しているかどうかは定かではありませんが、少なくとも数万人や数十万人よりもはるかに多くの参加者が存在している可能性が高いということは言えるはずです。
また、メタバースを使ったスポーツの利用者数の増加傾向は、今後ますます顕著なものになっていくことが想定されています。その背景にあるのは、スマートフォンやパソコンなどの普及によって誰でも手軽にメタバースにアクセスできる環境が整いつつあることに加え、少子高齢化の進展によって自宅で手軽に楽しめるスポーツの需要の増加が見込まれるためです。メタバースを使えば激しい動きをしなくても迫力あるスポーツを楽しめるので、これまで以上に利用者は増えていくと考えておいてよいでしょう。
【まとめ】メタバースのスポーツからますます目が離せなくなる
現代ビジネスにおける事業のアプローチは多様化を見せていますが、その多くがデジタル技術によるものであると言って良いでしょう。ITスキルと先々を見据えるデジタル的思考力は、マーケティングをはじめとするコア業務において大きな武器となります。DX研修を通じて現代ビジネスへの対応力を高めて、新しい価値を創出する仕事に携わっていきましょう。