現状の土地の価格メタバース
メタバースというのは、コンピュータの中に構築された3次元の仮想空間の総称であり、ユーザーは自らの分身であるアバターを使ってそこでバーチャルな生活を送ったり、提供される様々なサービスを利用することが可能です。このメタバース内には、現実世界と同じように土地や建物が存在しているのですが、それらはユーザーが所有できるようになっており、実際の不動産と同じように売買することができます。一見すると、バーチャルの土地にどれくらいの価値があるのかと思われるかもしれませんが、メタバースは近い将来において巨大なビジネスへと成長することが見込まれているということもあって、その価格は場合によっては驚くような金額に達するケースがあるのです。
もっとも、一言でメタバースといっても様々なものがあり、土地の価格水準は必ずしも一律というわけではありません。例えば、主要なメタバースの中で、2022年9月時点でもっとも土地の最低購入価格が高くなっているのはSomnium Spaceで、その金額は40万弱となっています。一方、同じメタバースでも、Voxelsの場合には、7万円ほどから土地を購入することが可能です。また、平均購入価格に目を向けてみると、最も高いのはOtherSideの約75万円であるのに対し、最も安いのはVoxelsの約15万円となっています。
なお、ここで紹介したのはあくまでも最低購入価格や平均購入価格ですので、多くのユーザーにアクセスしてもらいやすい利便性が高い場所にあるような人気の土地を購入しようとすると、それよりもずっと高い金額を支払わなければならないという点に注意しなければなりません。例えば、同一のメタバース内にある広さも同じような土地であっても、人気の物件とそうでないものの間には、金額にして数倍から場合によっては数十倍もの開きがあるケースは少なくないのです。
価格が暴落した原因
実際の土地と同じように、メタバースの土地の価格も時の経過とともに変動するようになっています。これは、現実世界と同じように、仮想空間でも需要と供給が常に上下するようになっていることに加えて、メタバースによっては時期によって供給される土地の数量も違っているからです。加えて、メタバースは将来的に大きな儲けにつながるということを見越して、投機的な資金が流入しているというのも、土地の価格が変動しやすい背景にあります。
もっとも、投機的は資金は一気に流入して土地の価格を大きく押し上げる一方で、メタバースの将来性に不安を抱かせるようなニュースが出たりするとあっという間に引き上げられて価格の暴落をもたらすケースがあります。また、それだけでなく市場に供給されるマネーの量が増えれば多くの投機的資金が流れ込みやすくなりますが、反対にマネーの供給量が減った場合には投機的資金の流出へとつながります。
2022年に入ってからのメタバースの土地価格の暴落の背景には、このような投機的資金の動向があります。2000年代後半のリーマンショック以降は、各国が積極的に金融緩和を行って大量のマネーを供給したため、市場からあふれたお金が様々な資産に流れ込んで価格の高騰を引き起こしました。ビットコインをはじめとする暗号資産がその典型例なのですが、メタバース内の土地にも値上がりを期待した人々が大量のお金を投じたのです。そのため、2021年までは土地の値段は多少の上下はあっても順調に値上がりを続けていたのですが、2022年に入ってアメリカが過熱した経済を冷やし、インフレを抑え込むための数度にわたる利上げによって金融引き締めを図ったことで風向きが大きく変わりました。マネーの供給が先細ることを察した多くの人々が一斉にそれまで投じていた資金をメタバース内の土地から引き揚げる動きに出たため、その価格が短期間で大幅に下落するという事態に陥ったのです。これが2022年に土地価格の暴落を引き起こした原因です。
今の時点で土地を買うべきなのか?
メタバースの土地は2022年に入って暴落している状況であるため、多くの方は今の時点で購入してよいのだろうかと不安に思われているのではないでしょうか。もちろん、将来のことは誰にも分からないので、現時点で購入すれば必ず値上がりするとは言えないのですが、メタバースのベースとなっているブロックチェーンの技術に対する信頼性が高まってきているという状況やユーザー数が右肩上がりで増え続けているという実態を踏まえれば、現状は土地を買うタイミングとしては決して悪くはないと考えてよいのではないでしょうか。
また、現状ではブロックチェーンが用いられている暗号資産やNFTなどの評価は定まっていませんが、近い将来にそれらが実際に価値があるものであるとみなされるようになった場合には、メタバース内の土地をはじめとする様々な資産に対する評価も一変するかもしれません。そうなったときには、土地の価格は一気に暴騰してもおかしくはありませんので、そういった事態を見越して今のうちから資金を投じておくというのも一案です。ただし、だからといって私財を全て投じるというのはおすすめではありません。場合によっては、さらなる暴落に見舞われる可能性もゼロではないので、メタバース内の土地の購入はあくまでも余剰資金の範囲で行うようにした方がよいでしょう。
メタバースの土地の将来性
メタバースの評価はまだまだ定まっているわけではありませんが、その土地の将来性は非常に有望であると考えられています。というのも、現実世界と違ってメタバースの仮想世界においては、世界中の人々が国境や時差に関係なく、いつでもすぐにコミュニケーションすることが可能であるため、いずれそこには現実世界に勝るとも劣らない巨大な経済圏が創出されるであろうと見られているのです。このような期待が実現するかどうかは誰にも断言はできないものの、少なくともメタバースにはそういったポテンシャルが秘められているということだけは間違いないでしょう。
もしメタバースに対する期待が現実のものになった場合には、そこで土地を持っているということは大きな強みとなります。そうなった時には大幅に価格が高騰するはずですので、他者に売却して利益を得るというのも選択肢の一つですが、その拠点をベースにしてメタバース内で経済活動を展開するというのもよいかもしれません。例えば、土地上に建物を建てて、そこにアクセスしてきた人が有料で様々な動画データを閲覧できるようにすれば、その収入だけで生活することができるようになるかもしれません。
また、自分でビジネスを行うのではなく、土地やその上に建築した建物を他者に貸し出して賃料収入を得るという方法もあり得ます。土地や建物をレンタルできるかどうかは、メタバースの規約を見てきちんと確認する必要があるものの、もし可能であれば現実世界の不動産オーナーと同じように、メタバース内の不動産を貸すだけでまとまった収入を得るようになるのも夢ではないでしょう。ここで挙げたもの以外にも、メタバース内の土地にはまだまだ我々が思いつかないような用途があるかもしれないので、その将来性は決して悲観するようなものではありません。
【まとめ】メタバースの土地のポテンシャルは無限大
以上で見てきたように、メタバースやそれを作り上げているブロックチェーンの評価が定まっていない現在においては、メタバース内の土地の評価も必ずしも明確ではありません。しかしながら、メタバースのコンセプトや多くの人々が関心を寄せている事実を踏まえると、そのポテンシャルは非常に大きいということは言えるでしょう。