投稿日 2023.09.20

最終更新日 2023.09.20

ChatGPT3.5とChatGPT4の違いは?

ChatGPT3.5とChatGPT4の違いは?

ChatGPT4とは?

ChatGPTはアメリカのOpenAI社が開発を手がける人工知能搭載チャットサービスです。2022年11月に初公開された当時から高い注目を集め、わずか2ヶ月でアクティブユーザー数1億人突破という快挙を成し遂げました。ユーザーからの質問に対する自然な回答が大きな特徴で、2023年3月15日に従来モデルChatGPT3.5のアップデート版であるChatGPT4が公開されています。

ChatGPT3.5とChatGPT4の違い

2023年9時点での最新版であるChatGPT4は、サービスの一般公開時から搭載されているエンジンChatGPT3.5をベースにブラッシュアップしたものです。両者の大きな違いとしては次のような点が挙げられます。

回答精度の向上

ChatGPTの根幹は人工知能であるため、学習を繰り返すことで質問への回答精度が向上します。ChatGPTの回答精度を推し測る1つの指標としては、アメリカの模擬司法試験におけるデータが有名です。ChatGPT3.5にアメリカ司法試験の問題を解かせてみたところ、正答率は受験者の下位10%程度のレベルでした。しかしChatGPT4では受験者の上位10%レベルまで正答率が跳ね上がり、回答精度の向上に成功した事実が明白になったのです。ChatGPT4であってもすべての回答が正しい訳ではないため人間によるファクトチェックが求められますが、それを差し置いても驚異的な精度と言って良いでしょう。

画像処理に対応

ChatGPT4では「マルチモーダル」と呼ばれる機能が導入されており、画像から情報を読み取って文章を生成することが可能となりました。グラフ・手書きの数字・写真・イラストなどをテキストと共に入力することで、さらなる活用シーンが期待されています。ただし、マルチモーダル機能は2023年9月13日時点では一般提供されていません。同年3月のChatGPT公開時に発表された情報なので、公式からの続報が待たれます。

文字の記憶力・処理能力向上

ChatGPTはサービスの特性上、ユーザーがAIと対話を繰り返しながら欲しい情報を得ていくことも多いです。その際、ChatGPTのAIは会話の内容を記憶して文脈を判断することになります。ChatGPT4はこの記憶力が従来の8倍に向上し、最大64,000語(32,768トークン)まで覚えておけるようになったのです。トークンとはChatGPTのAIが文字を認識できる最小単位のことで、日本語の文章は英文よりも多くのトークンを使用します。また、ChatGPT4は質問時に入力できる文字の最大数も従来の10倍にあたる25,000字まで拡張しました。

安全性の向上

人工知能が自動生成する文章は、時に人間にとって不適切な内容や表現が含まれることがあります。AIを適切に運用していくためには、生成内容を制御する安全対策が重要です。ChatGPT4は安全性の向上に重きが置かれており、有害回答の生成率は0.73%に抑えられているというテクニカルレポートが公開されています。なお、ChatGPT3.5の有害回答生成率は6.48%でした。ChatGPT3.5が有害な回答に対して後からアプローチをかけていたのに対して、ChatGPT4ではテキストの生成前から様々な安全対策が講じられています。

プラグインの追加

ChatGPT4へのアップデートで話題を呼んだのがプラグイン機能の追加です。プラグインとは拡張機能のことであり、標準搭載されている機能に加えて様々なことができるようになります。サードパーティ製のプラグインは手軽に追加・削除できるので、ユーザーが好みに合わせてChatGPT4の機能をカスタマイズ可能になったのです。2023年9月時点で公開されているChatGPT4のプラグインは300種類以上におよびます。

ウェブブラウジング

ChatGPT4からはインターネット上の情報をリアルタイムで収集して回答に反映する「ウェブブラウジング機能」が実装されています。ChatGPTは2021年9月までの情報を学習ソースとしているため、質問内容によっては古い情報や誤った情報を回答してしまうことがありました。ウェブブラウジング機能によって最新情報にも対応できるようになりましたが、この機能は不具合修正のため2023年7月から一時的に停止されているので注意してください。

ChatGPT4の使い方

ChatGPT4はできることが多いため、導入したての頃は使い方がよく分からず迷ってしまいがちです。スムーズにChatGPT4を導入するために、ここではブラウザ版ChatGPT4の基本的な使い方について紹介します。

ChatGPT4を始めるには

ChatGPT4は2023年9月時点で月額20ドルの有料プラン限定となっているため、利用するためには基本的に「ChatGPT Plus」への申し込みが必要です。まずは公式サイトへアクセスして「Try ChatGPT」からアカウントを登録しましょう。アカウント登録にはメールアドレス・任意のパスワード・氏名・生年月日・電話番号・クレジットカード情報の入力が求められます。SMSで受診した暗証番号を入力するとChatGPT Plusへの申し込みが完了となりますが、デフォルト設定はChatGPT3.5のままです。画面上部の「GPT-4」ボタンをクリックしてエンジンを切り替えましょう。

チャット開始

ChatGPT4を利用する準備が整ったら、さっそくチャット欄に質問や指示を入力して文章を生成させてみましょう。ChatGPT4ではこの質問・指示のことを「プロンプト」と呼んでいます。もしも質問に対してイメージと異なる回答が返ってきた場合は、「Regenerate response」ボタンを押すと回答を再生成してもらえるので活用してみてください。なお、ChatGPT4はシステムのパフォーマンス維持を目的として「3時間あたり50メッセージまで」という制限が設けられているので注意しておきましょう(2023年9月時点)。

ChatGPT4を無料で体験する方法

ChatGPT4は他社サービスの一部に組み込まれているケースがあるので、それらのツールを活用すれば擬似的にChatGPT4を無料で使うことができます。機能がすべて同じという訳ではありませんが、有料プランの申し込み前にChatGPT4の品質を体感するという意味で有効な選択肢です。有名なものとしてはMicrosoft社製「Bing AI」が挙げられます。検索エンジンとChatGPT4が一体になっているため、最新情報を駆使した回答をスムーズに生成してくれるのが特徴です。他には「Hugging Face」や「Forefront chat」などにChatGPT4が搭載されています。

ChatGPT4を活用するメリット

ChatGPTは利便性と精度の高さから、リリースから程なくしてビジネスシーンでの活用が始まりました。企業がChatGPT4を活用するメリットには、以下のようなものが挙げられます。

情報収集の効率化

ChatGPT4は2021年9月までの膨大なデータを学習しているため、幅広いジャンルの文章生成に対応可能です。人間による情報収集はどうしても個人の得意不得意が表れますが、ChatGPT4であれば高い水準の精度を保ったまま多角的な視点から情報を集めてくれます。IT化が進んだ現代ビジネスシーンでは、情報の質と量がマーケティング戦略に与える影響は大きなものとなりました。ChatGPT4による情報収集の効率化は、市場優位性の獲得にも有用性が期待できるでしょう。

作業時間の短縮

人間が自分の頭で考え、自分の手で文章を作成するには相応の時間がかかります。内容や文章量にもよりますが、従業員が書類やデータの作成に時間をかけているという企業は多いでしょう。ChatGPT4はこうした思考や単純作業の時間を大幅に短縮してくれるため、浮いた分の時間を他の業務に充てることも可能です。ただしAIにすべて頼り切ってしまうと、誤った情報や適切でない内容に気が付かなくなるリスクもあります。社内で活用する場合は回答を人間の目でチェックする習慣と体制を整えましょう。

ChatGPT4の活用事例

ChatGPTは既に幅広い用途で活用されているため事例も豊富です。ここではビジネスシーンで比較的よく知られている代表的な活用事例を見ておきましょう。

チャットボット

企業の公式ホームページなどでユーザーからの問い合わせに自動対応するのがチャットボットですが、このシステムにChatGPTを組み込んで回答精度向上や対応範囲拡張を実現している企業は少なくありません。事前に設定したシナリオ以外にも対応可能なので、ユーザーからすると人間のオペレーターに対応してもらっているかのような感覚です。

LINE公式アカウント

連絡用コミュニケーションツールとして多くの人が利用しているLINEにも、ChatGPTを導入している事例があります。ユーザーにとって身近なツールであるLINEで自然な対話を成立させることで、企業としては親近感を持ってもらうことができるでしょう。エボラニ株式会社からは企業がChatGPTに自社の情報を学習させるためのアプリケーションもリリースされています。

インサイドセールスの自動化

非対面式の営業活動であるインサイドセールスは、新型コロナウイルスの流行以降その重要性を増しています。ChatGPTを活用すると土日祝日や平日の営業時間外でも顧客対応が可能となるため、問い合わせの機会損失削減や成約率向上に効果的です。自社の従業員にかかる負担も軽減するため、業務効率化にも一役買ってくれるでしょう。ポート株式会社ではインサイドセールスの自動化にChatGPTを活用したサービスを提供しています。

社内AIチャット

従業員が業務効率化や技術検証のために、ChatGPTを導入した社内向けAIチャットを利用しているのが株式会社ベネッセホールディングスです。この事例で特徴的なのは社内で入力した情報がChatGPTで二次利用されないという点であり、クローズド環境で高いセキュリティ性を実現しました。従業員が安心して利用できることも、ChatGPTの活用において重要なポイントなのです。

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