投稿日 2024.01.11

最終更新日 2024.01.11

不動産業界でSalesforceを導入して業務効率化した事例をご紹介

不動産業界でSalesforceを導入して業務効率化した事例をご紹介

Salesforceとは?

Salesforceはアメリカのカリフォルニア州に本拠地を置くクラウドコンピューティング・サービスおよびSaaSの企業、および同社が提供している顧客管理ソリューションプラットフォームの名称です。同社の製品は顧客関係管理(CRM)の世界シェアにおいて第1位(アメリカIT調査会社ガートナーによる)に輝いた実績もあり、国を問わず幅広いビジネスの現場で成果を上げています。CRMとしてのSalesforceは見込み顧客との接点強化や営業プロセスの効率化に効果が期待されており、用途・目的別に特化したサービスが複数パッケージングされているのが特徴です。

不動産業でSalesforceを業務活用するには

Sales Cloud(顧客管理・営業支援)

不動産業においてSalesforceを活用する場合、まず検討しておきたいのがSales Cloudの営業支援です。SalesforceはCRMと営業支援ツール(SFA)がパッケージングされたツールであり、顧客へのアプローチに必要となる情報の一元管理が可能になっています。特に不動産業では顧客の希望条件や内見した物件、契約時に重要となる収入状況・与信情報など管理すべきデータが多岐におよぶ点が特徴です。Salesforceであればこうした複雑なデータを管理した上で商談の進捗状況も社内で把握できるため、担当者が居ないタイミングでも顧客を待たせてしまう心配がありません。また、顧客の希望条件にマッチした新着物件があればすぐにアプローチをかけられます。Salesforceは商談時間の短縮と機会損失の削減に有用なツールと言えるでしょう。

Service Cloud(カスタマーサービス)

不動産業では商品を顧客に売却してそれで終わりではありません。分譲物件や注文住宅ではその後も住まいのトラブル相談や各種問い合わせなど、継続的に関係性が持続していくことになります。そこで役立つのがカスタマーサービスに特化したパッケージであるService Cloudです。Service Cloudではメールや電話などあらゆるチャネルからの問い合わせ情報を一箇所に集積し、問い合わせ内容やオペレータースキルに合わせて迅速な担当者割り当て・対応を実現します。ワークフロー内で単純作業化している部分を自動化できるので、対応時間の短縮にも効果的です。

また、Service CloudにはFAQやデータベースを構築するための「ナレッジマネジメント」と呼ばれる機能が搭載されています。よくある質問と回答をまとめておけば顧客の自己解決率が高まり、人間による対応が必要な問い合わせを絞り込めるようになるでしょう。これは事業規模が大きいほど効果を実感しやすいポイントです。

Marketing Cloud(マーケティング)

膨大な情報を取り扱う不動産業では、それらのデータをマーケティングに有効活用するための取り組みも重要です。SalesforceのMarketing Cloudなら、自社で集積したデータを的確に活用したデジタルマーケティングが可能になります。同製品はメール・SMS・SNSなど多様なチャネルへの情報発信に対応しているため、顧客の利用ツールに左右されず効率的にアプローチがかけられるでしょう。一括送信のみならずパーソナライズされた複雑な内容の文章作成も容易であり、個々の顧客に寄り添ったOne to Oneマーケティングが実現します。また、こうしたデジタルマーケティングツールは操作が複雑で担当者が扱いきれないというケースも少なくありません。しかし同製品はドラッグ&ドロップを中心にしたイージーオペレーションとなっており、現場スタッフのITリテラシーを問わずスムーズな導入が可能です。

不動産業でSalesforceを活用した事例3選

株式会社atsumel

愛知県で不動産業および建設業を手がけている同社では、元々顧客情報や商談管理をアナログで行っていました。同社はSales Cloudの導入によって支社ごとに集積していた情報を一元管理化し、グループ全体の状況をリアルタイムで把握することに成功しています。この段階で資料作成や週一回行われていた事業部長会議の負担が軽減しました。さらにWeb広告からの見込み顧客へ効果的なアプローチをかけるため、Sales CloudとWebマーケティングに強いツールPardot(現Marketing Cloud Account Engagement)を併用しています。的確なタイミングと内容でメールマーケティングを行うことが可能となり同社のWeb問い合わせ数は3.3倍、商談数は4.4倍となりました。

株式会社福徳不動産

長崎県を中心に不動産総合サービスや福祉サービスを展開する同社は、地元不動産業者の中では比較的新しい企業です。情報の積み重ねが重要なカギとなる不動産業におけるビハインドを埋めるため、同社が決断したのはSalesforceの導入でした。同社は社内の既存システムと連携が取りやすいという点でSalesforceに注目し、実際にスムーズな導入を実現しています。既存システムの使用感を大きく損なうことなくSalesforceによる一元管理が可能となり、部署間で顧客情報や商談状況の共有がスムーズになりました。その結果、社内生産性は10%向上しコロナ禍にあっても売上前年比106%という数字を残しているのです。機会損失防止だけでなく業務効率化にも大きな効果をもたらし、全社合計で年間約1,350時間もの労働時間短縮に繋がったとしています。

株式会社登喜和

埼玉県で50年以上の歴史を誇る老舗である同社では、顧客リピート率と社内生産性の向上を目的としてSalesforceを活用しています。2011年にスモールスタートで始まった導入ですが着実に顧客情報の集積・管理・分析を効率化させ、2017年度にリピート・紹介による売上の割合が前年度比153%まで伸びました。社員15人の労働時間を年間で合計2880時間削減することにも成功しています。
 
さらに、同社では2018年に立ち上げた入居者ポータル「HOOOP」の運用においてもSalesforceを活用しているのです。同社では家賃100円につき1ポイントが付与され、同社を利用した住み替えの際に手数料から割引くシステムが採用されていました。家賃ポイントはキャンペーン参加クーポンや地元商店用商品券として利用することもできます。Salesforceでこうした情報を管理するとともに、連携させたHOOOPでは入居者自身がポイント利用の手続きを行えるようにしました。クーポンや商品券を紙媒体で発送していた2017年と比較して、2022年には送客数約2.5倍という結果を残しています。地域密着型の不動産業者として愛され続けている取り組みの裏側には、Salesforceで集積・管理した顧客情報運用と他システムとのスムーズな連携があったのです。

不動産業でSalesforceを活用するメリット

情報運用力の向上

不動産業では日々の業務をこなしているだけでも膨大な情報が手に入りますが、大切なのはその情報をしっかり運用できるか否かです。Salesforceの導入によって情報が一元化されれば、従業員は欲しいデータを必要なタイミングで引き出せるようになります。さらに部署間での情報共有もスムーズになるため、営業・マーケティング・カスタマーサービスなど幅広い業務での効率化が期待できるでしょう。

ペーパーレス化と生産性向上

Salesforceはクラウド上でデータを管理するタイプのシステムであり、社内のペーパーレス化に一役買ってくれます。特に契約書や物件情報など、不動産業では紙媒体で情報を管理しているところもまだまだ多いでしょう。ペーパーレス化に成功すれば資料作成や管理の煩雑さから解放されるため、コア業務へのリソースが確保できるようになって生産性が高まります。

拡張性・カスタマイズ性が高い

既に何ならかの業務システムやITツールを使用している企業にとって、新しいツールの導入は従業員の負担や混乱を招くリスクもあります。しかしSalesforceは既存のIT化・DX化ツールとの親和性が高くスムーズな導入が可能です。カスタマイズ性の高さから必要な機能だけをピックアップできるので、使い方が複雑で従業員が困るという心配も少ないでしょう。

堅牢なセキュリティ性

デリケートな顧客情報を取り扱う不動産業にとって、管理システムのセキュリティ性は重要なポイントです。SalesforceではIPアドレス制限やパスワードポリシーの設定、多要素認証(MFA)の義務化やログインアクセス時間帯制限など様々なセキュリティ機能が備わっています。バックアップデータは二重に保護されるなど、データ流出・消失の両面に十分な配慮がなされていると言えるでしょう。

不動産業でSalesforceを活用するポイント

自社の課題点を洗い出しておく

先に述べたように、Salesforceは様々なツールがパッケージングされた顧客管理の総合ソリューションサービスです。カスタマイズ性と拡張性に優れるため、規模の大小や具体的な商材を問わず様々な不動産業者にマッチするでしょう。こうしたフレキシブルなツールを導入する際には、まず自社が抱える課題点を明確にしてくことが大切です。例えば「顧客情報の管理体制を整えたい」「データを有効活用したマーケティングを展開したい」「社内の業務を効率化したい」など、不動産業者が抱える悩みはそれぞれでしょう。どんな問題を解決したいかによって、Salesforceの中でも優先的に導入すべきツールは異なります。導入を決定する前に、まずは従業員からの意見も取り入れて自社の課題を正確に把握しておきましょう。

導入支援サービスの活用

Salesforceは多様なツールと連携可能なことから、既存システムである程度IT化が進んでいる現場への導入にも有効です。ただし、各ツールとの連携には専門的な知識を要するため、社内の人材ではシステム構築が困難というケースも珍しくありません。そのような場合は、Salesforceやその他のIT企業が提供している導入支援サービスを活用しましょう。導入支援サービスではシステム連携の他にも従業員への研修による定着化、実務レベルでの運用アドバイスを行っているところが多いです。Salesforce導入によってどの程度の効果が見込めるかを予め試算してもらうことも可能なので、不動産業界での導入実績が多いところに相談してみましょう。

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この記事の監修者

阿部 雅文

阿部 雅文

コンサルタント

北海道大学法学部卒業。新卒でITベンチャー企業入社し、20代で新規事業の事業部長を経験。その後さらなる事業開発の経験を積むために、戦略コンサルティングファームにてスタートアップ企業からエンタープライズ企業のデジタルマーケティングや事業開発におけるコンサルティング業務に従事する。2021年5月にFabeeeにジョイン。DXコンサルタントとして大手メーカーや総合商社などを担当するほか、数多くのクライアントから指名を受け、各社の事業開発を支援中。多忙を極める中でも、丁寧で迅速な対応が顧客から高い評価を得ている。