メタバースブランディングとは
メタバースブランディングとはオンライン空間に作られた仮想世界のメタバースを舞台として、ユーザーにアプローチしてブランディングをするマーケティング施策です。メタバースでは仮想空間にリアリティのあるサービスを提供するプラットフォームを構築することができます。メタバースによってゲームだけでなくコミュニティを制作したり、デジタル作品の展示会やコンサートなどを開催したりすることが可能です。メタバースブランディングでは自社ブランドを伝えるサービスを構築してユーザーに提供することで、ブランドの認知度や知名度を上げる手法を一般的に指します。
例えば、自社製品を体験できる空間を提供したり、ブランドコンセプトがわかる動画や今まで生産してきた製品の紹介をする展示スペースを用意したりする方法があります。また、メタバースブランディングは広くマーケティングに展開することが可能で、仮想空間の中でアバターとなっているユーザーとコミュニケーションを取ったり、商談をしたりするシステムを整えることもできます。さまざまなアプローチでマーケティングに応用できるため、メタバースブランディングの活用が注目されてきているのが現状です。
メタバースブランディングを成功する方法
メタバースブランディングを成功させるにはコツがあります。他のブランディング施策と同様に考えるべき部分と、メタバースを利用するからこそ考慮すべき部分があるので詳しく見ていきましょう。
メタバースを通して達成したい目標・指標を決める
メタバースブランディングでは達成すべき目標や指標を明確に決めてから仮想空間のデザインや構築を進めるのが最も重要です。ブランドの認知度を高めるという曖昧な目標ではなく、ユーザー登録数を毎月1000人ずつ増やす、メタバース上での商談の成約を月間10件ずつ獲得するといった具体的な数値目標を定めましょう。メタバースでブランディングのための空間を構築したとしても、期待しているほどの効果が出なかったのでは意味がありません。具体的な指標を決めて数値目標を定め、その目標の達成のために必要な条件を考えてから、構築する仮想空間の具体的な内容を検討するのが成功のコツです。
中長期的なブランディング戦略を考える
メタバースブランディングはブランディング戦略における中長期的な取り組みとして位置付けるのが肝心です。新しい取り組みなのですぐに成功するとは限りません。話題性があって一時的にユーザーに注目してもらえて認知度が高まる可能性はあります。しかし、ユーザー登録をしてくれただけですぐに興味を失われてしまい、新しいユーザーも増えてこないといったこともあり得ます。中長期的な視野を持ってユーザーに提供する空間を改善していくのが大切です。今後、メタバースが普及するにつれてユーザー動向も変化する可能性があります。常にユーザーの声に耳を傾けられるように、メタバースにはユーザーとコミュニケーションを取れるシステムを取り入れておきましょう。
自由に体験させるシステムを整える
メタバースブランディングではアバターとなったユーザーに自由な体験をさせるシステムを整えるのが重要です。ブランディングではユーザーに認知してもらえるように積極的にアピールするのが一般的です。しかし、メタバースのユーザーは自由を求めている場合が多いので注意しましょう。広告とわかると幻滅して見向きもしなくなるユーザーがいるのと同じように、メタバースでも体験を押し付けられると離脱してしまうことがよくあります。あくまでユーザーが自由に体験できる空間を提供するというスタンスでシステムを設計するのが大切です。自然に楽しんだり、興味を持っていたことを知ったりできる空間を作り上げるようにすると成功します。
リアルの体験に対して動線を用意する
メタバースブランディングはただ体験をして認知してもらうだけでなく、具体的なユーザーアクションに結びついてこそ意味があります。ブランディング戦略に取り入れる目標に紐づける形で、リアルの体験に向かう動線を用意しましょう。オンラインサービスであればメタバースでの体験だけでも十分ですが、家電製品や自動車などのリアルの製品については最終的に実物を手にしてもらうのが大切です。特に高額商品を取り扱っている企業がメタバースブランディングをする場合には、メタバースでの体験だけでは購買行動につながらない場合があります。リアルでの体験を促すように特典を提供するなどの工夫を凝らすのが大切です。
メタバースブランディングの事例
メタバースブランディングは世界中で成功事例が生まれてきています。ここではメタバースプラットフォームを自社構築した事例と、一般に利用できるメタバースプラットフォームを活用した事例を紹介します。
メタバースプラットフォームを独自開発した事例
独自のメタバースプラットフォームを自社構築した事例として有名なのが自動車メーカーのBMWです。BMWではJoytopiaというエンターテイメントの世界をメタバースに構築しました。新車のモーターショーの開催舞台として活用する目的で事前に構築し、多様なイベントが開催されるプラットフォームとして知名度を上げています。非日常的な体験を提供できるブランドとしての認知度の向上に成功した事例です。
メタバースプラットフォームを利用した事例
Horizon Worldというメタバースプラットフォームを利用した事例として、ファーストフードレストランのウェンディーズの成功例があります。ウェンディーズはブランドイメージを具現化した仮想空間としてWendyverseを構築しました。アバターとして仮想空間に入るとウェンディーズの店舗利用を体験できるだけでなく、ユーザーとのコミュニケーションやゲームプレイなどを楽しめるようになっています。メタバース空間をリリースすると告知した時点で大きな話題になり、ブランドイメージを強く印象付けることに成功しています。
メタバースブランディングの将来性
メタバースブランディングはメタバースが話題になっているから成功しやすいだけで、将来性があるのかどうかが不安になる場合もあるでしょう。結論としてはメタバースブランディングは今後も可能性が広がっていくので、ブランディング効果の高いマーケティング戦略を立てるのに効果的な舞台です。メタバースの市場規模は右肩上がりで伸びてきています。将来の市場規模についての予測もさまざまなリサーチ会社によっておこなわれていて、2026年には1兆円、2030年には100兆円~1000兆円になるという見解が発表されています。
このような市場の伸びの根拠となっているのはメタバースの基盤になるVRやARの技術開発が活発に進められていることです。VRやARを体験するためのデバイスを持つユーザーが増えていくとメタバースが日常的に使われるようになると考えられます。スマートフォンやSNSの普及によってスマートフォンやSNSを普段から情報収集やコミュニケーションに使う人が増えたのと同様に、メタバースも日常に浸透していくというのが一般的な見解です。このような時代の流れがあるため、メタバースブランディングの将来性は高く、早めに取り組みを始めるのが重要になっています。
【まとめ】メタバースブランディングで新しい時代のユーザーを獲得しよう
メタバースブランディングはVRやARが日常に入り込んだ新しい時代のユーザーに対してブランド認知度を高めるための施策として重要です。今後のブランディング戦略では中長期的な視野でメタバースを活用することを考えましょう。成功事例は増えてきていますが、まだ事例としては少ない状況です。話題性のあるメタバースブランディングを始めて知名度を向上させましょう。